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(257) 「国論」を2割の票で二分する?
「多摩の年輪」430号(2026年2月)
   2月8日投票の総選挙で自民党が3分の2超の議席を獲得しました。勢いづいた高市首相は「積極財政と安保戦略見直し」を中心に「国論を二分するような政策」を実施すると言います。自民・維新連立政権は「戦後80年にわたり積み残してきた宿題を解決する」として、①大軍拡・改憲・原発再稼働・武器輸出、②スパイ防止法制定、③国人政策の厳格化、④医療制度改革、⑤議員定数削減などを掲げますが、それは、私たちが日本国憲法と国連憲章に沿って発展させてきた平和と民主主義の王道を妨害するものに過ぎず、「積み残した宿題」とか「国論を二分する」とかいう大げさなものではありません。またそれは、日米大資本から献金や投資であやつられ、議席の多数を大企業のための「強行採決」に費やす自民党が国民から孤立し、その議席を減らしてきた流れを変えるものでもありません。自民党が316議席を得た今回の衆院選も、政党を選ぶ比例区での自民党の絶対得票率(有権者を母数とする得票率)は20・37%。それは、民意をゆがめる小選挙区制の弊害を示したものであって、高市首相が「国民のご信任をいただいた」と改憲策動を加速させるのはお門違い。自分たちで勝手に「国論を二分」させ、国民多数の「国論」を切って捨てようとするのはやはり「まんが」だろう。
 


  (256) 憲法はその「まん中」のどこら辺?
「多摩の年輪」429号(2026年1月)
 「自・維内閣」を発足させた高市首相は10月21日の施政方針演説で「ライフ・ワーク・バランスを捨てる」「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と宣言した。「非核3原則」を見直し、「防衛装備移転3原則」の「5類型」を廃止し、「スパイ防止法」を復活させ、アメリカが目論むGDP比3.5も視野に入れて防衛費をGDPの2%に増額する。国会での「台湾有事」答弁で中国との関係をこじらせている高市内閣は、明けて新年1月3日にトランプ米大統領が南米ベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領を拉致するという暴挙は容認。発足後3か月にも満たないこの内閣は、生活・物価対策、政治とカネなどの重大案件をすべて棚上げして、国会の冒頭解散を狙っている。これを咎めて「市民と野党の共闘」を今こそ! というのが当然の成り行きなのだが、野党共闘のリーダーたるべき立憲民主党が公明党とともに「中道改革連合」なる新党をつくるという。「世界の真ん中で咲き誇る」高市政権の「真ん中」を衝くというシャレかしら?

(255) 争点をそんなに逸らしてどうするの?
「多摩の年輪」428号(2025年12月)
  維新の会を抱き込んでつくった少数与党が、衆議院では公明・国民民主も抱き込んで、8472億円もの軍事費や大企業へのばらまきを基本とする補正予算案を通過させた。物価高騰から暮らしを守り、経済を抜本的に立て直すことが切実に求められ、金権・腐敗の自民党政治の転換を圧倒的な国民が求めている時に、これは何としたことだろう? 「女性初」の高市早苗総理は、11月26日の党首討論で、立憲民主の野田佳彦代表が企業団体献金規制を迫ったのに対し「そんなことより定数削減をやりましょう」と発言するという、みごとな「争点反らし」を演じたが、答えはここにあると思われる。つまり、すでに政治生命を終えている自民党が、世論の糾弾をものともせずに企業・団体献金の禁止を拒否するのは、大企業からの莫大な献金によって操られ、それを金権としてむさぼるからに他ならず、これらを踏まえて働く支配の網の目が、その周囲に絶えず追随・補完勢力を再生産する。唯一の戦争被爆国として長い間、歴代政権が堅持してきた「非核3原則」や防衛費のGDP比1%を「安保3文書」とその改定で見直し、「防衛装備移転3原則」の一部廃止で殺傷兵器の輸出を全面解禁し、現代の治安維持法「スパイ防止法」の復活、「国家情報局」の創設まで公言する。法律で平和利用に限定されているのに原子力潜水艦の保有も狙う。戦後80年の社会の発展を一気に遡るムリを、発展してきた社会が認めるわけはないと思う。このようなムリを押し通すのが高市総理の「争点反らし」であり、それは一時的にうまく行って私たちに困難と苦痛をもたらすけれど、所詮ムリはムリなのだという思いを今月は描いてみた。
 


  (254) 目で殺し「ふたつのイシン」を使い分け
「多摩の年輪」427号(2025年11月)
 日米同盟と企業献金によって米国と財界にあやつられ、大軍拡と大増税、金権と腐敗、格差と貧困をほしいままにしてきた自民党は、昨年秋の総選挙でも今年夏の参院選でも、国民の厳しい審判を受け、単独ではどんな政策も強行採決できない「少数与党」になった。ところが高市早苗氏が自民党総裁に選ばれた10月4日以降の1カ月半。「窮鼠かえって猫を嚙む」かのごとく、自民党は日本の政治状況を激変させているように見える。「企業献金の禁止」を求める公明党を連立から追い出し、「企業献金の禁止よりも議員定数の削減」と主張する日本維新の会と連立したのは、あくまでも財界ファーストをつらぬこうとの魂胆だ。10月21日に「ライフ・ワーク・バランスを捨てる」「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と言って高市「自・維内閣」を組閣したのは、働き方改悪とアメリカ外交の「真ん中」を担う宣言に見えた。10月28日に日本に立ち寄ったトランプ米大統領との「日米首脳会談」を経て、東京のど真ん中の米軍基地から大統領専用ヘリで横須賀の米軍原子力空母「ジョージ・ワシントン」に乗り込み、並み居る米兵を前に軍事予算の前倒しや増強を約束し、「日米同盟の新たな黄金時代をつくる」、トランプ大統領を「ノーベル平和賞候補に推薦する」などと言い放った。この間に実現した日中首脳会談も国会での「台湾有事」答弁でこじらせている。この内閣は、唯一の戦争被爆国として長い間、歴代政権が堅持してきた「非核3原則」を安保3文書改定によって見直し、「防衛装備移転3原則」での「5類型」も廃止し、殺傷兵器の輸出を全面解禁しようとしている。さらに、現代の治安維持法「スパイ防止法」を復活させ、「国家情報局」や「対外情報庁」を創設する方針も明らかにしている。防衛費については、アメリカが目論むGDP比3.5も視野に入れ、2%への増額を今年度中に前倒しする。法律で平和利用に限定されているのに原子力潜水艦の保有を狙う。「少数与党」なのに、短期間で一気に「戦争国家」をつくり上げて、国民の抵抗をそごうと言うのは滑稽だけれど、限りなく危険だ。絵にもならないが描いておく。

