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2012年3月〜2020年3月

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コロナには軍拡まるで打つ手なし
「多摩の年輪」359号(2020年03月)

 新型コロナウイルスの脅威が広がっているが、腐敗・堕落に歪んだ安倍政権は、首相が感染者・犠牲者の広がりをよそにマスコミなどの幹部らとの会食を重ね、感染対策の会議を開いても閣僚が3人も欠席するありさま。モリカケ疑惑・「桜を見る会」疑惑・カジノ汚職をごまかし、消費税増税・全世帯型生活破壊で暮らしと経済を破壊し、中東への自衛隊派兵と憲法9条改悪に異常な執念を見せる安倍政権は、平和といのちと人権を犠牲にして大軍拡を推進する史上空前の大型予算を衆議院通過させたが、この予算にはコロナ対策の「コ」の字もない。しかも、国としての財政負担も責任も明らかにしないまま、人権無視の感染者隔離、暮らしと営業の自粛、突然の臨時休校を、一方的に国民と自治体に押しつけ、緊急事態宣言法などという強硬策も打ち出している。いかに軍拡・改憲・強硬策に力を注いでもコロナ対策にはならないということが、いまの大混乱を通して明らかになっている。平和といのちと人権を守るためには、日ごろから福祉と暮らし、健康と安全を中心に据えた政治を積み重ねなければならない。腐敗・堕落・政治の私物化NO! 9条改憲NO! の世論を広げて、政治を変えることが、国民の死活をかけた課題になっている。
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ヤジとデマこれにて晋さん一件落
「多摩の年輪」358号(2020年02月)

 安倍政権が先月末の閣議で東京高検の黒川弘務検事長の勤務を半年延長した。私は「さては『モリカケ疑惑』『桜を見る会疑惑』での逮捕を回避するための強硬策だな」と直感した。折しも東京地検特捜部が2月早々にカジノ汚職で衆院議員秋元司容疑者を追起訴したが、同じ企業から現金をもらった自民党の岩屋毅前防衛相ら衆院議員5人や白須賀貴樹衆院議員の立件は見送り、その10日後には秋元被告が保釈金3000万円で保釈された。「検察は少しの賄賂なら許すし、大金には弱いんだな」と感じた私は、今月の漫画はこれを描こうと考えた。しかし見通しが甘かった。安倍首相が4日の衆院予算委員会で「桜を見る会」前夜祭を巡る立憲民主党の黒岩宇洋氏の追及に対し声を荒らげて「異常な対応」「人間としてどうかと思う」「うそつき」などの激しい言葉で「反論?」。共産党の宮本徹衆院議員からの質問に「幅広く募っているという認識で、募集しているとの認識ではなかった」と「珍回答」。12日の同算委員会で立憲民主党の辻元清美氏が質問を終えた途端に「意味のない質問だよ」とヤジ。13日の衆院本会議では維新の会の質問に答えて共産党について「現在も暴力革命の方針に変更はない」などとデマ発言。・・・・連発された暴言・ヤジ・デマは、追い詰められた安倍政権がむき出しで国民と国会を冒涜するものだろうが、呆れてしまった私は「今月の漫画」に怒りを込めるのを忘れてしまった。

 


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この国は隠ぺい逃亡やり放題
「多摩の年輪」357号(2020年01月)

 「桜を見る会」疑惑、カジノ汚職にまみれている政権が、緊張高まる中東に調査研究と偽って自衛隊を派兵する。レバノンに逃避したゴーン容疑者を取り戻す外交力さえ持たない無能な政権に、戦闘に巻き込まれる自衛隊員を守る能力があるとは思えません。消費税増税と社会保障削減で生み出した財政で、トランプ言いなりの軍備のバク買いするという一片の工夫もない経済政策は、経済社会を破綻させるとともに政権を腐敗・堕落させているのですね。腐敗・堕落をゴマカシ、経済破綻を国民にしわ寄せするために、憲法9条を改悪して日本の民主主義そのものをチャラにする。ここに執念を燃やす安倍首相に、改憲を語る資格はありませんし、政権を担う能力もないと言わねばなりませんよね。それなのになぜこの政権はつぶれないのでしょうか? それはこのデタラメを私たち国民が事実上容認してきたからに他なりませんが、これではいけないという世論がいよいよ動き出していると思うんです。今月は無能なわが国の政権が、犯罪者に馬鹿にされ、世界中でも笑われている悔しい思いを描いてみました。

(183)

桜見る?実は買収大パーティー
「多摩の年輪」356号(2019年12月)

 モリカケ疑惑のもみ消し、厚労省データ・自衛隊日報の改竄、公選法違反疑惑で辞任した2人の閣僚への任命責任の棚上げ、などなど、政治と公金の私物化と高級官僚・自民党幹部こぞっての忖度が横行する「最悪の政治」が、戦前の桂太郎元首相の通算在職日数を抜き「憲政史上最長」となった。そして当然の成り行きだが、この「最悪・最長の政治」は、いま「偽造招待状問題」や反社会的勢力の参加、ホテルニューオータニでの「前夜祭」の費用負担などなど、政権の腐敗・堕落と総理自身の公選法違反が問われる「桜を見る会」(4月13日)をめぐる疑惑に包まれ、絶体絶命のピンチに追い込まれつつある。そんなある日(11月26日)、プロ野球選手としての第一線からの引退を表明(3月21日)した大リーグ・マリナーズのイチロー外野手=本名・鈴木一朗(46)を、安倍首相が食事に誘った。首相はイチローに「国民栄誉賞を受けてもらえないか」と打診しがすげなく断わられて青ざめたという。権力維持のためには「桜を見る会」も「国民栄誉賞」もなりふり構わず私物化するこの権力には虫唾が走る。今月は、イチローの潔さとシンゾーの浅ましさを対比して描いてみた。


(182)

わが友よ粘るも辞すも「身の丈」で
「多摩の年輪」355号(2019年11月)

 政治とカネをめぐる疑惑で菅原一秀経産相と河井克行法相が同じ週の内に辞任した。2人は辞任によって疑惑をごまかそうとしているし、安倍首相は後任をそれぞれ梶山弘志氏、森まさこ氏に任命して「任命責任」を果たしたと強弁しているが、これで「責任を果たした」とは誰も思うまい。「ドミノ辞任」が始まったのではなかろうか。大学入学共通テストでの英語民間試験を「身の丈」発言で擁護しようとして窮地に立った萩生田光一文化相がついに試験の実施延期に追い込まれたが、萩生田氏は「加計疑惑」がらみで安倍首相の「お友だち」だから、安倍内閣の足元が揺れていると言える。内閣改造直後から暴力団との関係が疑われている3人組(武田良太国家公安委員長、竹本直一IT担当相、田中和徳復興相)、国会の質問通告の流出で「責任を取る」と口にした北村誠吾地方創生担当相、自身のパーティーで「私は雨男。防衛大臣になってから台風が3つ」と発言して笑いを取ろうとした無神経な河野太郎防衛相、滝川クリステル夫人が所有する3億円で新閣僚の資産公開トップに躍り出たが、大臣としての薄っぺらさがバレて、かつての人気はどこへやらの小泉進次郎環境相などなど「ドミノ辞任」要員が控えている。安倍首相はこれまでの2人のように、居座るだけ居座らせて、それぞれが辞任に追い込まれれば速やかに首をすげ替えて乗り切るつもりらしいのだが、そろそろご自分の「身の丈」を考えてはいかがだろうか。


(181)

少子化も国難として利用する
「多摩の年輪」354号(2019年10月)

 10月4日に開会された臨時国会で安倍晋三首相は所信表明演説で、10月からはじまった幼児教育・保育の無償化を挙げて「最大の挑戦は、急速に進む少子高齢化」「国難とも呼ぶべき少子化に真正面から立ち向かってまいります」と強調したが、これには2つの大きなごまかしがある。1つは、3年前(2016年)の施政方針演説で「保育の受け皿整備の加速」を言い「希望出生率1・8」の実現を掲げたが、これが3年連続で減少し、今年は1・42まで落ち込んだことや、女性の仕事と育児が両立しやすい環境づくりに欠かせない待機児童の解消や保育士の待遇改善などには一言も触れなかったこと。もう1つは「少子化」への自らの無策を棚に上げて、これを「国難」に仕立てあげたこと。「国難」と言えば2年前の「国難選挙」を思い出す。2017年9月25日、安倍首相は、その週に召集される臨時国会冒頭での衆議院の解散・総選挙を表明し、北朝鮮からの脅威が高まるなかで「国難突破」のため国民の政権負託をあらためて問うと語ったものだ。この政権は、国民を脅かす「国難」を探し出し、それを隠れ蓑に自らのサバイバル街道を駆け抜けるという姑息な手段に悪慣れしている。自らが手を打てなかった「少子化」をも「国難」などと言いたてて、「国難」をもてあそぶ政治は、それ自体が「国難」である。この施政方針演説は、これまで掲げてきたが目立った成果のない「1億総活躍社会」や「地方創生」などの看板を焼き直し、最期に「国民への責任を果たそう」として改憲議論促進を呼びかるという新味のないものだったが、これは7年近い長期政権の行き詰まりをうかがわせるものといえよう。



(180)

改憲だ!疑惑と在庫の一掃だ!
「多摩の年輪」353号(2019年09月)

 安倍首相は9月11日に内閣を改造した。「憲法改正を必ずやり遂げる」との並々ならぬ決意をあらわに政権の「安定」を重視し、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官の留任、主要ポストへの党内実力者や盟友・側近の配置、保守系議員や党内主流派の入閣待機組の順送り配置(「在庫一掃」だ!)に力を入れた。「挑戦」もうたったが、小泉進次郎氏を環境相に抜擢しただけで、女性閣僚も2人にとどめた。
 森友学園を巡る財務省決裁文書改ざんの責任を取らないままの麻生氏の留任ばかりか、加計学園問題で文科省に圧力をかけた萩生田光一氏の文科相への起用、「政治的中立」を欠く放送への「停波」という報道・表現の自由侵害発言をした高市早苗元総務相の同ポストへの再任、裁量労働制の拡大をめぐるデータねつ造で批判を浴びた加藤勝信元厚労相の同ポストへの再任など、国民の厳しい批判をあざ笑うかのような人事(「疑惑隠蔽」だ)には呆れるばかりだ。
 韓国で「たまねぎ男」チョ・グク氏がこのほど法相になったが、日本で「疑惑一層・在庫一掃・改憲暴走」をねらう改造内閣こそ、身を?いても剥いても疑惑が深まる「たまねぎ内閣」ではなかろうか。今月はこれを描いてみよう。


(179)
怖くってソッと右目を開けてみる
「多摩の年輪」352号(2019年08月)

 「改憲勢力3分の2割れ」となった7月の参議院選挙では「期限ありきの性急な改憲の動きは賛成できない」との民意の審判が下りました。選挙中に「全員が一致しないと議論すらしないというのなら、国会議員としての職責が果たせない」などと国会での改憲論議をあおってきた安倍政権は、参院選での「野党共闘」の前進に目をつぶり、与党が「過半数」の議席を維持したことを「改憲審議を進めよとの国民の審判」と意図的に曲解し、任期途中の衆院議長の首をすげかえて改憲論議を進めたい(萩生田自民党幹事長代行の発言)などと、道理も憲法も無視する「焦り」の姿をさらしています。続いて迎えたのが「ヒロシマ・ナガサキ74周年」の8月。松井一実広島市長が「唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思いをしっかりと受け止めていただきたい」、田上富久長崎市長は「唯一の被爆国の責任として、一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准してください」、被爆者代表の山脇佳朗さんが「世界で唯一の被爆国としてあらゆる核保有国に『核兵器をなくそう』と働きかけてください、この問題だけはアメリカに追従することなく毅然(きぜん)とした態度を示してください」と、同席した安倍首相に向かって直接に訴えました。これらに対して安倍首相は「核兵器国と非核兵器国の橋渡しに努めます」という同じ原稿を繰り返し読みあげましたが、両市長や被爆者代表の発言中に、目を閉じて聞こえないふりをしながら、恐る恐る右目を開いて会場内の反応を確かめる首相の表情がテレビ画面に映し出されました。今月の漫画は、この安倍首相の表情の滑稽さを描くことにしましたが、恐怖に満ちた右目に、政権の存亡をかけて改憲・消費税・軍拡・新基地に逃げ込もうとする危険な光が宿っていることに着目いただきたいと思います。



(178)

吸水の差込口が逆でしょう?
「多摩の年輪」351号(2019年07月)

 金融庁の金融審査会「市場ワーキング・グループ」が発表した「公的年金以外に夫婦で老後に2000万円の蓄えが必要」との試算は、厚労省、金融庁、経産省も同じような数字をはじきだし「関係省庁で広く認識されていた」もの。「年金だけでは足りない」実態は、年金保険料負担者減らし、保険料引き上げ、給付削減、国庫負担削減、支給開始年齢引き下げなど、政府の政策の結果です。先の試算を受け取り拒否しても実態は消えないのに、安倍内閣は「世間に著しい不安を与え、政府の政策スタンスとも異なる」との答弁書を閣議決定し、見て見ぬふりを決め込んでいます。「こうすれば100年は安心 公明党の年金安心プラン 今もらっている年金は下げません」と「公明新聞」2003年10月号外に書いた公明党が、自民党といっしょに2004年に強行した「100年安心年金」は明らかに破綻しましたが、自・公両党は「マクロ経済スライド」で負担と給付のバランスを確立したので「年金制度は安泰だ」と言い切ります。「制度は安泰、暮らしは破綻」という状況を指摘した共産党の志位委員長が「マクロ経済スライドをやめて減らない年金に」と提案すると、安倍首相は「それは馬鹿げた政策だ」とあざ笑い、年金に「打ち出の小槌」はないと得意な顔で言いました。しかし、トランプ米大統領からF35爆撃機(1機100億円以上)を200機、イージスアショア(1基6000億円)を2基など、武器の「爆買い」をするのには「打ち出の大槌」を振って見せるのを見ると、「2000万円貯めるより自民党・公明党を選挙で落とすほうがずっと簡単」という思いが胸を満たします。役員報酬を年に32億円も受け取っている大企業の経営者がいますが、多くの国民は低賃金にあえぎ、老後の家計が月5万円も赤字で、2000万円〜3000万円も足りない。 32億円は、労働者の年間総労働時間(1700時間)で割ると、時給188万円!!。これって暮らしと年金の「打ち出の小槌」ではないでしょうか。今月は参院選をにらんで、余っている所から足りない所へ、流れを切り替えましょうというアピールです。


(177)
いざさらば黄昏時の詐欺師たち
「多摩の年輪」350号(2019年06月)

 2004年に小泉自公内閣(安倍晋三自民党幹事長)がゴリ押しした「100年安心年金」が、ちょうど15年目となるいま破綻をあらわにして、安倍政権もそれを認めるところとなった。6月3日に金融庁の金融審査会「市場ワーキング・グループ」が「公的年金以外に夫婦で老後に2000万円の蓄えが必要」との試算を報告したのだ。これに対する国民の反応に怖れを抱いた麻生太郎副総理兼金融担当相は11日に、この「報告書」を受け取らない考えを表明し、報告書を事実上、撤回した。参院選への悪影響を回避しようというのだろうが、「報告書」の受け取りを拒否しようと、年金制度が国民生活を「安心」に導くことのできない現実は変わらない。10日の国会で「100年安心」と言っていたのに「人生100年になったから「年金は当てにするな、自己責任で貯金せよ」と言うのは国家的詐欺に等しい」と指摘された安倍首相は、「給付と負担のバランスで年金の持続可能性を確保した『100年安心』の仕組み」は万全だと開き直った。年金支給が始まる65歳の3カ月前に受給予定者に届けられる「年金請求書」の文面が、今年4月から変更され、「年金額を増額させますか?」などの設問があり、「老齢基礎年金・老齢厚生年金両方の繰り下げ(66歳以降に増額した額を受け取ること)を希望される場合には、この請求書を提出する必要はありません」と書かれているのも国家的詐欺だ。国会で「提出しなかった人の年金支給開始年齢はどうなるのか」と質問された根本匠厚労相は「そのままにしておくと70歳からになります」と答え、年金を65歳支給ではなく70歳支給に誘導するものだ。何もかもがつじつまが合わなくなっている安倍政権は、いよいよ「末期」。詐欺師たちも黄昏の時を迎えている。



