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狐狸の持つ神通力の正体は?
「多摩の年輪」431号(2026年3月)
戦後81年の年を迎えた早々に、アメリカのトランプ大統領が「私は国際法を必要としない」と公言し、「力による平和」と称して、イランへの先制攻撃とその最高指導者の雑外、ベネズエラ侵略、グリーンランド領有、キューバへの燃料供給閉鎖などなど、繰り返している。これは、世界がアメリカを「食い物」にしてきた歴史からアメリカを開放すると称して国連の諸機構からの組織的・財政的な撤退、諸国に対する大規模関税攻撃などと同じ軌道のうえにあるのだろうが、まさに常軌を逸している。こういう時期に、「日米同盟絶対」で思考停止して国民から見放されつつあった自民党が、2月の総選挙で議席の3分の2を占有した。高市首相はこれが小選挙区制度の効果によるもので、国民の実際の支持は2~3割だったことには頬かむりし、「多くの国民から高市早苗を支持していただいた」と言って議会制民主主義蹂躙の強権政治に走っている。「中国の脅威や台湾有事」を叫んで世論を脅し、9兆円の軍事費を含む戦後最大規模の予算案を、ロクな審議もせずに衆議院で強行採決した手法が、「イランの核開発が最大の脅威になった」と騒ぎ立てて先制攻撃に走ったトランプ大統領の手法とそっくりなので、つい笑いたくなるが、笑ってはいられない。戦後81年にわたって積み上げてきた世界の平和と民主主義を頭から否定し、世界を戦争と侵略の時代に逆行させるこれらの動きを、何とか常軌に戻そうと国際社会は懸命の努力を重ねているが、「フェイクと脅し」で煙に巻く彼らの作戦が、これと対抗すべき野党陣営にもそれなりの効力を及ぼしていて、それこそ笑えないのだが暴走が止まらない。しかし、きつねやたぬきが持つと言われる「神通力」は、それによって害を被るわれら庶民が、その正体を見抜くことによって効力を失うことは自明のこと。だから今月は、その「神通力」を笑ってみたい。
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