(253) 時効後の自公はどこへ行くのやら
「多摩の年輪」426号(2025年10月)
 自民党総裁に高市早苗氏前経済安保担当相が選ばれた(10/4)。国会議席の多数を握って、大軍拡と原発推進・環境破壊、暮らしと社会保障改悪、憲法と民主主義破壊の法律を次つぎと強行採決で成立させて、大企業・大資本の献金に恩返ししてきたのが自民党政治だったが、企業・団体献金と裏金、悪政の数々が世論の糾弾を浴び昨年の衆院選(10/27)と今年の参院選(7/20)で公明党と合算しても議席の過半数を取れなくなった。いわゆる「少数与党」となったわけだが、自民党は昨年の総裁選(9/27)で総裁・総理となって衆参両選挙に臨んだ石破氏に責任を負わせて今年の総裁選を演じ、その結果生まれた「初の女性総裁」で危機打開を狙った。「初の女性総裁」は選出された喜びを込めて就任のあいさつでこう言った。「全世代総力結集で、全員参加で・・・馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて参ります」。ここには男女差別とたたかう思いは微塵も感じられない。金権・腐敗、差別と貧困への反省もなく、高物価・重税・低賃金を助長する差別・排外主義を利用して民主主義と社会保障をさらに破壊し、積極財政・積極投資で経済・社会の軍事化を推進する狙いが透けて見える。「おーっと、高市さん、何か忘れてはいませんか?」、世論はそれを認めないから自公両党を「少数与党」にしたんだよ。そんな思いを「今月のまんが」にしようと、高市総裁を「タカ派のまとい持ち」に仕立てて描きあげた。そこへ飛び込んできたのが「公明党の連立離脱」の情報(10/10)! 慌てた私は、26年間の自公連立政治に時効と破綻が来たのだなあと感慨に浸りながら、斉藤さんと高市さんの短い会話(?)を描き足した。
 

  (252) 相殺戦 だれが勝っても地味ん党
「多摩の年輪」425号(2025年9月)
 自公政権が「少数与党」となったのは、その企業献金に操られ、アメリカの軍事・経済に追随し、それらのツケを国民の暮らし福祉、平和と民主主義の破壊に押し付ける自民党政治を国民が見放したからに他ならない。その機に乗じて、「少数与党」の援軍、すなわち「補完勢力」が派手に名乗りを上げ、政権の中心である自民党はますます影が薄くなって「地味ん党」になってしまった。そういう時代に、自民党政治を総決算し、国民の苦しみを一掃する真の「野党共闘」こそ求められるところだが、いかんせん、先の「補完勢力」もまた野党であり、それが「野党共闘」を標ぼうするものだから、事態は混沌としている。ここから真の「野党共闘」を実現するための模索と探求が急務である。このような「野党共闘混沌」の情勢に勝機を見出したのかもしれないが、自民党が前回から1年しか経っていないのに「総裁選」をやるという。いち早く出馬を表明した茂木敏充前幹事長に続いて、小泉進次郎農相や高市早苗前経済安全保障担当相、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保担当相が立候補の意向を固め、9月22日告示、10月4日に投票だと、例によってマスコミを巻き込んだお祭り騒ぎが始まっている。しかし、繰り返すが自民党が「少数与党」になったのは国民が見放したからなので、1年前の総裁選で負けたばかりの、代わり映えのしない候補者の、だれが勝っても「少数与党」の現実は変わらない。この人たちは、この総裁選で勝って、何をしようと言うのだろうか。この疑問を描いてみた。

(251) いちにのさん! 何処へ跳ぶやら惨凄党
「多摩の年輪」424号(2025年8月)
 「天皇は元首」「国旗は日章旗、国歌は君が代」、「国は、自衛のための軍隊を保持する」、「国民は、子孫のために日本をまもる義務を負う」などの憲法案を掲げ、「日本人ファースト」「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」「無制限な外国人受け入れに反対」など高齢者と弱者切り捨て、外国人排外を叫ぶ参政党が、参議院に14議席を獲得して1カ月になる。この参政党の神谷宗幣代表が弱者切り捨て臨時国会の最終日となった8月5日、予算委員会で初めて石破首相に行なった質問は、トランプ大統領が表明する①DGs政策の廃止、②パリ協定離脱と脱炭素政策の廃止、③パンデミック対策の見直しとWHO脱退、④ウクライナ支援の見直し、⑤DEI(多様性・公平性・包括性)政策の廃止、⑥政府によるSNS規制の撤廃など「6つの政策」について「一緒に日本もやらないか」提案された事実はないかという、トランプ政策にへつらうものだった。次いで15日には「今日は朝から参政党の国会議員18名全員と地方議員70名の合計88名で靖国神社の昇殿参拝をし、千鳥ヶ淵の全国戦没者追悼式に参加してきました」と、憲法案を実践して見せた。「沖縄戦で日本軍は県民を守ってくれた」「南京大虐殺は無かった」「軍拡はむしろ安上がり」・・・同党の言動に驚き呆れるのだが、彼らが強調するように多くの国民の支持が寄せられたことも事実。しかしこれらの言動は、民主主義の歴史が築いてきた日本国憲法と、衆参で与党を過半数割れに追い込んできた国民世論について、無邪気なまでに無知であり、与党の延命または与党以上に凄惨な政治を呼び込む危険に満ちている。このことに早く気付こう! そんな思いを込めて描いた。
 