(176)

「改元」の濁点取れば「改憲」か?
「多摩の年輪」349号(2019年05月)

 天皇の代替わりがあり、新天皇が「「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします」と述べた。これに対し安倍政権周辺では、「憲法巡る両陛下のご発言公表への違和感」と題した文書を公表し「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」との批判が発表されたという(孫崎享氏=5月10日「日刊ゲンダイ」より)。新天皇の「憲法にのっとり」に対し、総理は「憲法をのっとる」と言ってるねと戯言を発した人に拍手を送りたい。この代替わりと改元を利用して高齢者をたぶらかそうとする新手の詐欺師も現れているというから、油断も隙もない。
 しかしこうしたチンピラ詐欺がはびこるのは、モリカケから自衛隊日報、政府統計にいたるまでウソとゴマカシで塗り固め、「改元(カイゲン)」騒ぎで国民をケムに巻きながら「改憲(濁点抜きのカイケン)」にいざない、大軍拡・辺野古埋め立てのための大増税と社会保障破壊を貪る「偽装捏造改竄隠蔽内閣」が社会の「お手本」になっているからではないか。そんな気持ちを今月は描いてみた。


(175)
改元に託した夢は幻か
「多摩の年輪」348号(2019年04月)

 このたび定められた「令和」という新元号は、むかしむかし、天皇と貴族が中心になって運営した律令国家というものがあったことを思い出させました。天皇の代替わりを政治利用して、改憲・大軍拡・大増税の宿願を果たそうということか、怒りと不安を覚えましたが、時代はこんな逆流を、やすやすと通してしまうわけでもありません。新元号決定後、安倍総理と麻生副総理への「忖度」を自慢した塚田一郎国土交通副大臣が辞任に追い込まれました。加えてこの漫画の仕上げに入っている最中に暴言続きで居座っていた桜田義孝オリンピック大臣が「復興よりも議員が大事」という暴言を重ね、ついに辞任したとのニュースが飛び込んできました。私は、書きかけの漫画に桜田元大臣の顔を追加しながら、安倍一強政権が、いよいよほころび始めたことを噛みしめました。先日の統一地方選前半戦で、自民党や維新の会が北海道や大阪で勝ち誇ったとはいえ、この前半戦で全国の市民と野党が積み上げた運動の成果は「無」に帰したわけではないのですね。その積み上げは、一触即発で政権を窮地に立たせる所まで「沸騰」しているのだと思います。こう見てくると、地方選後半戦から夏の参議院選挙に向かって、ひたすらに運動を積み上げれば、まだまだ勝機はあるじゃありませんか。



(174)

私が国家ですよとシップ振り
「多摩の年輪」347号(2019年03月)

 ウソとゴマカシの安倍強権政治が続いています。国政では、消費税10%増税・社会保障連続削減、大軍拡・米軍兵器「爆買い」・安倍9条改憲など「戦争する国づくり」と「歴史修正外交」、沖縄での新米軍基地建設、原発再稼働、戦後処理の不公正容認の日ロ領土交渉がゴリ押しされ、地方政治では、これらのゴリ押しのシワよせとして多様な「地方こわし」、9条改憲が自衛隊適格者名簿の提出を自治体に強制するためだという安倍首相の本音もポロリ!
 何をやっても、国会で議席の多数を握っているからわがもの顔の晋三さん。「私は立法府の長」「私は森羅万象を担当」などと妄想を語るようになって久しいのですが、とうとう「病膏肓(こうこう)」に至ったか、今度は「私が国家です」とまで言ってしまいました。ルイ14世が遺した独裁者の宣言は「朕(ちん)は国家なり」でしたが、アメリカのトランプ政権に従属した国家しか見えていない現代日本の独裁者は、思わずボスに媚を売り、シッポまで振ってしまいます。「ちんはちんでも狆(ちん)」と言ったら、まっとうな狆が怒るよなあ。


(173)
盾になれ「辞任ドミノ」を避けるため
「多摩の年輪」346号(2019年02月)

 1月28日に198通常国会が開会。冒頭で日露戦争時に戦意高揚のために使われた明治天皇の歌を引用した安倍首相の「施政方針演説」は、全国民に過重労働・低社会保障・防衛負担をおしつける1億総活躍社会・全世代型社会保障・戦後外交の総決算などの政策を繰り返しただけのものでした。改憲・軍拡・消費税増税・沖縄と主権の破壊に活路を求め、政権のとりまきと国民に「ことある時には命を捧げよ」というわけでしょうが、もちろん国民は黙っていません。この国会は、アベノミクス自慢と消費税増税のための「統計不正」の糾明で明けました。これまでも公文書隠蔽・改ざん・捏造を繰り返してきた安倍首相が根本匠厚生労働相を徹底擁護しています。第1次政権時に経験した「辞任ドミノ」に発展することを避けたいのでしょう。こういう時には自民党内から厳しい批判をして見せるのが毎度おなじみの小泉進次郎厚労部会長ですが、こんどは少し趣きが違います。4日の衆院予算委で質問に立った進次郎さんは「安倍首相ほど時間を使っている首脳はいない、首相の負担軽減を!」とのゴマすり提案をし、野党が求める根本厚労相の罷免についても「大臣を代えたらいいかといえば、それは違う」と懸命に庇いました。彼の「政権批判スタイル」を容認して懐の広さを売りにしてきた安倍政権が、そのゆとりを失っているのでしょう。何があっても「粛々と」多数決を強行する政権ですが、その拠り所となっている「議席の3分の2」が、実は国民の「5分の1」の支持で成り立ったものであることを思い起こし、近づく統一地方選挙と参院選
に向かって「市民と野党の共闘」を確実に前進させることが肝要ですね。



(172)

年頭に猪突を煽る法螺の音
「多摩の年輪」345号(2019年01月)

 自民党の安倍総裁は、2019年を迎えての「年頭所感」で、6年間の安倍政治の到達点として以下のように語りました。「6年が経ち、経済は成長し、若者たちの就職率は過去最高水準です。この春の中小企業の皆さんの賃上げ率は20年間で最高となりました。生産農業所得はこの19年間で最も高くなっています。故郷を想う皆さんの情熱によって、被災地は力強く復興を遂げつつあります。地域の皆さんが磨きをかけた伝統、文化、心のこもったおもてなしによって、外国人観光客数は1千万の壁を突破し、3千万人を超えました。景気回復の温かい風が全国津々浦々に届き始める中で、地方の税収は過去最高となりました」。すべてが事実とは程遠いことに驚きつつ、もはや真実を語れないところまで追い込まれている安倍政権の真実を読み取りたいと思います。この政権が国会で手にしている「議席の3分の2」が、実は国民の「5分の1」の支持によって成り立っている事実を思い起こせば、この政権の拠り所は「虚構の多数」や「虚構の成果」であることが分かります。自民党本部の「仕事はじめ」のあいさつで安倍首相が「猪突猛進」を煽ったことに見られるように、いま安倍政権は「大法螺」を吹きまくって、改憲・軍拡・消費税増税・沖縄と主権の
破壊に活路を求めようとしています。これを跳ね返す「市民と野党の共闘」の確実な前進こそが問われています。


(171)
新基地は軟弱地盤が命取り
「多摩の年輪」344号(2018年12月)

 この臨時国会で、改定入管法・改悪漁業法・改悪水道法、日欧EPAなどの悪法を、まともな審議なしに強行した安倍政権は、改憲と軍拡、これを支える消費税増税、辺野古新基地建設に突き進もうとしています。去る9月26日に安倍首相と会談したトランプ大統領が「日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と勝ち誇りました(同27日「朝日新聞」)。いらい安倍政権は、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショアの2基購入に続いて、F35ステルス戦闘機100機の購入とこれを機能させるための自衛隊護衛艦「いずも」の「空母化」など、膨大な軍拡計画を推進しています。これらを「憲法」と「専守防衛」の範囲内の措置だと説明しつつ、安倍首相は、臨時国会明けの10日には「2020年に新しい憲法を施行させたいとの気持ちは今も変わらない」と述べて、「専守防
衛」の枠を突破する軍拡と消費税増税に野心を燃やしているのです。これらの野心を押し通す「頼みの綱」は、国会で手にしている「議席の3分の2」という「数のちから」であり、与党の支持基盤は3分の2にはとうていおよびません。「虚構の多数」は市民と野党の共闘の前進によって風前の灯です。それは強行しようという辺野古新基地の地盤がヨーグルト状の軟弱地盤であって、工事断念は時間の問題になっていることと符合します。今月はこの妙なる「符号の一致」を描きます。


(170)

落ちかけのウソで築いたウソの城
「多摩の年輪」343号(2018年11月)

 内外情勢から目を離せなません。9月末以降、沖縄県知事選・豊見城市長選・那覇市長選での「オール沖縄」のトリプル圧勝は、安倍政権が推進する辺野古新基地建設、戦争できる国づくりに重大な衝撃を与えました。続いていま、アメリカの中間選挙で安倍政権が縋りついているトランプ政権の足元が揺れはじめました。ひとりよがりの強権政治の「終わりの始まり」という感じです。ところが安倍首相は、辺野古建設工事と安倍改憲をあくまでも推進すると叫び続け、10月14日の自衛隊観閲式で「自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えることが今を生きる政治家の責任」と訓示。臨時国会の所信表明(24日)でも「改憲発議は議員の責任」と胸を張りました。自衛隊の政治的中立、三権分立、首相の憲法「尊重擁護義務」(99条)などを踏みにじるというより理解していないことに、世論の批判が高まっています。そこで出てきた「変化球」がまたおもしろい! 下村博文自民党改憲推進本部長の「安倍色を払拭」発言、萩生田光一幹事長代行の「総理が黙ることで憲法審査会が動くのなら(それもあり)」発言などの「安倍隠し」がそれです。かたちは変えて見せても、国会の多数議席を持っているうちに、軍拡と辺野古建設、安倍改
憲を成し遂げたいとの焦りと野心の現れに違いはありません。「虚構の多数」をはじめとするウソとゴマカシで築いた「ウソの城」の落城は迫ってきています。


(169)
許すまじ! 閉店まぎわの最後っ屁
「多摩の年輪」342号(2018年10月)

 沖縄県知事選で「オール沖縄」の圧勝、翁長さんの遺志を継ぐ玉城デニー県知事の誕生は、安倍政権をかなり慌てさせているようですね。疑惑やスキャンダルが続出した財務省のトップの麻生副総理兼財務相を留任させ、建設業者からの収賄で大臣を辞任した甘利明を自民党選対委員長に、加計闇献金疑惑の下村博文を憲法改正推進本部長に、自衛隊の日報隠蔽問題の稲田朋美を筆頭副幹事長にそれぞれ起用しましたが、これは首相夫妻もからむ「モリ・カケ」疑惑をあくまでも「棚上げ」して逃げ切りたいという焦りの表明でしょう。どう見ても冷静な判断とは思えません。案の定、国民の支持率は急低下中です。
加えて、「改造」によってズラリと並んだ新閣僚の構成は、先の自民党総裁選で党内を統括できなかった安倍総裁が、いよいよ最終人気を迎えるにあたって、「大臣待ち」をしている派閥やグループを忖度して「在庫一掃」にとりくんだとしか思われないシロモノです。しかしちゃっかりと安倍首相と「思想信条?」をともにする「日本会議」メンバーに絞り込み、従来ウソでも掲げてきた「女性活躍」も「公明党との合意形成」も放り出し、「ダメもと」で憲法改悪の野望に賭けようと勝負に出たがっています。ただ1人の女性だからと就任式のドレス騒動で有名になった片山さつき地方創生・女性活躍担当大臣、「教育勅語礼賛」を表明して「名を上げ」ている柴山昌彦文科大臣。今月は、これらの素材にウンザリしながら描いてみました。



(168)

共闘を割られなければ勝つ時代
「多摩の年輪」341号(2018年9月)

 「虚構の多数議席」を拠り所に、特定秘密保護法、安保法制=戦争法、共謀罪法など憲法違反の法律を強行成立させてきた安倍政権は、先の通常国会(7月22日閉会)でも「働かせ方改革」や「TPP法」「カジノ法」を強行しましたが、「本命」の「安倍9条改憲」を国会に発議することはできませんでした。「多数」に奢り腐敗した政権は「森友・加計疑惑」、自衛隊の日報隠し、厚労省のデータねつ造、財務省の不祥事、会期末の西日本豪雨対策よりもカジノ法強行、北海道地震を横目に自民党総裁選実施など、手段を選ばない政権運営・国会運営に流れ、世論の批判が高まる中で改憲発議どころではない状況に追い込まれているのです。いま安倍政権は総裁選と沖縄県知事選を契機に改憲発議のチャンスをつかもうと企てていますが、私たちが「市民と野党の共闘」の分断を許さなければ「虚構の多数」は崩れる所まできています。「安倍9条改憲NO!3000万人統一署名」は昨秋の総選挙で自民党が得た比例票1700万を超えて1850万筆に達しているのです。総裁選と沖縄県知事選の行方がまだ見えていないのですが、今月の漫画は「共闘が勝利する時代」が来ていることを描いてみました。世界では、安倍政権の抵抗にも拘わらず、昨年7月に国連で成立した「核兵器禁止条約」が着実に批准国を増やし、南北朝鮮、米朝は戦争を回避し「平和へのプロセス」を模索する努力を始めています。

 

 

 


(167)
賭け頼み? そんな政治に明日はない
「多摩の年輪」340号(2018年8月)

  安倍首相は「自民党総裁選で3選を果たし9条改憲発議に踏み切る」との野心をあらわにしています。西日本豪雨に遭遇しても、災害対策をそっちのけにして、「赤坂自民亭」なる宴会で若手議員に働きかけ、官邸に無派閥議員を集めて総裁選対策に没頭し、カジノ法=賭博推奨法の強行成立に突き進むという、国民不在の暴走姿勢をあらわにしてきた安倍政権が存続しているのは、国会で「3分の2」を超える「小選挙区制による虚構の多数議席」を持っているからにすぎません。安倍政権が強行成立させてきた悪法の数々は憲法に違反するものばかりですから、「憲法」によって追い詰められています。秘密保護法・安保法制・共謀罪法は具体化の段階で重大なつまづきに直面していますし、「働き方改革法」は職場と企業が受け入れなければ、「カジノ法」は自治体がこれを導入しなければ、実施に移すことはできません。世界で始まった「対話と平和へのプロセス」に逆行する辺野古新基地建設と軍備拡大、人権敵視の言動連発と大量死刑執行は、国民世論と国際世論の中で孤立を深めています。頼りにする「虚構の多数」も市民と野党の共闘によってその足元を脅かされています。暴走すればするほど追い込まれている政権が、この窮地を脱出するためにいま、自らが強行したカジノ法に応えるかのように、「総裁選での安倍3選」「軍備拡大」「安倍改憲の発議」によって「専制的な体制」に逃げ込もうと、破れかぶれの「賭け」に出ていると思います。今月はそんな思いを描きました。。


(166)

ポア前夜 40人のグルが宴会!
「多摩の年輪」339号(2018年7月)

 安倍総理は7月11日からベルギー、フランス、サウジアラビア、エジプトの各国を歴訪する予定を9日になって全てを取りやめ、西日本豪雨による被害への対応を優先すると宣言しましたが、その決断の呆れるほど遅いものでしたね。気象庁が最大級の警戒を呼びかけたのは5日。前日に総裁選の地方票掘り起こしのため、国会会期中なのに埼玉県内を行脚した首相は、この日の昼は自民党の群馬県議らと会食。夜は、翌6日朝から執行する麻原彰晃死刑囚ら元オウム真理教幹部7人の大量死刑を決めた上川陽子法相をはじめ、岸田文雄政調会長、竹下亘総務会長、小野寺五典防衛相、吉野正芳復興相ら40人を超える自民党議員との懇親会で酒を酌み交わしています。麻原らの死刑執行は、不人気法案から国民の目をそらす狙いがミエミエで、この日にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案と参院合区の自民議員救済の公選法改正の参院審議をスタートさせています。被害対策を最優先させると宣言した舌の先で、深刻な被災地の復旧と対応に尽力すべき石井国土交通大臣を委員会に縛りつける参院内閣委を委員長職権で開会してカジノ法案審議の強行をねらうなど、被災地対策は上の空です。