  東西の排外菌を駆除しよう
「多摩の年輪」423号(2025年7月)
 核兵器禁止条約締約国会議の推進、日本被団協の「ノーベル平和賞受賞」など、世界は戦後80年に躍動している。他方で世界は、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのガザ・ハマスへのジェノサイド攻撃、これらを仲裁して「ノーベル平和賞」を狙ったがうまく行かないのでトランプ大統領がのイラン爆撃などが「第三次世界大戦」の危険を深めている。この大きな対決を前にして、いま日本では異常な動きが連発している。外国人への高額療養費を疑問視する発言で役職停止に追い込まれた国民民主党の玉木代表が、その後「高齢者医療、終末期医療の見直し=尊厳死の法制化」これらによって若い人の社会保険料給付を抑える」、それが「消費を活性化し、次の好循環と賃金上昇を生み」出すと発言。続いて参院選への公約として、維新の会が「現役世代1人あたりの社会保険料を年6万円引き下げる」ために「医療費を年4兆円以上削減する」「外国人比率の上昇抑制や受け入れ総量規制を含む人口戦略を策定し外国人政策を国家として一元管理する」と表明すれば、負けじと参政党が「天皇は元首」「国旗は日章旗、国歌は君が代」、「国は、自衛のための軍隊を保持する」、「国民は、子孫のために日本をまもる義務を負う」などの憲法案を掲げ、「日本人ファースト」「無制限な外国人受け入れに反対」と表明した。これらの高齢者・外国人排除は、力によって命と人権を排除する「排外主義」であり、それが行きつく所は、ロシア・イスラエル・トランプがすでに開始してしまっている「終末戦争」に他ならない。・・・・人類ではなく「排外主義」の絶滅を! 今月はそんな思いを描いてみた。

(249) 二代目の幕は上手に引けるやら
「多摩の年輪」422号(2025年6月)
 コメの価格が1年間で倍に跳ね上がって国民の暮らしを窮地に追い込んでいる。米価高騰を抑えようと政府備蓄米を「入札」で放出したが効果が見えない5月、この施策を担当する江藤拓農林水産大臣が佐賀市で開かれた政治資金パーティーで「私はコメは買ったことはない」と発言し、野党が内閣不信任決議案の提出・可決をチラつかせて批判を強める中で石破茂首相は21日、江藤氏を更迭し小泉進次郎農水大臣を任命した。政府米放出を「随意契約」に切り換えて大手流通企業とともに古米(七光り米)放出の「二代目小泉劇場」にマスコミも飛びついてその「効果」を吹聴すると、わずかながら内閣支持率がたかまったりもした。これに焦った国民民主党・玉木雄一郎代表が衆院農林水産委員会で放出米を「あと1年たったら動物のエサになるようなもの」と発言してSNSで謝罪する一幕も生じた。しかし、今日の米価高騰は、重化学工業中心の経済発展のために、長年にわたって減反や備蓄米で米作・農業・食料自給を破壊してきた経済・農業政策に原因がある。1955年に604万戸(3635万人)あった農家は2020年には何と174万戸(349万人)に激減させられたのだ。小泉氏は、2024年産の作況指数が「平年並み」で、「コメの生産量は足りている」と、備蓄米放出での価格操作で問題が解決するかのように言い切り、生産・流通の現場から「実態は異なり、収穫量は足りない」との指摘があっても「放出米が足りねば外米を輸入して放出するから大丈夫」「収穫量が足りないと言うなら作況指数などの生産統計を見直す」と語る。基本問題に触れず、彼特有のきっぱりした口調できっぱり語る「二代目劇場」の滑稽さを、今月は描いてみた。
 

  (248) 戦後史を笑うと負けよアップップ
「多摩の年輪」421号(2025年5月)
 近年、集団的自衛権の行使容認、安保法制(戦争法)強行、安保3文書などが、国会軽視の「閣議決定」先行で強行されてきた。5年間で43兆円もの大軍拡(防衛費倍増)、長射程ミサイルの大量配備など、歴史を80年前の軍国主義の時代に逆行させる動きが国民を襲っている。暮らし・福祉・社会保障を破壊する以外に財源はないから、国民にこれを受け入れさせるために国民の中に「欲しがりません勝つまでは」「進め一億火の玉だ」という風潮を育て、これを押しつけるためにアメリカの軍事力、大企業の金権にすがって、強権・腐敗・裏金を駆使した国民と野党の分断・抱き込みを謀ってきた。しかし国民はいのちと暮らしを度外視して強行される自・公政治に抵抗を続け、ついに昨年の総選挙では与党議席を「半数割れ」に追い込んだ。 こうして迎えた「戦後80年」のいま、「少数与党」が頼りとするアメリカ帝国が、トランプ氏による国連憲章・国際法無視の「ガザの長期所有」「プーチンのウクライナ侵略容認」、「同時関税政策」など世界の安保・経済秩序の霍乱によって世界から孤立し、「少数与党」が命綱とする「日米同盟を基軸とする戦争国家づくり」も通用しない時代を迎えている。トランプの「関税アップ」攻撃が、中国の習政権の「反撃アップ」に遭遇して生じたアップ対アップの「にらめっこ」は、世界史の変わり目を象徴するように思われる。今月は、「少数与党」となってもなお大企業本位、アメリカ追随、金権腐敗にすがって、平和と民主主義、くらしと福祉の「おにぎり」を食い尽くそうとする身の程知らずの政治も視野に、過日「おにぎり」の食べ方で話題になった石破さんに解説役を担ってもらって、苦し紛れの戯作とする。

(247) トランプの作法をなぞる「石破流」
「多摩の年輪」420号(2025年4月)
 今年の1月にアメリカ大統領に就任したトランプ氏は、4年前の大統領選でバイデン氏に敗れたのを不当だと議事堂に乱入した時からの曲者だが、今期の就任以来「ガザ地区をアメリカが所有する」「鉱物へのアクセスと利益を得る提案をゼレンスキー氏が公に拒否した」「グリーンランドを購入する!」「カナダを51番目の州にする」「パナマ運河を取り戻す!」「日本は我々を守る必要がない」「DEI(多様性・公平性・包括性)政策をやめる」「パリ協定やOECDの国際課税ルールから離脱する」など、戦後の世界が築いてきた平和・安全・環境の国際ルールを踏みにじる動きを強めている。国際貿易機関(WTO)協定と貿易相手国の関税率や非関税障壁の成り立ちを無視して米国の関税を引き上げるという「相互関税」に一方的に踏み切った。このトランプ関税は「世界同時株安」を招き、巨額の損失を被った「政府効率化省」のイーロン・マスク氏が政策に意義を申し立て、慌てて政策の実施を90日間延期するなど大混乱が始まった。こうした暴走と混乱を前にして石破政権は、これらに抗議し、国際ルールに戻るよう働きかけるのではなく、かねがね日本の選択的夫婦別姓の実現を4回も勧告し、皇位継承を男系男子に限る皇室典範の改正を勧告してきた国連の女性差別撤廃委員会の資金封鎖をねらって、国連への拠出金を削減するという措置に出た。事前の話し合いも行なわず、いきなり相手に拳を振り上げる「トランプ流」の作法と、これに追随し無批判にこれをまねる「石破流」は、ともに大混乱から破綻の道をすすむに違いない。
 

  (246) 金権の地金が出たね自民党
「多摩の年輪」419号(2025年3月)
  石破茂首相が3月3日夜、自民党衆院1期生との会食会を首相公邸で開いたそうな。会食には自民の1期生15人が出席したが、その出席者に首相事務所が「土産」と称して1人10万円分の商品券を配ったそうな。石破首相は「会食の土産代わりにポケットマネーで用意した」もので、政治資金規正法と公選法には抵触しないと言うが、明らかに個人から政治家に対する金銭等の寄付に当たり、これを禁じる政治資金規正法に抵触することは紛れもない。昨年8月、裏金問題で追いつめられて岸田首相が政権を投げ出したというのに、裏金の温床である企業・団体献金について自民党と石破政権は「憲法にもとづく企業・団体の権利だ」として、その禁止を求める世論に背を向けてきた。企業・団体献金、政党助成金、裏金によって金権・腐敗はもはや自民党の地金となっている。今度の石破首相による「お土産10万円」は、その地金がひょいと顔を出したものに他ならない。「月遅れの節分」ならぬ石破首相のバラマキを今月は描いた。

(245) 日米は「同盟基軸」で何処へ行く
「多摩の年輪」418号(2025年1月)
 7日昼(日本時間8日未明)、米ホワイトハウスでトランプ大統領との初の首脳会談に臨み、緊張した硬い表情で頬を上気させて握手した石破茂首相。トランプ氏を「大統領閣下」と呼び、大統領選期間中の暗殺未遂事件直後のトランプ氏が星条旗を背に拳を突き上げる写真について「歴史に残る一枚」だと讃え、トランプ氏のが唱える「MAGA(米国を再び偉大に)」というフレーズを「忘れられた人々」に対する「深い思いやり」だと褒めたたえた。対米投資を150兆円に引き上げるなどと、国会で審議もしていないことを約束し、会談後の共同記者会見では「防衛費の増額などは米国に言われて日本がやることではなく、日本が自らの責任において決断すべきものだ」などと申し出た。トランプ大統領の機嫌を損ねず、その攻撃を回避したとして、100%評価するという野党もあるが、パリ協定離脱、核兵器禁止条約の敵視、「法の支配」の逸脱など、世界史を逆に戻すトランプ路線に一言の意見もいわず、日本国民に大増税・大軍拡を押しつける問題をサラリと受け入れて帰ってきた石破外交。アメリカ第一主義・覇権主義の古臭い鎧で身を固めたトランプ政権にべったりと貼りつく「日米同盟基軸」の外交は、いったいどこへ行くのだろう? 今月はそんな思いを描いてみた。
 

  (244) 日米韓が手に手を取って特殊詐欺?
「多摩の年輪」417号(2025年1月)
 トランプ氏が今月20日に大統領に就任しますが、氏は数々の犯罪を犯した咎人(とがにん)です。ニューヨーク州地裁は昨年12月10日、不倫の口止め料を不正に処理した事件の裁判でトランプ氏に量刑を言い渡しています。昨年5月の有罪評決を維持しつつも収監や罰金を命じず、「無条件の釈放」としたものですが、トランプ氏は有罪評決を受けたまま大統領に就任することになります。またアメリカ司法省は、2021年に大統領選挙の結果を覆そうと議会乱入したトランプ氏を起訴しました(氏が次期大統領に決まったことを受けて取り下げられました)。さらにトランプ氏は「X」が「ツイッター」だった時代に、英国の極右活動家などとともに、投稿内容が危険とみなされ永久凍結されました。ツイッターの株を9%も持っている米実業家イーロン・マスク氏は、トランプ氏や英国の極右活動家などのアカウントを復活させました。マスク氏はツイッター株の大量取得を開示しなかったとして米証券取引委員会(SEC)から証券法違反で提訴されています。こうして「虎と翼」ならぬ「トラとマスク」が、アメリカの政治・経済をリードしようとしているわけですが、日本と韓国の「少数与党」が、「米日韓首脳会談」「合同軍事演習」等の連携にすがって退勢を挽回しようと動いています。ところが、日本の石破首相は「企業献金死守」「裏金隠し」の張本人、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「非常戒厳」宣言という軽挙によって「内乱罪の容疑者」(捜査している独立捜査機関「高官犯罪捜査庁(高捜庁)」と警察の合同捜査本部は15日、尹氏の身柄を拘束しました)。「日米韓の軍事的・経済的連携」もまた、数々の犯罪を犯した咎人たちによってかき回されています。「闇バイト」や「特殊詐欺」が世相を不安に陥れているが、これらも顔負けの「国際的な特殊詐欺」の様相を見せる「咎人たちの連携」に驚きあきれつつ、今月はこれを描いてみた。

(243) 丸呑みで少数与党を丸支え
「多摩の年輪」416号(2024年12月)
 12月12日、2024年度「補正予算案」が衆院本会議で可決された。少数与党となった自・公与党だけではとうてい強行できない「軍拡と大企業支援」のための補正予算なのに、維新・国民民主が賛成し、審議入りからわずか4日間で可決したのだ。国民民主の賛成理由は、所得税の課税最低限103万円の引き上げ(補正予算案とは無関係)が自公と合意できたからと言う。維新にいたっては、自公と何も合意できていないが教育無償化の協議の「枠組み」ができたからと言い張っている。それぞれ理由をつけて、補正予算案を「丸呑み」することによって、自・公与党が企業・団体献金を正当化し、大企業に癒着して大軍拡と軍需経済を推進することを支えるものだ。自・公・維新・国民民主が、裏金づくりなどの政治倫理破壊も某党首の不倫もすべて棚にあげて、少数与党の弱みをカバーする「パーシャル(部分)連合」、企業の賄賂で動く大軍拡・大増税路線を擁護する「翼賛連合」でまとまったことが分かり易く明らかになった。今月はここに焦点を合わせて描いてみた。
 