 

 

 


(165)
改憲を邪魔する対話に猛タックル?
「多摩の年輪」338号(2018年6月)

 日大アメフト部の「悪質タックル」事件は、目的のために手段を択ばない悪質で危険な行為への反省を呼び起こし、その背後にある「強権構造」と「忖度構造」が、モリ・カケ疑惑の構造とそっくりだということで世間をにぎわせた。そのにぎわいが、肝心のモリ・カケ疑惑への怒りを反らすために利用されたきらいもあるが、今月は、この「悪質タックル」を、安倍政権の「悪政」に置き換えて描いてみた。当たり前の「内政」力を失ない、隠蔽・改ざんによる「国政私物化」と改憲・軍拡による「政治の強権化」以外に打つ手がなくなっている安倍政権は、これらの妄動を正当化する「拠り所」として、「北朝鮮の脅威」を「国難」として利用してきたが、その「北朝鮮」が「非核化」に向かって韓国やアメリカと対話を初めたために大慌て。アレコレ取り繕いながらも「改憲と軍拡」をつらぬくことに固執しているのは、「対話と外交」に向かって「悪質タックル」を仕掛けているということに他ならない。

 

 

 



(164)

モリとカケ喰い終わるまで待ってくれ?
「多摩の年輪」337号(2018年5月)

 長年の暴走政治を通して堕落を極めた安倍政権は、当たり前の「内政」力を失ない、隠蔽・改ざんによる「国政私物化」と改憲・軍拡による「政治の強権化」以外に打つ手がなくなっているようだ。北朝鮮のミサイル実験についても、危険を回避する「外交」努力よりも、これを改憲と軍拡の遂行に利用する。世界は核戦争の脅威を回避するために「外交と対話」に努力を向けつつあるが、安倍政権は相変わらず「対話」ではなく「圧力と制裁」をと世界に訴え続けている。北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が、韓国のムン・ジェイン大統領に「いつでも日本と対話する用意がある、なぜ日本は直接私に問題を提起しないのか」と語ったという。これは安倍政権が、日本人拉致問題もミサイル実験問題も北朝鮮と直接に折衝せずに、アメリカのトランプ大統領と世界に「圧力と制裁」を訴え続けていることを言い当てていると思われる。アレコレの矛盾を抱え合っている世界の各国が、いざという時には、やはり対話と外交によって平和を確保しようとする時代に、独りモリ・カケ疑惑をごまかして利権を貪り、政権批判を圧殺するための改憲と軍事力強化にうつつを抜かす安倍政権の姿は実に見にくい。今月はそこを絵にしてみた。

 

 


(163)
嘘つきの軍と政府はもうアウト
「多摩の年輪」336号(2018年4月)

 米朝韓の対話外交を世界中が固唾を飲んで見守っている。北朝鮮の挑発を利用して軍拡と憲法改悪をやり遂げたい安倍首相は「対話の時ではない」と制裁一辺倒の外交に固執して、対話外交に取り残されている。小選挙区制で手にした「虚構の多数議席」を失わないうちに、自衛隊を憲法9条に書き込んで「合憲化」し、国民への強権的な支配を完成させたいという邪心が安倍首相の眼を曇らせているのだ。これに対して国民は、長年の暴走政治を通して堕落を極める安倍政権の「隠蔽・改ざん・虚偽」と「国政私物化」の事実を一つひとつ明らかにし、政権支持率を急落させている。安倍首相は、実力部隊としての自衛隊の「合憲化」を焦るわけだが、いかんせんその自衛隊がイラクや南スーダンでの憲法違反の軍事行動を記した「日誌」を国会と国民から隠していた。隠蔽・改ざん・嘘つきの首相と内閣が、同じく嘘つきの自衛隊を憲法に明記する? これを国民が知れば知るほど「9条改憲」をめぐる軍と政府の癒着は断末魔を迎えるにちがいない。

 

 

 



(162)

切りたいがどこが胴やらシッポやら
「多摩の年輪」335号(2018年3月)

 学校法人・森友学園との国有地売買で交渉・契約を担当した財務省近畿財務局に所属していた男性職員が、神戸市内の自宅で死亡していたという。このニュースと前後して前財務省理財局長の佐川宣寿国税庁長官が辞任した。財務省理財局長として国会で行った森友学園問題に関する答弁が「虚偽だ」と指摘され、混乱させた責任を取ったという。すでに森友学園の籠池泰典理事長を獄に繋いで口封じをしてきた安倍内閣だが、いよいよ「トカゲのシッポ切り」を本格化するようだ。しかし「モリ・カケ疑惑」という国政私物化は安倍政権の骨がらみの疑惑だから、佐川氏はもとより、昭恵夫人、麻生財務大臣、加計幸太郎氏などなど、どこを切ってもその傷は心臓(晋三)に届くだろう。今月は「シッポ切り」で収まるものではないということを描いてみた。北朝鮮の暴挙を利用して、軍事不安と「国難」を煽り、日韓による平和のための対話を否定し、軍備拡大と憲法改悪を推進してきた安倍政権が、米朝韓の対話外交の進展のもとで焦っていることも描きこんでみたが、めまぐるしい日々の流れに押され...て、これは添え物になってしまった。

 

 


(161)
核使用を認めちゃったぜ河野さん
「多摩の年輪」334号(2018年2月)

   河野太郎外相が、小型核兵器の開発(使用)などを打ち出したトランプ米政権の「核戦略見直し」(NPR)を「高く評価する」と談話を発表してしまいました。被爆者団体をはじめ国民の批判が噴き上がり、国会でも質問攻めにあった河野さん。先ず「私は核軍縮を進める外務大臣であろうとしている」と大見えを切って見せました。ところがその口の裏から「同時に北朝鮮の核とミサイルかの脅威から国民を守る。その両方をしっかりやる外務大臣になろうと思っている」と本音を語り、NPRは「同盟国に対して核抑止を明確にコミット(約束)している」とか、ロシアの戦術核配備を防ぐために「核使用の敷居を上げようと努力をしている」とか、要するに、北朝鮮の核開発の脅威を口実に、ロシアを一方的に批判して核開発を進める米国を擁護し正当化するばかりです。「核軍縮を進める外務大臣」を隠れ蓑にするなんて罪が深すぎるぜ、河野さん。

 

 



(160)

「どん」とポチ 100%いかがわしい
「多摩の年輪」333号(2018年1月)

 北朝鮮のミサイル発射を「国難」と断じて、世論を脅かしながら「自衛隊の合憲化」(9条改憲)と軍事費の拡大、それを財政的に裏付ける社会保障改悪への道をまっしぐらに暴走する安倍政権は、トランプ大統領と国際社会に向かって「いまは対話の時ではない」と言い切り、北朝鮮への経済制裁と軍事制裁の拡大を訴え続けています。これに対してトランプ大統領が「アメリカは100%日本とともにある」と答えれば、安倍総理も「日本も100%アメリカとともにある」と応じます。調子よい「100%」の安売り合戦は、すこぶるいかがわしい上に、「100%」の中味を軽薄なものにしています。トランプ大統領は日本が米国の武器を購入すれば「米国に多くの雇用が生まれるし、日本が安全になる」と言って、日本に米国製の武器を買うように迫っており、安倍政権は史上空前の軍事費予算案を示してこれに応えようと「100%ポチ」ぶりを発揮しています。いま世界では「核兵器禁止条約」を軸に、核戦争を回避する大きな流れが、北朝鮮と韓国をも対話に向かわせており、アメリカファーストの「どん」も「南北対話を100%支持する」と調子を合わせてポチをがっかりさせていますが、ポチの方は「対話のための対話にさせまい」と必死で韓国を牽制しています。日米同盟の「きずな」そのものがいかがわしいのですね。

 

 


(159)
やめなさい!どっちもどっちの挑発ごっこ
「多摩の年輪」332号(2017年12月)

 北朝鮮がミサイルを発射する、日・米・韓は合同軍事演習の規模を拡大する、・・・・・果てしない「挑発ごっこ」がくり返されています。当事者たちは「核抑止のためだ」と「核抑止論(*)」を言いたてていますが、このやり取りは、一歩間違えば、軍事衝突から核戦争に発展する危険に満ちています。これが人類破滅の道であることはすでに常識であり、世界はすでに「核兵器禁止条約」を成立させ、紛争の「対話による平和的解決」を求めて大きく動いています。ところが安倍首相は「核兵器禁止条約」に反対するだけでなく、北朝鮮のミサイル発射を「国難」と騒ぎたて、米トランプ大統領を「北朝鮮制裁」にけしかけ、日本の「戦争法体制・軍事力の強化」と「9条改憲」への世論づくりに向かって暴走しています。先の総選挙で「国難」をめぐる世論と野党の分断、安倍首相の「モリ・カケ疑惑」隠しなどの「奇襲作戦」を駆使して、与党は3分の2の議席を手にしましたが、これは「北朝鮮と日・米・韓の挑発ごっこ」なしには成功しなかったことです。今月はこの危ない「挑発ごっこ」を、のびたくんのママに叱ってもらうことにしました。 

 *「核兵器の破壊力で脅かして相手の攻撃を未然に思いとどまらせる」として「核保有」を正当化する幻想的な考え方

 



(158)

盗った椅子 座り心地は悪いけど
「多摩の年輪」331号(2017年11月)

思いがけない総選挙が思いがけない結果に終わりました。5年にわたって憲法を蹂躙し、果ては「もり・かけ疑惑」と国政私物化に走り、内閣支持率の急落など、明らかに窮地に立った安倍政権が、北朝鮮のミサイル発射と核実験を利用し、「国難」打開のために憲法9条を変えるとの煙幕で国民の疑惑と批判を反らし、国会冒頭解散、野党分断の奇襲作戦を繰りひろげたもとで、与党は議席の3分の2を獲得しました。投票率が低く、全有権者の中で与党に投票したのは23.8%(自民党17.3%、公明党6.5%)に過ぎないのに、両党で313議席を手に入れたのは、小選挙区制・野党分断・謀略選挙などの「効果」を利用して盗み取ったものと言っても良いでしょう。
安倍政権は、盗った議席を根拠に「国民の支持を得た」と言い張り、北朝鮮危機を一層煽りながら9条改憲への道を暴走しようとしていますが、与党が手にした議席は、足場の悪い不安定な「虚構の椅子」であり、総選挙前までに安倍政権を追い詰めてきた「市民と野党の共同」は、分断攻撃の試練を乗り越えていっそう強固なものに発展しつつあります。複雑な妨害と試練は続くとしても、立憲野党の共闘は、民意を歪める小選挙区制をも「逆用」し、「虚構の多数」をそっくりそのまま国民・市民の側に取り戻す展望をつかもうとしています。今月は、その前で揺らぐ政権の姿を描いてみました。

 

 


(157)
争って見せてはいるがみな仲間
「多摩の年輪」330号(2017年10月)

 1か月前には想像もつかなかったかたちで情勢が激動しています。5年にわたって憲法破壊の悪法の数々を強行し、沖縄の民意を踏みにじり、その挙句に国政私物化=「もり・かけ疑惑」に突っ走ってきた安倍暴走政治が、いよいよ国民から見放される事態が進みました。今回の「国会冒頭解散」は、疑惑を隠蔽し、批判を逸らし、政権の保身と延命を図ろうと、北朝鮮のミサイル発射と核実験を最大限に利用し、軍事的権力の強化や9条改憲を進めようとするもの。これを追い詰めてきた「市民と野党の共同」は、「希望の党」の旗揚げや「民進党」の解体など、複雑な妨害と試練に出遭ってはいますが、これにひるまず、あきらめなければ、歴史は大きな転換を遂げたがっています。すでに10日に公示され、22日に投票日を迎える総選挙は、安倍9条改憲にとどめを刺し、安保法制・共謀罪法の廃止、立憲主義・民主主義の回復、人権と生存権の確立への道を切り開くチャンスに溢れています。これを阻もうと「一極」にまとまったクセモノたちの姿を描いてみました。

 



(156)

米朝の対話阻んで「起死回生」?
「多摩の年輪」329号(2017年9月)

 9月12日、北朝鮮の核・ミサイル実験に対する国連安保理の制裁決議は、軍事摩擦を回避すべきだという国際世論を反映し、対話を重視するものとなりました。より強い経済圧力を提案したトランプ政権も、対話から経済制裁・軍事制裁におよぶ「すべての選択肢」があると表明し、北朝鮮も「アメリカの態度を見極める」と表明するなど、何とか軍事対決を避けようとの姿勢をにじませてきました。
 ところがアベ政権とテレビ局は、間に合いもしないJアラートや大々的な報道特番で「これまでにない脅威」「日本にとって非常に深刻な事態」と騒ぎ立て、「あくまでも日米同盟として強い姿勢を貫いて、経済制裁と軍事圧力の強化で北朝鮮を屈服させるべきだ」という非平和的解決の路線を標榜。日経新聞は、米国が対話に進むことを「思いとどまらせる」ことを提案する始末です。
 世界はいま「核兵器禁止条約」を産み、平和への大道を模索しています。核兵器はもとより軍事制裁・軍事摩擦が無数の人びとの生命と暮らしを奪い、地球環境を切り刻むことを回避するため、対話による平和を求めている中で、被爆国日本が核禁条約に反対し、ひとり「対話を思いとどまらせる」という路線をとっていることは異常という他ありません。
 この異常をただす国民世論は、すでに、「モリ・カケ疑惑」の糾明、内閣支持率の低下、「市民と野党の共同」による政権打倒の流れをつくっています。これを捻じ伏せようと、北朝鮮の「脅威」を最大限に利用し「起死回生」を図るアベ政治。そのもとで微妙に揺れ、内閣支持率の回復に協力し、「市民と野党の共同」にも疑問を許してしまう国民世論。さて、成り行きはいかん?

 

 


(155)
モリとカケ喰って大きなカケに出る
「多摩の年輪」328号(2017年8月)

 都議選に続いて仙台市長選でも自民党は惨敗。自民党と内閣の支持率は急落しています。豊田真由子衆院議員=T、萩生田光一官房副長官=H、稲田朋美防衛相=I、下村博文幹事長代行=S、すなわち大失態4人組の「THIS」も逃げきれなくなりました。安倍内閣は、表看板は変えずに閣僚たちの首のすげ替えで何とかツキを取り戻そうと懸命ですが、そんなことで打開できるようなピンチではありません。それが分かっているからこそこの政権は、「3分の2の国会議席」を持っている間に戦争法と共謀罪法を具体化し、憲法9条改悪で専制政治をつくってしまおうと髪ふり乱しているわけです。しかし、久しくおごり高ぶって暴走してきたこの政権は、腐敗・堕落の極にあります。首相とその夫人も深く絡んだ森友・加計学園の疑惑が、この政権の命取りになろうとしています。今月は、モリ・カケ疑惑を隠しながら、内閣改造によって難局を乗り切ろうというアベさんの悪あがきを描いてみました。「モリ」は検察の手も借りて片づけたつもり、次は「カケ」を何とか片付けて、政権維持と改憲・強権への大きな賭けに出るという図です。

 



(154)

近頃は「こんな人たち」増えました
「多摩の年輪」327号(2017年7月)

 自分の9条改憲発言について国会で問われた安倍首相が「詳しくは『読売新聞』を熟読せよ」と言うほど、信頼を寄せる「読売新聞」の世論調査で、内閣支持率は36%に、自民党の支持率は31%に下落しました。一昨年の「安保法制=戦争法」、南スーダンへの自衛隊「派兵」、先月の現代版治安維持法「共謀罪」法を強行したアベ政権への国民の怒りがいよいよ姿を現した感があります。さらにこの政権は、加計学園疑惑を隠し、辺野古新基地建設を強行し、「3分の2の国会議席」を持っている間に憲法9条改悪を強行しようと策動を急いでいますが、「THIS」と呼ばれる4人組(豊田真由子衆院議員、萩生田光一官房副長官、稲田朋美防衛相、下村博文幹事長代行)の失態を庇い続ける安倍首相への国民の批判は高まっており、「安倍はやめろ!」と抗議する人びとに「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と安倍首相が絶叫した都議選では見事に自民党が惨敗しました。時代の流れが見えてきたのではないでしょうか。

 