  (242) 不倫など一糸乱れず赦しちゃう?
「多摩の年輪」415号(2024年11月)
 「連合」主導の共産排除、政府の当初予算案に賛成した国民民主の共闘離脱、都知事選での石丸ブームによる分断攻撃など、数年がかりで執拗に仕組まれた「市民と野党の共闘」破壊は、立憲代表選で各候補に安保法制・立憲主義・暮らしと人権をめぐる「共闘の共通政策」否定の発言をさせ、これに怒るれいわに「オール沖縄」否定の行動をとらせるなど、共闘内に足並みの乱れを生じさせてきた。市民と立憲野党は総選挙に向けて、これらの問題についての十分な意見交換と合意形成を行なえないまま「超短期決戦総選挙」に突入せざるを得なかった。しかし裏金政治の真相を明らかにした「しんぶん赤旗」と共産党、「九条の会」をはじめ全国各地に蓄積してきた野党共闘の到達点などを力に、市民と野党は、直面した共闘の不全を補う新しいかたちの「直接・間接の共闘」を模索した。市民は自民党政治とたたかう個々の立憲野党へのサポート活動、「裏金・脱税自民党の議席を減らそう」「選挙に行って政治を変えよう」等の「ひとり街宣」運動をくり広げた。こうして第50回衆議院選挙は「与党議席の過半数割れ、改憲勢力議席の3分の2割れ」という画期的な国会を作り出した。国民の怒りと批判が「市民と野党の共闘」に発展する前に決着しようと就任8日後に石破新首相が仕掛けた「電撃解散・総選挙」は失敗したと言える。
 11月11日の特別国会は、決選投票で石破氏221票、野田氏160票、無効84票というかたちで第二次石破少数与党内閣を生んだ。維新・国民民主などが棄権票を投じた意図は「反自民」のふりをしながら石破政権の実現に協力することにあった。11日の朝、国民民主の玉木代表が「不倫しました、ごめんなさい」との突然の記者会見を行なったのには驚いたが、国会で28人の国民民主党議員が一糸乱れることもなく「玉木を総理に」という投票行動をつらぬき、自・公両党が翌12日に国民民主と「経済対策を巡る政策協議」を国会内で粛々と開催したのにはもっと驚いた。裏金や不倫などの不祥事を超えて、少数与党の弱みをカバーする「パーシャル(部分)連合」へのシナリオがすでに整っていたのだろう。今月はこの構図を描いてみた。

(241) どうしても世論の支持は得られない
「多摩の年輪」414号(2024年10月)
 9月27日の自民党総裁選で石破茂氏が総裁となり、10月1日の国会で第102代首相の指名を受け石破内閣が発足した。石破氏は先の総裁選で茂木前幹事長や小泉選対委員長をはじめ高市前経済安保相ら大半の候補者とともに政策活動費(政活費)の廃止や透明化を言う中で石破氏も「廃止も一つの考え方」と述べ、首相就任の記者会見でも、経済対策や防災体制の強化、地方創生などへの注力、「国民に勇気と真心をもって真実を語る」、「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」、「納得と共感の内閣をつくる」などと述べて、国民に少なからぬ期待を与えた。 ところがこの石破首相、就任から8日後の9日に衆院解散・総選挙を断行し、まず「納得と共感」の公約を投げ捨てた。さらに解散当日の党首討論で「政活費」は今回の総選挙でも「法律で許されている範囲内で適切に使う」として前言を翻した。党から幹事長や選対委員長ら幹部に渡る「政活費」は領収書不要で使途の報告義務のない事実上の「裏金」として国民の批判を浴びたが、岸田自民党は先の通常国会で10年後の領収書公開、再来年1月1日施行時の具体策検討など実効性のないザル法(改正政治資金規正法)で合法的なものとして「温存」させたものだ。石破自民党も20億円もの「実弾」を準備して「裏金隠し総選挙」を目論んでいるわけだ。  自民党内「野党」として期待を集めた石破氏だが、これらの前言撤回で、この4年の間に「モリ・カケ・桜」から裏金・脱税にいたる金権・腐敗疑惑で国民の批判を浴び、3回の「政権投げ出し」に追い込まれた安倍・菅・岸田政権の延長線上の政権でしかないことが明らかになった。もともと石破氏は、同盟国・同志国との連携強化、「アジア版NATO」創設や日米地位協定見直し、徴兵制・軍拡・改憲の推進など歴代政権の安保政策を継承・補強する「軍事オタク」として高名な人物である。石破首相がどんな詐術と「実弾」を使っても、それは「市民と野党の共闘」の新しい発展を導きだし、石破政権は遅かれ早かれ終焉を迎える。石破首相が「就任後わずか8日で解散」に追い込まれたこともその表れに外ならない。総選挙真っ最中の今月は、その道理を描いてみた。
 

  (240) 美辞麗句で世論ごまかす総裁選
「多摩の年輪」413号(2024年09月)
 企業・団体献金による裏金づくりと脱税にまみれながら、大軍拡・大増税・社会保障破壊に向かって暴走し、8月7日には「緊急事態条項と自衛隊明記する9条改憲」を8月末までに論議せよと訴えていた岸田首相は、同月15日に政権を投げ出した。その金権腐敗と憲法蹂躙を許さない国民世論に追いつめられた結果だった。9月12日に自民党総裁選が告示され、これを最大限に持ち上げるメディアの波に乗った9人もの候補者が27日の投票日に向けて大騒ぎを演じている。彼らは、選択的夫婦別姓の導入、賃上げ「所得倍増」、防衛増税ゼロ、地方の活力アップなどの美辞麗句を臆面もなく掲げる一方で、政権投げ出しを招いた「政治とカネ」への反省を棚上げし、「国民が権力をしばる」「国の交戦権を認めない」などの「国民主権・立憲主義」に立つ日本国憲法を、「権力主権」の大日本帝国憲法に戻して、内閣支持率の低迷など気にせずに「軍拡と軍事支配」を欲しいままにする野望と渇望を隠そうとしない。今月は、9人が担ぐ美辞麗句のお神輿が、国民世論の批判との「相殺」を狙うものであること描いてみた。

(239) 憲法を変えりゃ支持率怖くない?
「多摩の年輪」412号(2024年08月)
 8月の世論調査による岸田内閣の支持率は前月比3.9ポイント増の19.4%だった(時事通信)。3カ月ぶりに上昇に転じたとはいえ昨年12月から9カ月連続で1割台にとどまった。先月の都知事選での「小池百合子知事へのステルス支援」と「蓮舫野党統一候補への石丸刺客担ぎ出し」で、裏金と金権・腐敗を後押しする都政を実現して一息ついたのだろうが、内容が国民の切実な要求と噛み合っていないので、内閣支持率はとうてい回復しないのだ。そこで岸田文雄首相(自民党総裁)は党本部で開かれた憲法改正実現本部の全体会合(7日)で飛んでもないことを訴えた。「憲政史上初の国民投票にかけるとしたならば、緊急事態条項と合わせて自衛隊明記も含めて国民の判断をいただくことが重要だ」「8月末を目指して議論を加速してほしい」と主張。9月の総裁選に向けて「9条改憲」推進をアピールすることで、改憲派の支持を得ようというわけだ。同時に「緊急事態条項と自衛隊明記」等の改憲を急ぐことの本音は、「国民が権力をしばる」「国の交戦権を認めない」という「立憲主義」の憲法を、「権力主権」の憲法に変えてしまえば、どうしても浮揚しない内閣支持率など気にしないで「軍拡と軍事支配」を欲しいままにできるという野望と渇望が透けて見える。
 

  (238) 百合三選 されど政権浮揚せず
「多摩の年輪」411号(2024年07月)
 7月7日投票の東京都知事選は、小池都知事に三選を許し、市民と野党の統一候補・蓮舫(れんほう)氏は及ばなかった。裏金・脱税、防衛費倍増、大増税によって内閣支持率が1割台に落ち込んでいて、とうてい候補者を立てることのできない自民党が、卑劣にも「二つの策動」を仕組んだのだ。第一の策動は小池知事への「ステルス(隠密)支援」だ。落ち目の自民党が公然と支援するのははばかられるので、こっそりと組織票を回す。先の国会で企業・団体献金禁止を回避して合法化した裏金もたっぷり添えられたに違いない。自・公票を保障された小池氏は、「公務」を口実に候補者間の公開討論を拒否し、「公務」内での選挙運動に明け暮れ、タヌキのように都民を化かした。第二の策動は、安芸高田市議会でのパワハラで名をあげた石丸氏を「蓮舫」斬りの刺客として担ぎ出したことだ。自民・財界の名士たちが選挙参謀となり、素性や新自由主義的なスタンスを隠した石丸氏が、政策抜きで蓮舫氏を叩き、その言動の「劇場受け」する部分を「切り取り動画」にして湯水のように拡散した。若者の支持が蓮舫氏に向かわぬように、キツネのように振る舞ったのだ。こうして小池氏と自民党が二人三脚で仕掛けた「争点そらし」のもとで蓮舫陣営は、無数の駅頭・街角・辻々で支持拡大の対話と「ひとり街宣」を繰り広げ、当初メディアが60%台に誘導しようとした「小池支持率」を43%まで追い込み、蓮舫氏の19%と石丸氏が野党陣営からもぎとった24%を合わせると小池氏と互角の43%という得票率に達したが、タヌキとキツネの化けの皮を剥がすには時間が足りなかった! この悔しさをバネに、都知事選後も浮揚しない岸田政権の姿を描いた。

(237) あと出しのジャンケンだけが頼りなの
「多摩の年輪」410号(2024年06月)
 北朝鮮のミサイル実験には「Jアラート」、中国の軍事演習には「台湾有事」、沖縄辺野古の基地建設には「代執行」、マイナカードに協力しない医療機関には「通報とペナルティ」、子ども・子育て不安には「健保増税」、--国民を脅迫し、敵基地攻撃能力の保有、大軍拡・経済軍事化・軍需拡大・原発推進、軍拡財源確保のための大増税と社会保障切り捨てが強行されている。これらが国民のくらしと安全、日本経済の発展、平和と民主主義を足元から破壊している。腹立たしいのはこれらが、政党助成金と企業・団体献金の二重取り、政治資金パーティーなど「裏金づくり」による大脱税と一体のものであることだ。だから国民の怒りは、自公政権に「時効」を突き付けている。4月の目黒区長選、3つの衆院補選で自民党を全廃させ、とりわけ東京15区補選では、自民を候補者擁立もできない不戦敗に、都民ファーストの候補に9回も応援に入った小池都知事を惨敗させた。5月の港区長選でも自・公両党が推薦した現職を破り、港区都議補選でも自民の公認・推薦候補を敗った。・・・かくて、金権腐敗・強圧政治に固執する自民党政治が終焉を迎えている中で、7月7日に東京都知事選挙が行われる。半年以上にわたって都民と野党の共闘が模索され、5月27日に統一候補の擁立に成功した。これに対して現職都知事は、ぎりぎりの6月12日に「出馬」を表明。「あと出しジャンケン」の効果?と「時効」を迎えた自・公の応援を頼りにしているだけの彼女にはもはや大義がない。今月は「首都決戦」の構造について描いてみた。
 

  (236) 企業献金死守の思いがつい漏れた
「多摩の年輪」409号(2024年05月)
 5月12日放送の『日曜討論』(NHK)で、自民党の政治資金規正法改正に向けた法整備を担当する作業部会座長の鈴木馨祐(けいすけ)衆院議員が「選挙目的、党目的で官房機密費を使うことはありません」と断言した。官房長官以外はだれも知らないことを、根拠もなく「断言」した稚拙さには笑いを誘われてしまった。さらに彼が「再発防止の話と、自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と各党の発言を批判し。企業・団体献金や政治資金パーティーの廃止など、抜本的な改革をめざす野党各党案の狙いが「政局」にあると主張を展開したのには驚いた。この主張は、自民党内での論議を、つい公衆の前で漏らしてしまったものだ。だから自民党の「改革案」には、企業・団体献金や政治資金パーティーを禁止することが出てこないのだ。こんなに分かり易い話はないので、今月はこれを描くことにした。