(153)
発言を押さえつけたり脅したり
「多摩の年輪」326号(2017年6月)

 安倍政権は「3分の2の国会議席を持っている間に」憲法9条に第3項=自衛隊を書き込もうと、公然と動き出しました。共謀罪法案の成立を急いでいるのは、自由と民主主義、憲法を守る言論と運動を粉砕して、憲法改悪を推進する準備に他なりません。金田法務大臣のシドロモドロの国会答弁で共謀罪の問題点をあいまいにしてきた安倍首相が、答弁しようとする金田大臣の肩をワシ掴みにして発言を封じたのは、「黙秘」の中で共謀罪の成立を謀るものです。加計学園の獣医学部新設に「官邸の最高レベル」が関与したという、安倍政権の進退に関わる前川前文部科学事務次官の重大な証言をもみつぶすために、首相官邸がスキャンダルをリークして脅しましたが、これは、沖縄・辺野古に新基地を建設するために反対運動を弾圧していることとあいまって、事前・日常の身上捜査や、国民・住民の運動への弾圧が強化されている事実を明らかにするものです。共謀罪法案の内容や「モリとカケ」疑惑への説明責任を棚上げし、「沈黙の暴走」を続けるアベ政治の拠り所は、もはや「3分の2」の国会議席だけなのですが、この議席は国民の2割程度の支持で掠め取った「幻の多数」に過ぎません。いま、加計学園と9条改憲は安倍内閣の支持率を急落させています。



(152)

ウキウキと北の脅威を煽りたて
「多摩の年輪」325号(2017年5月)

 北朝鮮に核開発を放棄させ、戦争を避けるためには、問答無用の軍事制裁・経済制裁ではなく、6者協議の再開、対話を基軸とする外交努力が重要であることが中国・ロシア・韓国など近隣諸国の主張となっており、米国トランプ政権も条件つきながら北朝鮮との直接協議の可能性を表明しています。
 ところがその中でただひとり、マスコミを動員して北朝鮮の脅威をウキウキと強調し、自衛隊に米軍艦艇防護までさせてトランプ政権に軍事制裁を焚き付けている安倍首相が、憲法施行70年の節目に「2020年には新憲法を施行する」と発言。ついにその本性を現しました。現行憲法の9条1項と2項を維持し、3項以降に自衛隊を明記するという構想は、一昨年強行した安保法制(戦争法)が違憲であることを認め、「違憲なら憲法を変える」という外道に踏み出したものです。悪名高い「自民党改憲草案」を党内の手続きも踏まず(党内に厳しい批判が噴出している)突然に捻じ曲げて、憲法破壊・米軍基地拡大・原発再稼働・軍備拡大・共謀罪法など、国民に戦争を押し付ける「強権国家」づくりに公明党なども取り込もうとする「悪の一点共闘」ですね。戦争法廃止・立憲主義回復を求める「市民と野党の共闘」への真っ向からの挑戦です。


(151)
憲法も国連もない邪鬼の道
「多摩の年輪」324号(2017年4月)

 アベ暴走政治を封じるために、市民と野党の共闘を工夫している私たちの前に、アメリカの国益のためなら何をするか分からないトランプ暴走政治が現れた。「教育勅語」を丸暗記させられた園児たちが「アベ総理大臣がんばれ」と叫ばせられている動画を思い浮かべながら、安倍夫妻に、この園児たちとお揃いの園児服を着せ、「教育勅語」の眼目を暗唱させ、「トランプ大統領がんばれ」と叫ばせてみた。暴走する日米の政権が、憲法も国連憲章も理解しないまま権力を握ってしまった幼稚な政権であることが描けたように思う。邪鬼たちの危険すぎる悪戯と暴走を1日も早く抑えなければ!

 



(150)

籠池や買わずにアベと共謀し
「多摩の年輪」323号(2017年3月)

 園児に「教育勅語」を丸暗記させる「塚本幼稚園」を経営する大阪市の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)は、総理夫人の昭恵氏を名誉校長とする「安倍晋三記念小学院」を新設するために、豊中市の国有地を“タダ同然”で手に入れた。鑑定評価額9億5600万円の土地だが、国交省が「ヒ素と鉛を含むゴミを取り除く費用」として8億1900万円を割り引いて1億円強で払い下げた。「教育勅語」を暗記させて何が悪いと文科省を恫喝していた稲田防衛大臣は「交流等を通じて防衛基盤の育成と自衛隊員の士気高揚に貢献した」として籠池理事長に感謝状を贈った。まさに「アベ一族」の揃い踏みだ。
 問題の土地は「もともと畑であって埋めたて地ではない、そこにはヒ素や鉛、産業廃棄物などなかった」との地元住民が証言し、8億円の値引きの根拠が疑惑を呼び、国有地を食いものにする「アベ一族の共謀」が、国民の目の前で明らかになってきた。


(149)
ご主人の顔色次第のしもべたち
「多摩の年輪」322号(2017年2月)

 「アフガニスタン(の連中)を的にするのは死ぬほど愉快。実際、戦うのは楽しい。正直に言えば、私は喧嘩が好きなんだな」・・・こんな発言で「狂犬」の異名をもつアメリカのマティス国防長官が来日しました。いそいそと異例の「おもてなし」をした安倍首相と稲田防衛大臣は、長官の「辺野古移転が唯一の選択肢」「尖閣諸島は安保条約5条の適用範囲」との発言に有頂天。この発言をかざして沖縄の辺野古新基地の埋め立て工事、日本の軍備・軍事費拡大の策動を進めています。アメリカが移民を締め出す「大統領令」を発して世界中から顰蹙を買っていることには一言の批判もせず、トランプ・アメリカのしもべになり切って、破綻しつつあるアベノミクスと暴走政治に「活路」を見出そうというのでしょう。今月はこの「しもべ外交」の可笑しさ・危うさとともに、その危なさも描いてみようと挑戦しました。

 



(148)

エンジンを止めれば落ちるミスプレイ
「多摩の年輪」321号(2017年1月)

 昨年12月13日夜に名護市安部の海岸で発生した「オスプレイ墜落事故」で、アメリカ海兵隊は原因も明らかにできないまま同機の訓練再開を強行し、安倍政権はこれを容認しました。危機管理さえできないままに突っ走る姿は、安倍政権の末期的な症状を物語っています。一昨年の安保法制強行いらい、安倍政権は沖縄での暴力的な新基地建設、原発再稼働、南スーダンへの派兵、米国との軍事訓練、英国・オーストラリア・インドなどへの武器提供や原子力協定の推進、憲法審査会も再開、TPP・年金カット・カジノ解禁法案など、常軌を逸した強行・強行採決政治を推進してきました。さらに現在は、緊急事態条項の導入やテロ防止法(実は治安立法「共謀罪」)の成立を狙っています。ではなぜ「常軌を逸した強行」かと言えば、エンジンを止めれば必ず墜落することが明らかだからです。墜落しても飛び続けようとする危険な「アベノミクス・オスプレイ」(「ミスプレイ」?)は、国民と野党の共闘で止める他ありません。


(147)
トランプも呆れるような「凶行」採決
「多摩の年輪」320号(2016年12月)

 一昨年の集団的自衛権容認の閣議決定、昨年の安保法制の強行採決、いずれも掠め取った「多数議席」を振りかざして憲法を踏みにじる暴走でしたが、それは今日さらに加速しています。安倍首相は「わが党は立党以来、強行採決をしようと考えたことはない」「私が述べたことをまったくご理解いただいてないようでは、こんな議論を何時間やっても同じ」などの暴言を重ね一歩も引かない強行採決(まさに凶行採決)を繰り返しています。TPP、年金カット法、これらを成立させるための国会会期延長。加えて異常な性急さで持ち出された「カジノ解禁法案」は、トランプ次期アメリカ大統領のスポンサーであるカジノ王が日本進出を望んでいるのでこれに媚びを売るもの? 沖縄での暴力的な新基地建設、原発再稼働、南スーダン派遣の自衛隊への新任務付与、米国との軍事訓練、英国、オーストラリア、インドなどへの武器提供、インドとの原子力協定を推進し、自民党憲法草案を振りかざしたまま憲法審査会を再開させてもいます。緊急事態条項の導入やテロ防止法(実は治安立法共謀罪)の成立を狙っています。これらの凶行を止めるには、参議院選挙や新潟県知事選挙のような国民と野党の共闘を本気で発展させるしかありません。政党間の綱領や理念が違うのは当然ですから、違いを前提に当面の一致できる政策を協議することが大切だと、つくづく思います。

 



(146)

あだ花を手なづけようと胸焦がし
「多摩の年輪」319号(2016年11月)

  11月9日にトランプ米大統領の誕生が確定。このテーマはスルーする積りでしたが、フェイスブックで「アメリカ大統領がトランプだからって何ビビッてんだよ。日本なんて安倍だぞ」という投稿を見て、トランプが何をやるかということよりも、何がトランプを大統領にしたか、また、安倍政権はトランプをどう利用しようとしているか、という視点から、このテーマに手を出すべきだと考えました。米経済政策研究所は「2009年から13年にかけて富裕層上位1%の収入の伸び率は残りの99%の約25倍に」なったとしていますが、貧困と絶望にさらされ、既存政治への不信と怒りを募らせている99%のアメリカ国民が、止むに已まれずに咲かせてしまった仇花(あだばな)がこの大統領です。そしてわがニッポンのアベは、自らの暴走政治の仕上げと、日本の軍備拡大・憲法改悪にトランプを利用しようと、胸躍らせている。今月はそんな思いを描きました。


(145)
カニむかし、騙された日もあったけど・・・
「多摩の年輪」318号(2016年10月)

 安倍政権は「アベノミクスの破たん」を認めないばかりか、アベノミクスは道半ばとはいえ「果実」を生んでいると言い張っています。そして、その「果実」を社会保障の充実、賃金の引き上げ、格差の是正、高齢化対策、女性の社会進出などの「働き方改革」にふり向けていると宣伝していますが、いずれも看板だけで中身はほとんどありません。ところが安倍政権は、貧弱な「果実」を誇大に宣伝し、これと引き換えに、サラリーマン世帯に年額6000億円の増税を強いる配偶者控除の廃止をはじめ、消費税の増税、介護サービスの縮小、年金給付の削減、高齢者の医療費負担増などを国民に押しつけてきています。今月の漫画は、小さな柿の種と大きな握り飯をとり換えっこしたサルとカニの昔ばなしを思い出しながら描きました。折しも発覚した主要閣僚たちの「白紙領収書」事件の「汚れたとり換えっこ」も頭をよぎり、もう国民はむかしのカニのようには騙されないぞと歯噛みをしながら描きました。
カニむかし、騙された日もあったけど・・・

 



(144)

土管から飛び出したけど何処行くの?
「多摩の年輪」317号(2016年09月)

 先の選挙中、本音と本性を封印し、ひたすら国民から虚構の多数議席と支持を騙し取ることに奔走したアベ与党。これに成功して議席の3分の2を手にするや否や封印を解き、「これこそ政治の技術だ」とうそぶいて、一気に暴走を開始しました。戦争法の発動と憲法改悪、原発再稼働、沖縄への強権発動、アベノミクス救済・大型公共事業のためのバラマキ経済対策、医療・介護・社会保障の抑制などを振りかざし、リオ五輪の閉会式では土管から飛び出すパフォーマンスで浮かれています。しかし、これらの行く先はどこなのでしょうか? 世界の平和と国民経済を犠牲にし、何よりも国民のいのちとくらしを踏みにじる、破れかぶれの「底なし沼」に向かう暴走は、度重なるミサイル発射実験で国際的な批判を浴びている北の大将から「何処に行くの?」「ウチを批判できるの?」と笑われそうな危険に溢れています。これに対して、戦争法廃止、立憲主義回復、個人の人権の尊重という目標を掲げる野党共闘がジワリジワリと前進を重ねていることに希望があります。


(143)
騙し取った議席で狙う逆噴射
「多摩の年輪」316号(2016年8月)

 都知事選が終わりました。参院選で危険な改憲勢力に、虚構のものとはいえ「3分の2」の議席を奪われたのに続いて、東京では改憲・核武装のツノを隠した女性に都知事の席を奪われました。参院選でも都知事選でも、改憲・核武装・「靖国」派与党は、自らの本音と本性をひた隠しにして、国民と都民から虚構の多数議席と支持を騙し取ることに成功し、それを足掛かりに全閣僚を「靖国」派で固めました。これらは日本国憲法とその9条にとって、予断を許さない危機的な状況です。しかしその一方で、戦争法廃止と立憲主義回復を求める市民運動、これと呼応する立憲野党の奮闘が、参院選32選挙区での「野党共闘」を実現して11選挙区で勝利、これを東京に発展させた統一候補の擁立という、今後の市民と野党の共闘の前進に結びつく確かな積み重ねがあります。ここに、彼らの暴走と逆噴射を抑え込む展望があります。



(142)

野合して議席とカネをかき集め
「多摩の年輪」315号(2016年07月)

 18歳選挙権などによって有権者数が1億500万人に増えて行われた参院選が終わりました。「改憲勢力が議席の3分の2を占めた」と言ってアベさんが鼻のアナを膨らませます。しかし、比例の投票数は5586万人(時事通信の計算では投票率53・5%)にとどまりましたが、安倍暴走政治に反対する4野党が32の小選挙区で共闘し、11選挙区で勝利することによって小選挙区の弊害を押し返したことを忘れてはなりません。前回の参院選と比べて4野党の得票増は589万、自・公両党の166万増の3・5倍におよびました。この結果、自・公の得票2768万(得票率49・6%)に対して、4野党は2036万(36・4%)まで肉薄しました。ところが、獲得した議席の数は自・公が70議席(非改選と合わせると135議席)、4野党が40議席(同79議席)となり、自・公を補完する勢力を加えると「改憲勢力」が3分の2の議席に届くということでアベさんの花のアナが膨らんだというわけです。おまけに、国民の権利を侵害して税金を分け取りする「政党助成金」が、この議席率に応じて膨らみ、自民党だけでも175億円、「改憲勢力」合わせて218億円が転がり込んでくるのですから、アベさんが「飛ぶ鳥も落とす勢い」を錯覚するのは当たり前です。こんなこと、天はいつまで許しておくのかなあ。


(141)
口は八丁 手足のクセはそのまんま
「多摩の年輪」314号(2016年6月)

 こんどの参院選は32の一人区すべてで「野党共闘」が成立して、歴史的な選挙戦になっています。安倍「自・公野合」内閣による「平和安全保障法」という詐欺師的な名をつけた法律(実は集団的自衛権を容認する「戦争法」)の強行が、日本の平和憲法を蹂躙するものだということが、広範な国民の不安と怒りをよび、これを強行した「自・公」の議員を減らさなければならないという思いが国民世論になっているからです。そして、「野党共闘」に怯える安倍「野合」与党は、こともあろうに「あれは野合だ!」とヒステリックに攻撃しながら、すでに破たんしている「アベノミクス」を成功していると言い張って、参院選で国民の支持を詐取しようとヤッキですが、深刻な消費低迷の中で消費税増税の延期に追い込まれ、しかも「同時選挙」も断念せざるをえない安倍政権の姿が「アベノミクス」の破たんを立証しています。「日米同盟」にすがりつけば、米兵が強姦・殺人を繰り返し、東京オリンピックに活路をもとめれば舛添都知事がその「手クセ」の悪さで風前のともしび。さあさあ、正念場です。


(140)

矢も弾も的を外れて「七患王」?
「多摩の年輪」313号(2016年05月)

 熊本・大分を襲っている大型地震の揺れが収まらず、被災者は絶望と向き合いながら命がけのたたかいを続けています。ところがアベ首相はこれを尻目に外遊に出かけました。元外交官の天木直人氏は「サミット直前に参加国に行く必要はありません。すぐに会えるわけですから。安倍首相はすでに3度もサミットに参加していて、各国首脳と電話で話せるような“ホットライン”をつくれていなければいけない。それもないということなのでしょう。本来なら日本に残り、熊本地震への対応に専念すべきです」と言っていますが、5日間で6か国の首脳を、それこそ「弾丸」のように歴訪したアベさんには慌てる理由がありました。それは「三本の矢」も「新・三本の矢」も破たんし、金看板の「デフレ脱却」も色あせる中で、何とか各国首脳の応援を取り付けるための「弾丸」歴訪だったわけですが、それも「温度差」や「すれ違い」が目立ち、急激に進行する「アベノミクス」の破たんを取り繕う助けには程遠いようです。今月は、囲碁の世界で「七冠」を獲得した井山裕太十段の快挙に対比させて、アベさんに「七患王」の称号を与えることにしました。