(235) 国民に説明もなくヌケヌケと
「多摩の年輪」408号(2024年04月)
 一昨年(2022年)、ウクライナ侵略戦争を利用して、防衛費をGDP比2%に倍増し、自衛隊に敵基地攻撃能力を持たせるなど、日本の外交・安保を大転換する「安保3文書」を閣議決定した岸田首相は、軍拡財源確保・原発推進・くらしと福祉のデジタル支配、軍事産業の育成と武器輸出解禁、経済秘密保護法など、「安保大転換・大軍拡」を推進。この4月には、これらの「成果」を携えて国賓待遇でアメリカを訪問した。大統領選をめぐるバトルが続くアメリカだが、この手土産なら「バイデン」にも「もしトラ」にも歓迎されると計算しての訪米だが、実はこれにはもう一つの狙いが込められていた。企業献金による裏金づくり・金権・腐敗への政治不信が高まる中で、国民への説明も抜きで進められる「大軍拡・大増税」は、岸田内閣への支持率を大低落させ、何をやっても政権浮揚ができない。この危機を日米首脳会談で払拭したいとの狙いだ。首脳会談は、自衛隊・米軍の指揮統制の枠組み強化、米英豪の安保枠組み「AUKUS(オーカス)」への軍事協力、日米を軸とするフィリピン・韓国・オーストラリアなど「同志国」のつながりの強化、武器の共同開発・生産の拡大などを声明し、岸田首相は「米国は一人ではない、日本はともにある」と極上の笑顔をつくって胸を張り、バイデン大統領は「同盟発足以来、最も重要なアップグレードだ」と述べた。だがこれらは朝日新聞の社説(12日)が「説明なき一体化の加速」と評したように、いずれも国民と議会に説明されておらず、「国民の了解」抜きで政権浮揚が叶うとは考えられない。「バイデン」VS「もしトラ」の混沌たるバトルを視野に、どちらにも喜ばれるものとして、安倍氏ゆかりのスーパーマリオの縫いぐるみと「日本の安保大転換」を手土産に訪米した岸田さん。今月はその「哀愁」を描いてみた。
 

  (234) なぜ飛ぶの?飛んでいないと落ちるから
「多摩の年輪」407号(2024年03月)
 3月の岸田内閣の支持率は、前月比1.1ポイント増の18%。2カ月ぶりに増加に転じたものの4カ月連続で1割台にとどまった(時事通信)。昨年末に労働組合組織率が16%台に落ち込んだこととともに、わが国の労働者・国民が信頼できる内閣と組織を持っていないことを表している。年明け早々の能登地震で震源地直近の志賀原発での油漏れ事故や避難路崩壊が、長年にわたる災害対策の手抜きに加えて13年前の福島原発事故の教訓を踏みにじる「原発推進」に舵を切った岸田政治・行政の誤りを明らかにした。内閣支持率の低迷は、防衛費倍増とその財源確保のための増税・福祉破壊、万博やカジノなど大企業のための開発への巨大な財政支出、そのもとで莫大な政党助成金を手にしているにも関わらず、政治資金とその「裏金」の獲得に耽ってきた政府・自民党への国民の審判に他ならない。いまこの政権が生き延びているのは、過去の選挙で「小選挙区制」等によって獲得した「虚構の多数議席」と莫大な政党助成金、嵩にかかった「裏金づくり」があるからにすぎない。これらの条件があるうちに「行けるところまで行く」というのが岸田内閣の戦略となっている。アメリカが沖縄と日本の空でのオスプレイの「飛行再開」を強行した姿になぞらえて、ただ生き延びるために暴走を重ねる岸田政権を「悪政ゴリ押しのオシプレイ」として描いてみた。

(233) 自問して自答したんじゃ「自免党」
「多摩の年輪」406号(2024年02月)
 能登半島の震災は240人を超える人の命を奪い、1カ月余りが過ぎても1万4.000人以上が避難生活を余儀なくされている。地震・津波は天災だが、その被害がかくも深刻化する要因のひとつとして「人災」をあげなければならない。わが国の政府・行政が、大軍拡や原発推進、万博・カジノなど大開発には巨大などんどん財政を割くのに、「社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上および増進」という憲法25条が明記する責任を長期にわたって放棄してきたからだ。震源地のすぐ近くにある志賀原発で変圧器から1万9.800リットルの絶縁油漏れが起こったが、これが稼働中だったフクシマの二の舞だったかもしれない。  「人災」のタネはまだある。企業・団体献金を規制する政治資金規正法と小選挙区制は、自民党に多数の議席とそれに応じた莫大な政党助成金をもたらしたが、自民党は「パーティー券なら企業・団体に売っても良い」とする抜け道を利用して莫大な「ウラ金」を手に入れてきた。やるべきことをやらずに「金権・腐敗」に耽る自民党に世論は内閣支持率16%という痛打を浴びせているが、岸田首相は1月10日、自らが本部長、最高顧問が麻生・菅の元首相、茂木幹事長が本部長代行、疑惑の渦中にある安倍派議員10人を含む38人のメンバーを揃えて「政治刷新本部」なるものを開設し、「派閥の解消」すなわち「裏金づくり組織の再編」によって疑惑を棚にあげようとしている。岸田首相は就任以来、2500回以上「しっかり」という言葉を繰り返しているそうだが、こんなことばかり「しっかり」やられてはかなわない。  極めつけは、2月に入り「刷新本部」の下部組織として森山裕総務会長をトップに渡海紀三朗政調会長、小渕優子選対委員長、松山政司参院幹事長、梶山弘志幹事長代行ら6人で「調査チーム」をつくって、安倍派・二階派・岸田派の現職議員約90人に対し、キックバックの金額や収支報告書に記載しなかった理由を調べていること。自民党の疑惑を自民党が取り調べるという文字通り「自問自答」で世論をケムに巻こうとは滑稽千万。自らの大犯罪を「しっかり」と免罪する自民党ならぬ「自免党」の姿を描いてみた。
 