(139)
戦争法廃止に怯え妄・虚言
「多摩の年輪」312号(2016年4月)

 最近の世論調査では安全保障法制(戦争法)を「評価しない」国民が半数近くにも上り、「評価する」を上回っている。それなのに、この世論に応えて野党が共同で提出した「戦争法廃止法案」に対して安倍首相は「廃止すれば日米同盟の絆を損なう」としてこれを無視。自民・公明与党は「蒸し返すだけ」だからと国会での審議を拒否している。「戦争法の廃止」「集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回」「立憲主義の回復」を求める国民の声が、「野党は共闘!」の大きな流れを生み出しているのだが、これを敵視する人びとは、「戦争法廃止」の要求に対して、常識では考えられない攻撃に出ている。札幌市議会で、自民党の勝木勇人市議が、安保法廃止を求める意見書案をめぐり賛成発言をした共産党市議に「精神鑑定を受けた方がいいんじゃないのか」とヤジを飛ばしたかと思えば、NHK討論では高村正彦副総理が「旧民主党から審議をしろという話はないし、一部の議員から審議しないでくれとの声があった」から審議する必要はないと繰り返す。恥も外聞もなく、理性もかなぐり捨てた「妄言・虚言」という他ないだろう。


(138)

トランプも呆れる?口から出放題
「多摩の年輪」311号(2016年03月)

 名護市辺野古への新基地建設に向かって暴走していた工事が止まった。安倍首相が訴訟の「和解」を宣言したのだ。そうしておいて『辺野古が普天間返還への「唯一の選択肢」だ』と言ってのけるのだから支離滅裂なのだが、オール沖縄の果敢なたたかいが政権を追い込んだことは間違いない。これに加えて、国会で「(明文改憲を)在任中に成し遂げたい」「先の総選挙でもそれを訴えているわけだから、それを目指したい」と言い放ったと思えば、それは本気かと追及されると「九条改正への国民の理解が広がっていないことは認識している」と言い逃れる。迫る参院選で「3分の2以上議席」を獲れば、一気に「明文改憲」できると考えて、支持を広げるためにはなりふり構わず「口から出まかせ」という図なのだろう。これには、口から出まかせで人気絶頂?のトランプ大統領候補もびっくり!




(137)
凶行を合法化する壊憲論
「多摩の年輪」310号(2016年2月)

 

 安倍晋三首相が国会答弁で、戦力不保持を規定した憲法9条2項の改定=削除に連日言及。昨年9月の戦争法=安保法制の強行によって、憲法で権力を縛る「立憲主義」を破壊した暴走を、9条の条文そのものを変えて取り繕おうというのでしょう。7割の憲法学者が自衛隊に違憲の疑いを持っている状況を引き合いに出し、「憲法違反の疑いを持っている状況をなくすべきだ」と9条改憲を説明するにいたっては、もはや倒錯というより錯乱状態です。今月の描き手も錯乱気味ですかね。

 


(136)

支持率を足して足りなきゃこのポーズ?
「多摩の年輪」309号(2016年01月)

 第2次安倍政権は12月26日で発足3年を迎え、「桃栗3年」を収穫できたとうそぶいた。だが、戦争法の強行という歴代政権が犯したことのない歴史的な「凶行」は新しい年を迎えて、ますます広範な国民の批判を浴びている。消費が伸びず破綻に瀕する「アベノミクス」を繕う新「3本の矢」についても「法螺とバラまき」との批判が高まっている。来たる参院選で大阪維新と癒着して議席の3分の2をかちとって「憲法改正」に踏み出すと豪語するが、1月の「NHK世論調査」では自民党・公明党・大阪維新の会の支持率は合計43.7%で、3分の2どころか過半数にも程遠い。足りない分は、お得意の暴走キックで蹴り上げてクリアするとでも言うのかい? 五郎丸選手じゃあるまいし、そんなポーズとってもアカンもんはアカンと思いまっせ。


(135)

やっこさん どちら行く? コリャコリャ
「多摩の年輪」308号(2015年12月)

 安倍内閣は臨時国会の召集に応じず、戦争法、TPP、マイナンバー、マンション偽装、沖縄敵視などの重要課題、内閣閣僚の「政治とカネ」疑惑などを隠蔽したまま暴走を続けている。国会召集を拒否するために海外出張に明け暮れる安倍首相を支える菅儀偉(すが・よしひで)内閣官房長官の挙動が目立つ。「産んで国家貢献を」という発言で顰蹙を買ったほとぼりも冷めないのに、「沖縄県知事に基地判断はできない」と辺野古新基地実現の法廷闘争を起こしたかと思うと、「物価2%とGDP600兆円を何としても達成したい」と安倍さんバリの大法螺も吹く。官房長官の在職日数が歴代3位になったそうだが、この間に手にした「強権」の毛槍を振りかざして、破綻が明らかなアベノミクスと新・3本の矢に「実現の環境」をつくるのだと「露払い」に邁進する「やっこさん」の姿を、今月はお囃子つきで笑い飛ばしてやろう。ヤッコさん、どちら行く、お伴はつらいね、ハアコリャコリャ!

 


(134)

開催拒否、それで何とかなる気かい?
「多摩の年輪」307号(2015年11月)

 戦争法、環太平洋連携協定(TPP)、マイナンバーの実施や原発再稼働、マンション建設のデータ偽装問題、辺野古新基地建設への暴走など、国民の安心・安全にかかわる重要課題が山積している。加えて、改造された第3次安倍内閣の閣僚たちの「政治とカネ」にかかわる疑惑が続出している。これまで暴走に次ぐ暴走を重ねてきた安倍内閣は、これらについて国民にていねいに説明する必要がある。民主、共産、維新、生活、社民の野党5党と無所属クラブの1会派は21日、憲法53条(衆参両院いずれかの4分の1以上の議員の要求で内閣に国会召集義務)に基づいて臨時国会の召集を求めた。ところが現在まで安倍内閣は応じていない。国会の開会を拒否して、何をしようというのか? 今月はここに疑問を投げかけてみた。


(133)

「総活躍」の意味は蹶起か玉砕か
「多摩の年輪」306号(2015年10月)

 安倍内閣は、「国民世論」と「党内世論」の警告を無視して、実に姑息な抜き打ち採決を含む「不法」を重ね、とうとう「戦争法」を成立させました。国民各層は、その無効と廃止を求めて、いよいよ大きなたたかいを始めています。強行採決で通さざるを得なかったところに、孤立を意識している安倍政権の危機感がにじみでていますが、強行採決後の彼らの危機感は尋常ではありません。安倍首相が「1億総活躍社会」とか「女性と高齢者がもっと働く社会」とか言い出したかと思えば、菅官房長官が「子どもをたくさん産んで国家に貢献を」などと暴言を吐きました。戦前の軍国主義政治を推進した大政翼賛会が、「進め一億火の玉だ」と「一億総蹶起」をあおるポスターや、「贅沢は敵だ」と暮らしと社会保障を抑制するポスターを貼り巡らし、「産めよ殖やせよ」と兵士増産を強制した時代の再現で、何としても強権的にこの危機を乗り切ろうというのだろう。国民は、私たちは「やつらを通すな」と立ち上がるしかない。


(132)

警告をムシして落ちる崖の下
「多摩の年輪」305号(2015年9月)

 「民主主義では、全会一致の決議は無効である」と、安倍総理の「全体主義」を諫めた野田聖子がサジを投げた。7つの派閥を支配し、出馬断念を迫らせた安倍首相は、その思惑通りに総裁選を無投票で通過した。「安保法制」成立に鼻息荒く暴走する安倍政権に、広範な青年学生・高校生が「安保反対」と声をあげ、労働者・市民・ママさんたちが「戦争はいやだ」と立ち上がり、大半の学者・知識人・憲法学者・法曹人も、元法制局長官や元最高裁判所長官も「安保法制は憲法違反だ」と指摘している。安倍首相は「せめて総裁選をやって!」というか細い「党内世論」ばかりか、この圧倒的な「国民世論」をも無視して、まさに「全体主義」による「独裁体制」を固めたつもりなのだろう。
 だが、誰の意見も批判も受け付けつけない「独裁」は、客観的に情勢を分析することができないという重大な弱点を持っている。勝ち誇って暴走を加速する足元に、いま「国民世論」と「党内世論」が警告している命取りの断崖絶壁が待ち受けているのに気づくことができない。
 足元に待ち受ける断崖絶壁を、もんどりうって落ちていくのは時間の問題だ。


(131)

でまかせが あれ?本当になってきた
「多摩の年輪」304号(2015年8月)

 ついに安倍政権は、衆院で戦争法案を強行採決しました。北朝鮮のミサイルや中国の軍事力を名指しで「脅威論」を繰り返し、戦争法案への理解を求めるこの政権の姿は、戦前の軍国主義日本の姿にそっくりですから、多くの国民はこれに警戒を覚えています。衆院での強行採決は、憲法も法律も国会も無視する「戦争法案」の真の姿と、民意を蹂躙する「独裁政権」の危険な姿を天下に明らかにしました。これを契機に、この政権に対する国民の支持は急落しています。
 国立競技場建設の白紙撤回、辺野古新基地建設の1カ月中断、TPP交渉の不調などなど、この政権が強行してきた傍若無人な政策の中枢が、ボロボロと音をたてて崩れ始めています。「ミサイルがくるぞ〜」と脅威をあおったオオカミ少年に、世論の批判がいっせいに降りかかってきているのではないでしょうか。

(130)

決めるのは政治家でなく国民です
「多摩の年輪」303号(2015年7月)

 
 「平和安全法制は憲法違反である」と国会で指摘した3人の憲法学者に対して、安倍晋三総理と高村正彦副総理は、50年以上昔(59年)に「憲法9条のもとで在日米軍の駐留が認められるかどうか」という問題に最高裁が「裁判所の審査はなじまない」という判断を示した「砂川判決」をコジつけて反論しました。さらに安倍首相は「従来の憲法解釈に固執するのは政治家としての責任放棄」と言い切り、憲法学者が何と言おうと、違憲か合憲かを判断するのは裁判所であり、法律の必要性を判断をするのは政治家なのだと居直りました。95日の国会会期延長を強行し、憲法違反の戦争法案を何が何でも成立させようとする安倍自公政権に、「決めるのは国民だ!」と伝えたい。これが今月の漫画にこめる私も思いです。

(129)

答弁のたびに馬脚があらわれる
「多摩の年輪」302号(2015年6月)

 憲法と9条を破壊して「日本を戦争できる国にする」ことを狙っているのに「平和安全法制」と名付けられた法案が国会に持ちこまれました。「オレオレ詐欺」も真っ青になる「真っ赤なウソ」で包まれたこの法案、国会審議の中で次つぎに本性をあらわしています。まず安倍首相が「ポツダム宣言はつまびらかでない」と答弁し、「戦後レジウムからの脱却」を叫んで暴走してきた彼が実は日本国憲法誕生の背景も知らなかったという「馬脚」があらわれました。衆院の憲法審査会では、自民党が推薦した学者も含む3人の憲法学者がこの法案を「違憲」と批判。菅官房長官は「合憲を主張する学者はいっぱいいる」とうそぶき、中谷防衛大臣は「憲法を法案に適用させたい」と豪語しましたが、200人を超える憲法学者が「違憲」と声明し、元自民党幹部の山崎・亀井・藤井・武村氏らが法案への反対を表明するにおよんで、安倍暴走政治は明瞭な破綻に直面しています。破綻に気づかず暴走を続ける愚かな政権に、どう思い知らせるかが問われています。

(128)

切れ目なく 安倍と安保が暴走中
「多摩の年輪」301号(2015年5月)

 
 「切れ目のない安全保障法制」をつくって、日本軍が「いつでもどこでも」戦争に参加するのだといいます。21世紀の世界は、戦争を克服して平和のルールをつくる努力を重ねているというのに、憲法九条を持つ日本がなぜわざわざ「恒久戦争法」をつくるのか? 国会審議すら行っていないのにアメリカの議会で約束し、米軍が首都東京の横田基地に10機ものオスプレイを配備するのを歓迎し、自らも米軍の言い値(3600億円)でオスプレイ17機を購入すると言いふらす。・・・こんな理不尽な暴走を、有権者総数のわずか17%の支持で成立した政権に欲しいままにさせておいていいのか! 今月はそこを描いてみました。事故率が異常に高い危険なオスプレイを全国に配備すると言いますが、首相官邸や善光寺に墜落して話題になっている小型無人飛行機=ドローンと同じ運命をたどるんじゃないかという予感から、安倍さんの手に無線操縦機を握らせましたが、これは余談です。

(127)

憲法よ そこ退けそこ退け暴言が通る
「多摩の年輪」300号(2015年4月)

 
 陸上自衛隊北部方面総監だった千葉徳次郎陸将が自衛隊員に「命を賭す職務につく軍人の矜持(きょうじ)」として「遺書」を書けと命じたことが明るみに出て、安倍政権の「戦争する国」づくりの具体化が戦慄を呼んでいます。そんな折も折、国会では、答弁席からの品の悪いヤジで顰蹙を買ってきた安倍晋三首相が、歴代政権が「軍隊ではない」と説明してきた自衛隊を「わが軍」と呼び、菅義偉官房長官も「国際法上は軍隊だ」とこれをフォローしました。自民党の女性局長である三原じゅん子参院議員が「日本が建国(神話復活!)以来たいせつにしてきた価値観」として「八紘一宇」を礼賛しました。暴言を重ねて、日本国憲法9条を吹き飛ばしてしまおうとする狙いがありありです。今月はそこを描いてみました。

(126)

隠滅へ総理が「ヤジ」で指揮をとる
「多摩の年輪」299号(2015年3月)

 
 企業献金と政党助成金は、財界と国が金権で政党を手なずけ、これを支配するもの。そのもとで政党の堕落がすすんでいます。多くの閣僚たちに関わる「違法献金」疑惑は、ついに安倍首相の問題に広がり、疑惑を追及する野党の中にまでおよんでいます。この事態を迎えた安倍首相はと言えば、疑惑に蓋をするために、自ら先頭に立って根拠もない「ヤジ」や「言葉に気を付けたほうがいい」などの脅迫を繰り返しています。その尻馬に乗るように国会でも都議会でも品のない「ヤジ」が横行し、巷では粗暴な「ヘイトスピーチ」がかしましい。「もう漫画にもならねえや!」という怒りと哀しみに襲われながら、あえてこの風潮を描いてみました。

(125)

国民を視野狭窄にするねらい
「多摩の年輪」298号(2015年2月)

 
 
 「イスラム国」の蛮行に対する安倍政権の対応は、大声で「テロとは断固たたかう」「決して許さない」「償わせる」などの挑発を繰り返すだけで、人質の人命を二の次にしたばかりか、この機会に「集団的自衛権」の行使や憲法九条の改悪、安保法制の整備に国民意識を動員し、海外での戦争で「指導性」まで発揮したいという野心を剥き出しにしたものになっている。
 国民の視野を「イスラム国の脅威」「テロとの戦い」という問題に狭窄させるところに、安倍暴走政治の狙いがあることを、今こそ見抜く必要がある。今月はその思いを描いてみた。

(124)

トリックがばれてトリクルダウンせず
「多摩の年輪」297号(2015年1月)

 
 投票しなかった人を含むと、先の総選挙で自民党を支持した国民は比例で17%に過ぎない。選挙制度のトリックで「虚構の多数議席とこれに見合う政党助成金」をだまし取った安倍政権は、臆面もなく「国民が背中を押してくれたから」と称して、すでに破たんしている暴走政治の推進に余念がない。しかし「3本の矢」によって「財界・大企業の利益を拡大し、それを国民の暮らしにトリクルダウン(したたり落ち)させる」というアベノミクスのトリックもすでに破たんしている。これを、魔法の止め方を知らない「魔法使いの弟子」が「3本の矢」を魔法で働かせている危なさとして描いてみた。

(123)

国民の支持もないのになぜ勝てる? 「多摩の年輪」296号(2014年12月)

 
 おやおや、総選挙の結果は、崩壊過程にある暴走・安倍政権に安堵をもたらしたというのだろうか。アベノミクスと暴走政治は、消費税・安保・沖縄・原発・TPPなど、あらゆる分野で国民の総批判を浴びている。そもそも今度の解散・総選挙は、これらの暴走政治の破たんを、何とか国民の目から反らそうというものだったのではないか。こんな政権が、どうして「議席の3分の2」を握ることが出来るのか。
 今月は、このような「勝利」が、金権・腐敗の温床になっている「政党助成金」と、小選挙区制・比例定数削減などによって支えられていることに着目した。

(122)

失政の雲散霧消が始まった
「多摩の年輪」295号(2014年11月)

 
 いよいよ安倍政権の崩壊です。消費税も安保も原発も、国民の総批判を浴びている問題について「国民の信を問う」というのが「大義」だというが、実は、アベノミクスの破たんの現れに他ならないこれらの問題を先送りして、何とか国民の目をごまかそうという「大疑」の方が本質だろう。アベノミクスを争点化するという解散・総選挙を、「アベノミクスの雲散霧消・総選挙」と言い換えて、国民の底力を発揮する絶好のチャンスにすることが問われている。

(121)

その内に「羊の皮」も怒り出す
「多摩の年輪」294号(2014年10月)

 「女性の登用」という派手な看板で内閣支持率の低下を食い止めた安倍内閣だが、相と彼女たちの言動が国会で追求され、いずれも折り紙つきの「超タカ派」ということがばれてしまった。安倍首相、稲田政調会長、高市総務相、山谷えり子公安相らは揃って「閣僚の1員としてはそういうことは考えてはいません」との言い逃れに明け暮れた。「河野談話の継承」「沖縄県民の負担軽減」「再稼働するのは規制基準に適合した安全な原発だけ」「消費税増税は適切に判断」などなど、ナチス顔負けの耳触りの良い言葉でごまかし、あくまでも暴走を続けるこの政権を「羊の皮を被ったオオカミ」と見た。

(120)

超タカ派女性を使う新詐術
「多摩の年輪」293号(2014年9月)

 
 暴走政治が国民の批判を浴び、支持率低下に追い込まれた第二次安倍内閣が内閣改造と自民党役員人事を行なった。その目玉の一つが女性の登用。閣僚に小渕優子経産相、高市早苗総務相、松島みどり法相、有村治子女性活躍相、山谷えり子公安相を、党三役に稲田朋美政調会長を据えた。毎日新聞が「今回起用された女性閣僚の中には伝統的な家族観を重視する保守系議員もいる」と言い、首相が3日の記者会見で「私もそういう批判を浴びてきた」と語ったと報じたように、これらはタカ派首相による「タカ派女性」の登用だ。「女性活躍」の看板でごまかしながら安倍暴走政治を成し遂げようという詐術にすぎない。この詐術によって内閣支持率は13%(読売)も回復したが、真相が明らかになれば消滅する支持率に他ならないことを描いてみた。

(119)

吸引をやめてトラック降りなさい
「多摩の年輪」292号(2014年8月)

 安倍政権のたそがれが見え始めました。支持率低下にそれが表れていますが、この低下は、何よりもその「改憲による戦時回帰」への執念と願望が、戦後民主主義と相いれない異常なものであることが、私たち国民の前に明らかになってきたことによるものでしょう。折しも「危険ドラッグ」を吸引しての交通事故が多発して、これをどうやめさせるかが社会問題になっていますが、安倍暴走政治を、改憲で戦後政治を破壊する「危険ドラッグ」を吸引してのトラック運転になぞらえてみました。危険ドラッグ吸引も暴走トラック運転も、即刻やめてもらわなければなりません。

(118)

号泣でごまかせないぞ大暴走
「多摩の年輪」291号(2014年7月)

 安倍政権はとうとう集団的自衛権の行使容認への「解釈改憲」を閣議決定し、国民的な批判を浴びています。「Q&A」をつくって、クロをシロと言いくるめようと躍起ですが、折も折、登場したのが野々村竜太郎兵庫県議。政務活動費の乱費を「号泣」でごまかすという破天荒が話題を呼びました。立憲主義を否定する閣議決定は、号泣で誤魔化されるようなものではなく、許されざる大悪事だと言いたいのですが・・・

(117)

暴走を与党協議で塗り隠す?
「多摩の年輪」290号(2014年6月)


 
 
 九条の会発足10周年の講演会に行ってきた晩に仕上げたものです。
 集団的自衛権の行使容認への「解釈改憲」を閣議決定する手続きとして、安保法制与党協議が大詰めです。登場人物は、(右から)自民党の石破茂幹事長、高村正彦副総裁、公明党の北側一雄副代表、井上義久幹事長。ついでに日本維新の会の橋下徹代表、みんなの党の浅尾慶一郎代表にも顔をだしてもらいました。

(116)

壊憲のあの手この手が揃い踏み
「多摩の年輪」289号(2014年5月)

 集団的自衛権の行使容認への「解釈改憲」をめざして、安保法制懇の報告とこれにもとづく閣議決定が準備されています。「8党合意」による改憲手続法の具体化も進められようとしています。いま、解釈・明文を織り交ぜて「改憲=壊憲」策動が花盛りです。しかし国民世論は集団的自衛権の行使反対が多数派、「護憲」も多数派で、公布から86年を経た日本国憲法は、「改憲=壊憲」策動を許さないちからを成熟させています。今月は、このせめぎあいに目を向けてみました。登場人物は、安倍晋三首相と北岡伸一安保法制懇座長代理、自民党の高村正彦副総裁と船田元憲法改正推進本部長です。

(115)

良いのかい?堪忍袋こじ開けて
「多摩の年輪」288号(2014年4月)


 
 とうとう消費税の8%への増税が実施されました。これは国民の堪忍袋をこじ開けたものです。安倍政権の運命やいかに? 今月は、同じハチでも8億円の不正問題で苦境に立っている渡辺さんにその運命を暗示してもらいました。(明日から明後日にかけて法事やら孫の入学式やら、何かと仕事にならないため、今日、未熟なまま無理やり仕上げてしまいました)。

(114)

暴言の「最高責任者は私」です
「多摩の年輪」287号(2014年3月)

 東日本大震災・福島原発事故から丸3年を向かる今月は、この重大問題にソッポを向いて、原発再稼働、集団的自衛権容認への解釈改憲、教育「改革」、欺瞞的なTPP交渉、年金引き下げ・消費税増税などなど、暴走に暴走を重ねる安倍政権が、その驕りの故か随所で乱発している「暴言」に着目しました。いわば、「安倍一族」の終わりの始まりです。

(113)

責任をもって癒着を競い合い
「多摩の年輪」286号(2014年2月)


 去る1月24日に安倍首相が「責任野党とは政策協議を行っていく」との施政方針演説を行なうと、維新の松 久国会議員団幹事長は「正しいことは賛成も提案もしていく。集団的自衛権は胸襟を開いて話し合える」、みんなの渡 美代表は「責任野党のメッセージを歓迎する。われわれと同じ方向の政策には協力を惜しまない」、結いの江 司代表は「われわれも責任野党のつもりだ。国民本位で一致できるものは実現するのが当たり前」などと表明し、「責任野党」を競い合っています。
 2月9日、都知事選が終わりました。安倍政権は、先の名護市長選で辺野古新基地建設反対の稲嶺市長が誕生したのに対しては「地方行政」の問題だからとこれを無視しているのに、都知事選で誕生した舛添都知事については「政権の勝利」とばかりに、原発再稼働、集団的自衛権容認、憲法96条改定などへの暴走を加速しています。「すわ!」と張り切る「責任野党」の姿がいよいよ滑稽ですな。

(112)

参拝でつい「惨敗」を呼び込んだ?
「多摩の年輪」285号(2014年1月)

 

突然の都知事選に時間を奪われてしまった今月は、完璧に時間切れです。パスするのもシャクなので、昨年末の安倍首相の「靖国参拝」を記録することにしました。参拝と惨敗の語呂合わせ以外にはとりたてて面白味のない駄作ですが・・・

その代わりというか、都知事選をめぐる2つの作品を掲載しておきますかね。

希望のまち東京をつくる人

都政にむらがる渡世人たち


(111)

この本音 秘密法にも触れそうな
「多摩の年輪」284号(2013年12月)


 今月は、憲法違反の「秘密保護法」を与党が強行採決で成立させるという憤懣やるかたない月になりました。所詮は憲法違反なのですから、憲法さえ健在であればこの「秘密法」はまともには機能できません。それだけに、これからは憲法改悪を跳ね返すかどうかが重大な対決点になります。
 今回は、この天下の悪法を成立させるまでに政府・自民党の幹部たちが放った本音に焦点を当てて、これに「2013年・本音大賞」を与えつつ「秘密保護法」の危険性を刻印しておきたいと思います。7月の麻生副総理「ナチスに学べ」発言、9月の安倍「私を軍国主義者と呼びたきゃ呼べ」発言、11月の石破自民党幹事長の「デモはテロ」発言・・・これらが「秘密保護法」の狙いを如実に示しているからです。 

(110)

究極の「偽装表示」はここにある
「多摩の年輪」283号(2013年11月)

 今日、衆院本会議で「秘密保護法案」の趣旨説明が強行されます。原発再稼働と原発輸出、税と社会保障の一体改革、TPPへののめり込み、集団的自衛権の行使と日米同盟強化などなど、広範囲にわたるめちゃくちゃな暴走を試みる安倍政権が、これに対する国民の批判を封殺しようとして成立を急いでいるのが「日本版NSC(National Security Council)設置法案」とこの「秘密保護法案」です。国民生活をそっちのけの「暴走政治」は、政党助成金の不法流用など政治そのものの腐敗・堕落を進行させていますが、その害毒は、最近、高級レストランなどで表面化している「誤表示」「偽装表示」の問題にも見られるように経済・社会全体に重大な歪みをもたらしています。
 今月の漫画は、これらひとかたまりになって襲い掛かってきている「悪政」とその害毒の、どこに焦点を合わせるかが大問題でした。迷った末に今月は、これらの腐敗・堕落の先頭を突っ走る安倍政権の「偽装表示」として、トルコへの原発輸出を描くことにしました。

(109)

完全にブロックしたい民の声
「多摩の年輪」282号(2013年10月)


 とうとう安倍首相は消費税増税を「決断」しました。その見返りに大企業の「復興増税」をストップし「法人税」も削減するというのですから、日本経団連の米倉会長は笑いがとまりません。最低賃金の引き上げを抑え込んでおいて「減税分は賃上げを」などと白々しく言ってのける安倍さんの姿勢は、福島原発事故から2年7カ月にわたって垂れ流し続けた「汚染水」について「完全にブロックされている」と言ってのける神経と「完全に」通底しています。憲法9条に敵意を燃やし、96条改憲が国民の批判を浴びると今度は解釈改憲で集団的自衛権の行使に執念を燃やす。世界からの批判が高まると「私を軍国主義者と呼びたければ呼びたければどうぞ」と開き直る。集団的自衛権の行使や、これに反対する世論を監視する「秘密保護法」の制定を「積極的平和主義」と名乗っていますが、要するにこれは、従来の平和を否定するものに他なりません。
 体操の世界選手権で賞賛を受けた17歳の白井健三選手の「4回ひねり」は「シライ」と命名されましたが、安倍信三のこれら数多の詐欺的・強圧的な「ひねり」には「シラジラシイ」と命名するしかありませんね。今月はこんな気分で描きました。

(108)

日銀と派閥が組んで税上げる?
「多摩の年輪」281号(2013年9月)

 福島第一原発の汚染水漏れ、原発再稼働、オスプレイ演習の全国展開、アメリカのシリア干渉への無条件的な協力、TPP交渉の強行、等など。今月は、重大問題が山のようにあって、どれを、どのような切り口で取り上げるかの選択がたいへんでした。
 安倍政権は「アベノミクスの成果」を喧伝しつつ、消費税大増税を予定通り実施する準備を進めています。「ナチの手口に学べ」という発言で物議をかもしている麻生太郎副総理・財務大臣は、その発言に先立つ7月に「消費税増税は国際公約だ」と発言し、消費税増税の先送りを牽制。8月末には、何と黒田日銀総裁が「増税の先送りは『どえらいリスク』だ」と発言し、増税で景気が落ち込んだら「金融緩和」すなわちお札の増刷でこれをしのいで見せると胸を張りました。9月に入ると自民党の町村派や額賀派など各派閥の領袖が、派閥内の「先送り論」をつぶそうと発言を開始しました。これら一連の動きは、消費税大増税と社会保障大改悪を同時に強行する「一体改革」が、いよいよ本格的にすすめられる危険がひっ迫していることを示します。そこで今月の漫画では、この動きに釘をさすことにしました。

(107)

改憲はナチの時代に「かえる」道
「多摩の年輪」280号(2013年8月)


 今月は、麻生太郎副総理の「ナチス発言」を避けて通るわけには行きません。調子に乗って語ったことにせよ、国民に改憲を押し付ける手口について、実はこのように考えているのだという本音が明らかになっているのですから。しかし、それをどう表現するかは難題でした。
 
<この絵に絡むメモ>
●<読売新聞 13年8月1日> 麻生副総理の29日の講演発言要旨
 麻生副総理が29日に都内で講演した発言要旨は次の通り。
 単なる護憲、護憲と叫んでいれば、平和が来るなんて思っていたら大間違いだ。改憲は単なる手段だ。目的は国家の安寧と繁栄と国土、我々の生命、財産の保全、国家の誇り。従って狂騒、狂乱の中で決めてほしくない。
 ヒトラーは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って出てきた。いかにも軍事力で取ったように思われるが全然違う。ワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあってヒトラーが出てきた。常に憲法が良くても、そういったことはあり得る。私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けているが、わーとした中でやってほしくはない。
 ワイマール憲法もいつの間にか変わっていて、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。本当に、みんな、いい憲法と、みんな納得して、あの憲法が変わっているからね。僕は民主主義を否定するつもりも全くありませんし。しかし、重ねて言いますが、喧騒(けんそう)の中で決めないでほしい。それだけはぜひ、お願いしたい。


(106)

民意とのねじれは視野の外にあり
「多摩の年輪」279号(2013年7月)

 今月は参院選のとりくみ過程での制作となり難儀しました。
 「参院選でねじれ解消」というのが自公の合言葉です。そもそも「ねじれ」は民意を反映したものです。「ねじれ解消」は、自らの悪政が順調に進行できないことの原因が「ねじれ」にあるかのように誤魔化して、民意を傲慢に踏みにじるものです。そこに焦点を当てて描いてみました。
 
<この絵に絡むメモ>
●<読売新聞 13年7月5日> 「ねじれ」「経済」攻防…参院選433人立候補

 第2次安倍内閣発足後、初の全国規模の国政選挙となる第23回参院選は4日公示され、21日の投開票に向けて433人による選挙戦に入った。 安倍政権の経済政策「アベノミクス」や憲法改正、原子力発電所の再稼働などが争点だ。自民、公明両党が非改選を合わせて過半数(122議席)を確保し、衆参の多数派が異なる「ねじれ国会」が解消されるかどうかが注目され、各党の党首は舌戦を展開した。
 安倍首相(自民党総裁)は4日、福島市や東京・有楽町など計4か所で街頭演説を行った。演説では、「3本の矢でデフレ脱却、経済再生に挑み、(経済は)確かに変わり始めた。デフレ脱却の代替案をだれも出していない」とアピールした。また、「ねじれを解消し、政治を安定させ、経済を強くしていこう」と訴え、参院での与党過半数の実現を訴えた。
 公明党の山口代表もさいたま市内で「ねじれを解消できるかどうかが最大の争点だ」と述べ、「平和を党是としているのは公明党だけだ。自民党では出来ない場合もある。(公明党の)役割も連立政権の中で必要だ」と述べた。


(105)

アベのミス崩壊するのが当たり前
「多摩の年輪」278号(2013年6月)


 国民に何もかも負担させて大企業の利益に貢ぐ「アベノミクス」は、もともと経済政策として成り立つものではありません。それは、デフレ不況から何とか抜け出したいという世相の期待に乗って、一時的に円安・株高をもたらしましたが、経済の基礎を支える国民生活・国民経済を拡充しないだけでなく、国民負担を拡大する一方の政策ですから、やがて破綻にいたる宿命を背負っていました。案の定、その破綻が始まりました。
<この絵に絡むメモ>
●<赤旗 13年6月2日> 株・金利… アベノミクス制御不能 「暗黒面見えた」

 株価の暴落と乱高下、長期金利の上昇、円安による輸入物価の高騰と安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が経済を混乱させていることが目に見えて明らかになってきました。
 日経平均株価は5月23日に前日比1143円安と暴落し、27日は469円、30日は737円下落しました。
 「(5月23日は)アベノミクスの『暗黒面』が垣間見えた瞬間ではなかったでしょうか」。双日総合研究所の吉崎達彦副所長が、自身のコラム(「溜池通信」、同研究所のホームページ)で指摘しました。
 「つい数日前まで安倍政権の経済政策『アベノミクス』は、日本列島をちょっとしたバブル気分に浸らせていた。株大暴落は、そこに冷や水を浴びせた」(「朝日」5月26日付)との論評も出ています。
 長期金利の上昇については、毎日新聞社の経済誌『エコノミスト』(6月4日号)は「『異次元緩和』は、早くもマーケットの逆襲に遭っている」と書きました。


(104)

バー下げて跳んで終えばオレの勝ち
「多摩の年輪」277号(2013年5月)

 憲法施行66年を迎えた今月は、安倍政権による「9条改悪」のための「96条改悪」という問題に絞りました。改憲への見通しが立たないので、それを正面に立てず、まず憲法改正要件を緩和するというのは、姑息かつ卑怯卑劣なやり方ですから、96条が「そんな!」とあきれ返るという設定で思いっきり笑ってみました。

(103)

裾の手を抜かずに何が自主的さ?
「多摩の年輪」276号(2013年4月)


 アベノミクスは、@日銀を動かす貨幣の増発、円高是正などの「大胆な金融政策」を「第1の矢」として、A公共投資・軍拡への財政出動など「機動的な財政政策」、B規制緩和で民間投資を喚起する「成長戦略」を「第2、第3の矢」として、国民生活と国民経済に射込もうと張り切っています。それは、一方で消費税大増税、社会保障大削減、沖縄基地存続、TPP参加など、国民負担と国民犠牲を推し進め、他方で国民の抵抗を抑えるために憲法改悪と日米同盟強化を狙うものです。日銀総裁に金融規制緩和推進論者の黒田東彦氏を据えて、これを自由に操りながら悪政を推進しようとする安倍内閣の姿を描いてみました。

(102)

三党の合意に乗って好き勝手
「多摩の年輪」275号(2013年3月)

 
 今月はたいへん遅くなりました。アベノミクスが、財界と三党
合意の後押しを受けて勢いづいている様をとらえてみましたが、
まだ練り上げが足りませんよね。しかし時間切れですから仕上げ
てしまいました。



(101)

お茶代は大増税で払ってネ
「多摩の年輪」274号(2013年2月)


 「アベノミクス」が、株高・円安を実現させているという「神話」が頭を持ち上げています。それは「3本の矢」と称して、@大胆な金融政策(日銀を動かす貨幣の増発、円高是正)、A機動的な財政政策(公共投資・軍拡への財政出動)、B民間投資を喚起する成長戦略(規制緩和)を推進するというものですが、これらの財源は消費税大増税、社会保障の大削減などの国民負担に求められます。今月はここに着目しました。
<この絵に絡むメモ>
土居雅紹(まさつぐ)という証券アナリストが、「アベノミクス」について以下のような論評をしています。
いつか来た道? 歯止めが効かなくなった例
 戦前に似たような経済政策をとった事例があります。日本では、1931年に金本位制を停止して通貨価値を下落させ(円安政策)、軍備拡大と土木工事で景気浮揚を図り(積極財政)、資金は日銀に国債を買い取って貰いました(国債の日銀引受け)。いわゆる高橋財政です。結果は、短期的には大成功だったものの、後から財政を引き締めようと思っても歯止めが効かなくなり、2.26事件で高橋蔵相が暗殺され、日中戦争、日米開戦、敗戦後のハイパーインフレとなりました。
 また、同時期にナチスドイツでも、金本位制の停止と国債に似た手形で通貨供給量を増やし、アウトバーンとして知られる高速道路網の整備などの公共や軍備拡大で景気・失業対策とするとともに、価格統制や貿易制限を行っていました。結果はこれも短期的には大成功で、ヒトラーの初期経済政策は大成功とされました。しかし後に、財務責任者を更迭して支出拡大を続け、歯止めが効かなくなりました。

(100)

出戻りのボクちゃんたちが謀りごと
「多摩の年輪」273号(2013年1月)

 安倍内閣は、たいへんなタカ派右翼のかたまりなのですが、国民の支持を受けて生まれたのではないという重大な弱点を持っています。そのため、国民から次の審判を受ける参院選でも「虚構の多数」を確保して「国会のねじれ」を解消することに異常な執着を持っています。しかもこの内閣は、総理も副総理も世襲3代目の苦労知らずのボクちゃん、党幹事長は軍事オタクという陣立てですから、国民の心をつかむのは苦手中の苦手です。タカはその危険な爪をなかなか剥き出しに出来ないというジレンマを抱えているのです。今月はそこに着眼して描いてみました。登場人物は、安倍総理、麻生副総理、石破自民党幹事長。



(99)

ドロ舟はどう転んでも泥の舟
「多摩の年輪」272号(2012年12月)


 今月は「綱渡り」のような日々の中で、ともかく描きあげることだけを優先して、それでも遅くなりましたが、12年12月12日深夜(いわばトリプル・トゥエルブです)に仕上げました。
 ダブル選挙の結果が見えないうちに仕上げるという条件は、とんでもないものですが、思い切って描きました。選挙の結果がどう出ても、政局はここを焦点に動くだろうという「予測」を含みますが、選挙後に使用される漫画として通用するかどうか、不安がいっぱいの作品です。
<この絵に絡むメモ>
●今回は特になし!
 登場人物は、安倍晋三・野田佳彦・山口那津男、石原慎太郎・橋下徹、そして嘉田由紀子の各位です。

(98)

反動へ不協和音の四重唱
「多摩の年輪」271号(2012年11月)

 今月はやっぱり石原都知事の辞任劇に触れないわけに行きません。そこで、石原氏を押し立ててはしゃいでいる潮流のみなさんを並べてみると、「反共主義」「歴史の歯車の逆回し」という点で奇妙に響きあっている彼らの四重唱が、実に聞き苦しい不協和音で成り立っていることが見えてきました。美しい男声カルテットと言えば私などは「ダークダックス」を思い浮かべますが、昨年、60年の歴史に終止符を打ったダークダックスをしのびつつ、今日の「野合カルテット」に「ブラックダックス」の名を差し上げました。
<この絵に絡むメモ>
●<共同 12年11月01日>
 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は1日、新党結成を表明した石原慎太郎氏を称賛する一方、新党の母体となる「たちあがれ日本」に関し「思考停止している。力は全く必要ない」と批判を強めた。前日の「カラーが違い、世代間ギャップを感じる」との発言をヒートアップさせた。
●<中日 12年10月31日> 河村市長「第三極の結集目指す」 減税日本が国政政党化
河村たかし名古屋市長が代表を務める「減税日本」は31日、所属する国会議員が5人となり、国政政党となったと発表した。国会内で記者会見した河村市長は「第三極の結集を目指す上で、小異を捨てて大同につくとか、大きな勢力で過半数を取る選択をすべきだ」と述べ、石原慎太郎東京都知事による新党や、橋下徹大阪市長の日本維新の会との連携に意欲を示した。
河村市長は次期衆院選に向けた候補者擁立も「大きい流れの中で調整し、大連合をつくることが国民の期待に応えることになる」と強調。連携の旗印として「石原先輩で言えば尖閣。私は南京事件が本当にあったのか。議論だけはしようというふうに転換する流れが重要」と外交問題も掲げる考えを示した。
<朝日 12年10月26日> 石原都知事が辞職表明 新党結成、衆院選立候補の意向
 東京都の石原慎太郎知事(80)は25日、都庁で緊急記者会見を開き、都知事を辞職すると表明した。近く新党を結成し、新党代表として次期衆院選で比例区から立候補する意向も示した。
 石原知事は「今日をもって都知事を辞職する。国会に復帰しようと思っている。新党を立ち上げて仲間とやっていく」と述べた。「最後のご奉公。硬直した中央官僚の支配制度を変えないとダメ。役人と戦っていかないと、この国は沈んで窒息して死ぬ」と語り、憲法改正への意欲のほか、尖閣諸島に船の避難場所が必要との見解を示した。
 新党は、石原知事が「応援団長」を務めるたちあがれ日本を母体とし、保守勢力の再結集を目指す。たちあがれ日本の平沼赳夫代表は25日、「解党して、新しい政党を作る」と述べ、来月上旬をめどに所属国会議員5人全員が新党に参加する考えを示した。
●<NHK 11年11月17〜18日> ラジオ深夜便:明日へのことば「僕らダークダックスの60年」
ダークダックスの喜早さんと、遠山さんは、共に昭和5(1930)年生まれ。慶応義塾大学在学中に男声合唱団で出会い、昭和26(1951)年にボーカルグループを結成しました。夏は海、冬はスキー三昧で、肌が白くなる暇が無く、ガーガーとアヒルのようににぎやかだったので、「ダークダックス」と呼ばれるようになりました。
ロシア民謡の「ともしび」がヒットして、昭和33(1958)年にNHK紅白歌合戦に初出場を果たしたほか、当時のソ連などへの海外公演も行うなど、積極的な活動を続けてきました。
平成9(1997)年に、リードテナーの佐々木行(ささきとうる)さんが病気で歌えなくなり、ことし、トップテナーの高見澤宏(たかみざわひろむ)さんが亡くなったため、ダークダックスとしての活動に終止符をうちました。



(97)

争点は解散時期しか無いのかよ!
「多摩の年輪」270号(2012年10月)

年金・医療・介護・社会保障の拡充、消費税増税の撤回、被災地復興・原発ゼロ・再生可能エネルギーへの転換、普天間基地とオスプレイの即時撤退などなど、国民の切実な願いがいよいよ高まっているのに、新しい首をすげ替えた民主・自民両党の関心は「解散・総選挙」の時期にだけ向けられています。大飯原発の再稼働に続く大間原発工事の再開、オスプレイの沖縄配備など、アメリカと財界にべったりの政治を強行しながら、「政策より政権」「そのための癒着・液状化」を繰り返す彼らへのいら立ちを描いてみました。不毛の権力闘争の尻馬に乗る公明にも登場願って・・・
<この絵に絡むメモ>
●<日経 12年10月04日> 「近いうち解散」確認が前提 赤字国債法案協力で自民総裁
 自民党は4日午前、新体制の発足後、初の役員会を開いた。安倍晋三総裁は今年度予算の執行に欠かせない赤字国債発行法案などへの協力について民主、公明両党との3党党首会談で野田佳彦首相と「近いうちの衆院解散」を確認することが前提になるとの考えを示した。「首相が『近いうちに国民に信を問う』との約束を果たすのが極めて重要だ。この確認のうえで必要な法案の処理をする」と語った。
●<毎日 12年10月05日> 民主党:衆院過半数割れまであと5人
 民主党所属議員の離党の動きが止まらない。5日には杉本和巳衆院議員(愛知10区)が離党届を提出。衆院での単独過半数割れまでわずか5人まで迫り、政権維持の「危険水域」が続く。民主党は5日、野田第3次改造内閣の発足後初の常任幹事会を開いたものの、政権基盤は不安定さを増している。
<毎日 12年10月05日> <オスプレイ>残る3機、普天間に到着 全12機配備完了
 一時駐機先の米軍岩国基地(山口県岩国市)に残っていた米軍垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ3機が6日午後0時25分ごろ、相次いで岩国基地を離陸し、同3時までに配備先の普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に到着した。これで、7月に岩国に陸揚げされた全12機の普天間配備が完了した。沖縄県民の反発がさらに高まるのは確実だ。


(96)

競り合って議員の数を叩き売り
「多摩の年輪」269号(2012年9月)

 民主も自民も、いまは代表戦・総裁選の泥仕合に明け暮れています。その結論が出てこないと漫画にもなりません。そこで今回は、大阪維新の会が「議員定数50%削減」を唱え、自民の石原幹事長が「バナナのたたき売りじゃないんだから」とこれをたしなめた?という面白い話でまとめることにしました。
<この絵に絡むメモ>
●<朝日 09年5月25日> 民主・鳩山氏「衆院定数80削減」マニフェスト記載へ
 民主党の鳩山代表は25日、衆議院議員の定数(480)をめぐり、自民党の菅義偉選挙対策副委員長が「50人以上」の削減に言及したことに関して、「私どもは80減らそうと提案している。たぶんマニフェスト(政権公約)にそう書くのではないか。50じゃ足りない」と述べた。東京都内で記者団に語った。民主党は07年参院選マニフェストで、衆院比例区180人のうち80人を減らすことを掲げており、鳩山氏は先の代表選でも同じ内容を公約に掲げた。
●<自民党政策集 J−ファイル2010> 244 国会議員定数の大幅削減
 衆議院・参議院の国会議員定数を3年後に722名から650名に1割削減し、6年後には、国会議員定数を500名に3割削減します。
●<時事通信 1月18日> 比例80削減に反対=自公
 自民、公明両党は18日午前の幹事長・国対委員長会談で、民主党が決めた衆院比例代表定数の80削減方針に反対する考えで一致した。会談で自民党は、小選挙区定数を「0増5減」するとの同党案を民主党が取り入れたことには理解を示した。これに対し、公明党は「0増5減と比例80減というのは、少数政党をなくす制度で反対だ。抜本改革すべきだという姿勢に変わりはない」と強調した。 
●<日本経済新聞 8月28日> 維新の衆院定数半減「バナナのたたき売りか」  自民幹事長が批判
 自民党の石原伸晃幹事長は28日午前の記者会見で、大阪維新の会が次期衆院選公約に衆院議員定数(480人)の半減を掲げることについて「バナナのたたき売りではないのだから。過疎地の議員を減らすだけでは日本の諸問題は何ら解決しない」と批判した。政府に入る与党議員は政務官などを含めて約100人におよび、各委員会の委員長などを出すことも考慮すると、現状では国会審議に支障が出るとも指摘した。


(95)

野合して割れて砕ける「打算力」
「多摩の年輪」268号(2012年8月)

いま、野党7党による内閣不信任案、問責決議案が国会に上程され、民自公が「8日までに採決」としていた消費税増税が宙に浮いています。これへの対応をめぐって民自公3党の間に亀裂が生まれて、政局は混とん。・・・その真っ只中で「ひと駒」を切り取るのは至難の技です。そこで今月の漫画は、目下加熱中のロンドン五輪にひっかけて、民自公のバカげた駆け引きぶりを冷やかすことにしました。
<この絵に絡むメモ>
●<東京新聞 8月8日> 民主、党首会談を再要請 解散時期明示で攻防  民主党の城島光力国対委員長は8日午後、自民党の岸田文雄国対委員長と国会内で会い、民主、自民、公明3党の党首会談開催をあらためて要請した。岸田氏は「検討する」と持ち帰った。消費税増税法案の成立後、「近い将来、国民に信を問う」とする野田佳彦首相の意向をめぐり、自民党は時期の明示を求め、攻防が激化した。れに先立ち、民主党の輿石東幹事長、前原誠司政調会長ら幹部は国会内で会談し「事態打開には党首会談を開くしかない」との認識で一致した。(共同)
●<日刊スポーツ 8月7日> 愛、佳純、早矢香 日本の団結力/卓球  <ロンドン五輪:卓球>◇5日(日本時間6日)◇女子団体準決勝  世界2位の日本が同3位のシンガポールに3−0で快勝。決勝進出で銀メダル以上を確定した。第1試合で福原愛(23=ANA)が過去1勝9敗のフェン・ティアンウェイを3−1で破って勢いを付けると、続く石川佳純(19=全農)、ダブルスの石川、平野早矢香(27=ミキハウス)組もストレート勝ちし、日本卓球史上初の五輪メダルを決めた。

 


(94)

マユツバの旗印だがもう一度?
「多摩の年輪」267号(2012年7月)

 日米財界に屈服した野田政権は7月1日、「国論を二分する」大飯原発についてその再稼働を強行しました。そして、福島原発事故から1年4か月となった7月11日には、消費税大増税の参議院審議を開始しました。さらにTPP問題、オスプレイ配備問題、普天間基地問題も含めて、民主・自民・公明3党は日米財界へのへつらい競争と談合政治に暴走し、国民とのあいだに抜き差しならない矛盾を深めています。
 小沢一郎が四度目の新党「国民の生活が第一」を結成したのも7月11日ですが、「消費税増税反対、脱原発依存」を掲げているこの動きは、他ならぬ国民世論の力を意識したものでしょう。もちろん幻想は抱きませんが、野田政権の暴走を抑える国民的な願いを反映する側面があると見て、こんな漫画を仕上げました。

<この絵に絡むメモ>


●<毎日 7月11日> 一体改革:参院審議入り
 消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連法案は11日午前、参院本会議で趣旨説明が行われた。野田佳彦首相は答弁で「社会保障の充実、安定化と財政健全化の同時達成への第一歩だ。一体改革は待ったなしで、決断する政治の象徴的なテーマだ」と述べ、法案の早期成立に向け与野党の協力を求めた。順調に審議が進めば、8月上旬に法案採決の環境が整う見通しだ。
 11日に審議入りしたのは、将来の年金や医療制度を検討する「社会保障制度改革国民会議」を創設する社会保障制度改革推進法案など社会保障関連6法案。残る消費増税法案など2法案は13日に審議入りし、18日にも参院特別委員会で実質審議が始まる。一体改革関連8法案は6月26日に衆院を通過し、参院に送付。しかし、民主党分裂による国会空転で、半月遅れの審議入りとなった。


●<東京 7月11日> 小沢新党「国民の生活が第一」 衆参49人で旗揚げ
 民主党を除名された小沢一郎元代表と支持グループ議員は11日夕、新党「国民の生活が第一」の結党大会を都内の憲政記念館で開き、旗揚げした。参加は、民主党で消費税増税法案に反対した衆院議員37人と離党した参院議員12人の計49人。党代表には小沢氏が就任、選対委員長を兼務する。次期衆院選をにらみ反増税勢力の結集を図り、地域政党との協力関係の構築を目指す。
 反増税を掲げる新党の誕生により、民主党分裂を招いた野田佳彦首相の政権運営が一層厳しくなるのは必至だ。
 新党は党名の「国民の生活が第一」を基本理念に掲げ、消費税増税の先行反対や脱原発を訴える方針。

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どこ行くの?民自公維の液状化
「多摩の年輪」266号(2012年6月)

今回は、消費税増税をめぐる民自公の修正協議の開始、維新の会の応援を受けてての原発再稼働への策動について描きました。東京ディズニーシーの「レイジング・スピリッツ」というアトラクションが起こした事故と結び付けて見たのですが、わかるかなあ?
タイトルは
どこ行くの?自民公維の液状化
<この絵に絡むメモ>
●<毎日 6月1日> 橋下市長:「民主党政権倒す」発言を撤回 対決姿勢も修正
 「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長は1日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働を巡り、「民主党政権を倒す」としてきた自らの発言を撤回すると述べた。次期衆院選で民主と対決するとしてきた維新の方針も見直す方針を明言した。
市役所で記者団に述べた。橋下市長は、政府が大飯原発の再稼働を妥当と判断した4月13日、「政治家が安全なんて確認できるわけはない。次の選挙で民主党政権に代わってもらう」と発言。維新の会としても翌日、次期衆院選で民主と全面対決する方針を決定したが、わずか1カ月半で方針転換することになった。
橋下市長はこの日、原発再稼働を「事実上容認する」と判断する決め手になったのは、細野豪志・原発事故担当相の発言だったと説明。5月30日の関西広域連合で、細野氏が「(再稼働について)暫定的な安全判断だ」と橋下市長の主張を一部受け入れたことが、政権への対決姿勢を軟化させた最大の理由だったと明かした。
<毎日 6月4日> ディズニーシー事故 原因は従業員の操作ミス
 千葉県浦安市の東京ディズニーシーでジェットコースター型アトラクション「レイジングスピリッツ」から男性客が転落した事故で、運営会社のオリエンタルランドは4日、従業員の操作ミスが原因とする調査結果を発表した。同社によると、従業員はコースターを発車させた直後、無人席の安全バーが上がったままであることに気付き、一時停止ボタンを押したうえでバーのロックを解除。その後の手順ミスで、バーが上がったままコースターが動き出し、危険を感じた男性客が降車しようとしてレール脇に転落、右足に軽傷を負った。
●<産経 6月7日> 公明党、修正協議に参加へ
 公明党は7日午前の党中央幹事会で、社会保障・税一体改革法案をめぐる修正協議に参加する方針を決めた。井上義久幹事長は会議後、記者団に対し「参加する方向で山口那津男代表に一任する。協議をして主張を明確にしていきたい」と述べた。
公明党はこれまで修正協議への参加に慎重な姿勢を示していた。
●<時事 6月8日> 社会保障で平行線=民自公の修正協議
 消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案をめぐり、民主、自民、公明3党は8日午後、国会内で社会保障に関する分科会を開き、実務者による実質的な修正協議に入った。自民党は、民主党が掲げる最低保障年金などは採用せず、現行制度を基本に改革を行うとした社会保障制度改革基本法案の骨子を示し、「丸のみ」を要求。民主党は拒否し、平行線に終わった。10日に再協議する。
●<読売 6月9日> 大飯再稼動を表明、「夏限定」は否定…首相会見
 野田首相は8日、首相官邸で記者会見し、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)について、国民生活を守るため、早期の再稼働が必要だと判断したと表明した。そのうえで、中長期的に原発を重要な電源と位置付ける考えを示した。大飯原発の地元・福井県は再稼働に同意する見通しで、政府は来週中にも同原発の再稼働を最終決定する方針だ。
首相は大飯原発について、「再起動すべきというのが私の判断だ」と述べ、福井県や同県おおい町に対して再稼働への理解を改めて求めた。また「夏場限定の再稼働では国民の生活は守れない」と語り、橋下徹大阪市長らが求めた今夏に限定した再稼働を否定した。
再稼働がない場合の影響について、電力価格の高騰で産業が空洞化し、雇用の場が失われる可能性や、突発的な停電により病院などで生命の危険にさらされる人が出ることを挙げた。


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あれこれと言って結局「再稼働」
「多摩の年輪」265号(2012年5月)
橋下大阪市長の言動には、多様な批判点があるわけですが、今回は、原発再稼働をめぐって庶民を惑わし、結局は「再稼働か増税か」を押し付けてきた事実を暴くことにしました。

<この絵に絡むメモ>
●<赤旗 4月8日> なにが見える 橋下「維新八策」メディア持ち上げるが 「決定できる民主主義」“白紙委任”で独裁
 「八策」原案で三つの「自立」を実現するために「不可欠」と位置づけられているのが、「決定でき、責任を負う民主主義」と「決定でき、責任を負う統治機構」です。橋下氏は昨年6月、「今の日本の政治に必要なのは『独裁』」と語り、大阪府知事選、大阪市長選のダブル選挙(同11月)で強い批判を浴びました。そのためか市長就任後は、「今の日本に必要なのは『決定できる民主主義』」と言い換えています。そこには“選挙で勝ちさえすれば何でもあり”といわんばかりの「独裁」的手法への反省があるわけではありません。
<読売新聞 4月13日> 大飯再稼働、橋下市長 「民主政権倒すしかない」 大阪市の橋下徹市長は13日、政府が関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が必要と判断したことを受け、「民主党政権を倒すしかない。次の(衆院)選挙の時に(政権を)代わってもらう」と市役所で記者団に語り、民主党政権への対決姿勢を鮮明にした。橋下市長はその理由について「(内閣府の)原子力安全委員会に大飯原発が安全なのかどうか、コメントをしっかり出させないといけない。(安全委は)ストレステストの一次評価の結果を了承したが、安全だとは一言も言っていない。民主党の統治のあり方は危険だ」と説明。そのうえで、「次の選挙では絶対(再稼働)反対でいきたい」と次期衆院選で争点に据える考えを示した。安全委の班目春樹委員長は3月13日、同原発のストレステスト(耐性検査)1次評価について、「(経済産業省原子力安全・保安院による)審査手法に問題はない」と了承したが、安全性評価は不十分との見解を示していた。
●<産経新聞 4月13日> 北朝鮮、発射失敗認める「軌道進入に成功せず」 北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、「人工衛星」打ち上げについて「失敗の原因を調べている」と伝え、長距離弾道ミサイルの発射失敗を公式に認めた。同通信は、13日午前7時38分55秒に、平安北道鉄山郡の発射場から「衛星」は発射されたが、軌道進入に「成功しなかった」と報じた。失敗の原因究明には「科学者、技術者、専門家たち」が行っているとしている。(共同)
<読売新聞 4月27日> 橋下市長「大飯原発の再稼働なければ増税も」
 大阪市の橋下徹市長は26日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が認められない場合、代替エネルギー促進などにかかる行政コストの確保のため、「増税も検討しなければいけない」と述べた
橋下氏は関西広域連合の7府県2政令市の首長による委員会で発言し、「もし再稼働を認めなければ(府県民に)応分の負担がある」とし、新たに発生する住民負担分を明示することを提案した。

●<赤旗 4月28日> 大阪 橋下市長 理不尽な選択迫る 原発の再稼働か我慢と負担増か  原発の再稼働か、住民の負担増か―。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、橋下徹大阪市長が、こんな理不尽な“二者択一”を関西府県民に突きつけています。報道陣からは「再稼働も視野に入れた発言に変わってきた」との声もあがっています。橋下氏は26日、関西広域連合の会合で「原発の再稼働を認めなければ(府県民には)応分の負担がある」と述べ、節電に取り組む企業などへの奨励金の財源として関西の住民に新たな税を課すことを提案しました。しかも額は「1カ月1千円とか」(「朝日」27日付)だというのです。26日の市役所での囲み取材では、再稼働をしない場合の夏の電力需給データについて「電力会社はものすごい電力不足の数字を出している。相当厳しいライフスタイルの変更をお願いする」「我慢できるか。無理だったら再稼働しかない」と住民を脅しました。その上、「産業には影響を与えないようにする」と付け加えることを忘れませんでした。これには翌27日、報道陣から「産業を守るために個人や家庭に負担を求めるのか」との質問が。橋下氏は「個人も産業のおかげでお給料をもらっている」などと述べました。何のことはない。住民には我慢と増税、企業には奨励金、それが嫌なら再稼働というのが橋下氏の論調です。


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石橋を叩かず渡る確信犯
「多摩の年輪」262号(2012年4月)

今月は遅くなってしまいました。介護保険料・後期高齢者医療保険料などの4月からの引き上げ、消費税、TPP、北朝鮮をめぐる政府の迷走、・・・いろんなことがあってテーマを絞るのがたいへんでしたが、思い切って、大飯原発を足掛かりとする原発再稼動の策動について取り上げることにしました。


●<時事通信 4月10日> 安全基準に「適合」=政府、再稼働判断へ―大飯原発3、4号機

 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は9日午後、原発再稼働に関する4回目の関係閣僚会合を首相官邸で開催した。関西電力大飯3、4号機(福井県おおい町)の安全対策については「(再稼働の)基準とおおむね適合している」と判断した。週内にも開く次回会合で安全性を最終確認、関電管内の電力需給状況を見極めた上で、再稼働の必要性を判断、地元の理解を求める手続きに入る見通しだ。
再稼働の安全性については、関電が同日提出した中長期対策の工程表や、経産省原子力安全・保安院の検証結果を協議した。今回、安全性が最終確認できなかった理由について、会見した枝野経産相は「(全体として)本当に安全なのかは念入りに議論すべきだということになった」と説明した。

●<時事通信 4月9日> 関電、「工程表」提出へ=大飯原発再稼働で―政府、週内に妥当性判断

 関西電力の八木誠社長は9日午前、枝野幸男経済産業相に経産省で会い、再稼働を目指す大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の安全性向上策をまとめた工程表を提出する。政府は工程表の提出を受け、大飯原発の再稼働の妥当性を週内に判断する方針だ。
 野田佳彦首相と枝野経産相ら3閣僚は、6日に開催した原発再稼働を協議する3回目の関係閣僚会合で、運転再開に向けた新たな安全基準を決定。再稼働の必要条件の一つとして、電力会社に安全性を高める施策の工程表の提出を求めていた。
 関電が提出する工程表は、災害発生時に現場の対策拠点となる免震事務棟の建設完了時期を、従来計画の2016年度から前倒しすることなどが柱となる見込み。
●<NHKニュースWEB 4月9日> 経団連会長 大飯原発再稼働を

 経団連の米倉会長は、9日の記者会見で、福井県にある関西電力大飯原子力発電所について、電力の安定供給のためには、地元の同意を得たうえで運転を再開さでるべきだという考えを示しました。
この中で、米倉会長は、大飯原発の運転再開に関して、「再稼働しなければ、関西地区は大変な電力の供給不足に陥るおそれがある。産業界にとって、電力の安定供給は極めて重要で、安全性を確保したうえで、地元の同意を得ることが重要だ」と述べ、電力の安定供給のために、地元の同意を得たうえで運転を再開させるべきだという考えを示しました。
そのうえで米倉会長は、大飯原発の運転が再開されなかった場合の対応について、「工場の休日の変更や一般家庭での節電など、去年、東京電力管内で行った大変な取り組みを関西電力管内でもやらざるをえなくなる」と述べました。


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抱きついて解散論を肩透かし
「多摩の年輪」263号(2012年3月)
野田首相と谷垣自民党総裁が2月25日に「話し合い解散」をめぐって密談を交わしたらしいのですが、これには民主・自民両党の中から厳しい批判が噴き出し、お二人はそれぞれに「会ってません」とシラを切っていて滑稽でした。そんな背景を持って行われた29日の党首討論がまたまた滑稽。産経新聞が面白おかしく解説しているのも実に滑稽です。
●<産経新聞 3月2日> 首相−谷垣氏 極秘会談、財界人仲介 話し合い解散、立ち消え? 野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁が2月25日に都内で極秘会談したことについて、消費税増税関連法案の成立と引き換えに衆院を解散する「話し合い解散」をめぐり突っ込んだやりとりがあったのではとの臆測が広がった。ただ、会談が漏れたことで「話し合い解散」のシナリオは立ち消えになる可能性もある。
●<産経新聞 3月1日> 【党首討論】強気の首相 谷垣氏「空振り」連続 野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表による国家基本政策委員会合同審査会(党首討論)が29日、国会内で開かれた。内閣支持率低迷にあえぐ首相は弱っているはずなのに、谷垣氏に首相を追い詰める気迫は感じられず「空振り」の連続。逆に首相に見せ場を与えてしまった。これでは早期解散に追い込むなど夢のまた夢ではないか−。(坂井広志)
 首相は初めから得意技のクリンチ(抱きつき戦術)でいこうと腹を固めていたようだ。谷垣氏が衆院の「一票の格差」是正問題を取り上げると、首相は「一緒に汗をかかせていただければ」といきなりハグ。慌てた谷垣氏は「ぜひリーダーシップを発揮してほしい」と首相を励ましてしまった。消費税論議に突入すると、首相は「消費税を引き上げるために一緒に努力しようじゃありませんか!」とまたも抱きつき。「足元が乱れているじゃないですか! 小沢一郎元代表は消費税増税法案の閣議決定や採決時の反対を明言し倒閣を示唆している」谷垣氏は必死で振り払おうとしたが、首相は「51対49の党内世論でも手続きを踏んで決めたら、みんなで頑張ることを皆さんに示します」と断言。開き直ったかのような強気に押され、谷垣氏は「党内を掌握されるのを固唾をのんで見守りたい」とまたも首相ペースにのみ込まれた。
 最後の反撃もあっけなかった。「国民との信頼関係を作り直すこと、つまり解散だ。それをやれば協力する道は開ける!」谷垣氏は首相から「話し合い解散」の言質を取ろうとしたが、田中慶秋委員長が「時間が終了しています。ご協力お願いします」とゴング。谷垣氏はあえなくマットに沈んだ。