  (232) 集まって何を「刷新」する気やら
「多摩の年輪」405号(2024年01月)
 果てしなくつづくウクライナ侵略とガザ攻撃、これを停戦に導くよりもむしろ便乗して防衛費倍 増と大増税すなわち経済の軍事化による利権を貪る岸田内閣。政治資金規正法と小選挙区制によっ て、企業・団体献金を規制する代わりに多数の議席とそれに応じた莫大な政党助成金を手にしてき た自民党が政治資金パーティー券なら企業・団体に売っても良いとする「法の抜け道」からも莫大 な「ウラ金」を手に入れ、これを継承する岸田内閣も金権・腐敗に浸ってきたが、これを見抜いた 世論が「内閣支持率16%」という審判を突き付けて昨年は暮れた。新しい年は能登半島と志賀原発 を大きな地震と津波が襲い、震災対策と志賀原発廃炉が緊迫した課題となっているのだが、これら の課題には気もそぞろ。1月10日に「政治刷新本部」なるものを開設した。党の政治資金への厳し い批判を反らすためだというが、裏金づくりの疑惑の渦中にある安倍派の議員10人を含め、38人の メンバーを揃えている。岸田首相を本部長に、最高顧問に麻生・菅の元首相を据え、茂木幹事長が 本部長代行。派閥について無派閥の菅氏が「解消」をしゅちょうすると、麻生氏が「解消などとん でもない」と返して、派閥をどうするかが争点のように見せるが、無派閥でも政治資金パーティー と裏金作りは行われているのだから、これは争点反らしだ。政党助成金をたんまりせしめながら、 法の裏を行く「企業・団体献金」による「ウラ金」づくりが大手を振っていることにメスを入れな い限り、「アリババと40人の盗賊」の話じゃないが、38人揃えてゴマカシたって「疑惑の門」は 開くものではない。今月はここを描いてみた。

(231) 共闘を阻むが「湯党」の生きる道?
「多摩の年輪」404号(2023年12月)
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑をめぐって、岸田首相は12月7日に岸田派(宏池会)会長を退くことを決め、その後連日、「内閣の要」を担う松野博一官房長官、高木毅党国対委員長、西村康稔経済産業相、萩生田光一党政調会長、ついには15人におよぶ安倍派・清話会の裏金疑惑の中心人物の更迭表明に追い込まれている。これは、2年前の10月に第100代総理大臣に就任した岸田首相が、アベノミクスの継承と安倍派のご機嫌取りで政権固めをめざしてきた流れを、根元から脅かす事態といえよう。岸田首相は昨年末に「安保三文書・原発推進5法」を閣議決定し、ウクライナ侵略からガザ攻撃にいたる生臭い情勢も利用して「防衛費倍増」の財源確保と軍事産業育成、軍事経済を支えるマイナー保険証・インボイス・原発再稼働にのめり込んできたが、それは、賃金と年金・医療・介護・社会保障の連続破壊、消費税の連続引き上げと果てしない物価高をいっそう深刻化するものであり、国民の反発は「内閣支持率」の低下というかたちで岸田内閣を苦しめた。そこで岸田首相は反発をなだめようと「税収増の還元策」と称する国民1人当たり年4万円の定額減税(「給付」ではなく半年先1回限りの「減税」)を持ち出したが、その後に大増税が控えていることを見抜く「世論」は、内閣支持率21%、不支持率74%、所得税・住民税減税を評価しない66%、評価する22%(11月20日毎日新聞)という数字で厳しくこれを打ち据えた。政党助成金をごっそりいただいたうえでちゃっかりと裏金づくりに明け暮れ、国民には暮らしと福祉の破壊、大軍拡と大増税を押しつける「安倍流の岸田暴走政治」は、裏金疑惑とあいまって、いま「市民と野党が力を合わせれば倒せる」ところまで追い込まれているのは明らかだ。
 ところがである! さあ「政治を変えよう」と立ち上がる私たちがふと気づくと、何と野党の足並みが揃わない。新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げ、「非共産・非自民」で政権交代をと宣言する「Ⅿさん」は、来年の政党助成金をたっぷり受け取れるように5人のメンバーを揃えて年末に駆け込んだ。「内閣不信任は行いません(近日はそうも言ってられないようだが)と総理に擦り寄る「国・民党のTさん」は政権交代より現政権への参加を夢見ている。「身を切る改革」が売りの維新の「Bさん」は、周りには身を切れと言うが決して政党助成金は返上しない。要するに岸田与党を批判するフリをしながら、「癒(湯)党」として「政党助成金」とその裏金や利権に群がり、「時効」の来ている「自・公」与党を支える「翼賛勢力」として、手を変え品を変え、野党共闘を妨害している。今月はこの部分に目を向けて描いてみた。
 

  (230) 「戦前」に戻る軌道をたどるだけ
「多摩の年輪」403号(2023年11月)

  11月3日に国会正門前で、九条の会主催の「11・3憲法大行動」が開催され4000人が参集した。 長引くロシアのウクライナ侵略戦争に加えて10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃、こ れを契機に1か月で1万人近い市民と子どもの命を奪うパレスチナ攻撃が行われているさ中での行 動となった。昨年末にロシア・中国・北朝鮮・台湾の動向を口実に「安保3文書」と「原発推進」 を閣議決定し、防衛費倍増・軍事経済化・軍事大国日本復活への暴走を開始した岸田内閣が、パレ スチナ情勢をも利用して軍拡財源の確保(そのための暮らし・福祉の蹂躙、マイナンバー制度の押 し付け)、原発汚染水の海洋投棄、憲法改悪を具体化しようとする鼻先での行動でもあった。  岸田内閣は、軍拡への批判を反らそうと、所得税の定額減税や低所得者世帯への7万円給付など の「経済対策」を掲げたが、内閣支持率は下落を続け過去最低を更新している。世論が経済対策を 評価しないのは「増税が予定されている」「経済対策より財政再建を優先すべき」「政権の人気取 り」との批判があるからであり、東京都江東区長側の公選法違反事件を巡り法務副大臣を辞任した 柿沢未途氏や、女性問題で文部科学政務官を辞任した山田太郎氏への首相の任命責任は重大だとの 意見が高まっているからだ。11月7・8日に東京で開いたG7外相会議を終えて上川外務大臣が 「今回の会合はG7として初めて戦闘の人道的休止やその後の和平プロセスを含め、一致したメッ セージをまとめ」たとして、「日本がG7議長国として、精力的に取り組んできた結果だ」と誇っ て見せたが、ロシアのウ国侵略には民間人や学校・病院への攻撃を「国際法違反」と厳しく非難 してきたG7が、ハマスへの批判の一方でイスラエルの「自衛権を強調」してガザ侵攻そのものの 停戦は求めないという「外相声明」は、世論にいっそう深刻な疑問を投げかけ、その後の内閣支持 率はいっそう沈下している。  「11・3大行動」は、悪政と世論の緊迫したせめぎ合いの渦中で、十分な規模を果たしたとは言 えないが、問答無用の暴走を押しとどめ、新たな方向に転じる決意とエネルギーを現した行動とな った。それは、政府のその場限りの「説明」ではだまされない国民世論が、内閣支持率を低下させ 続けているのと同じ軌道に立つものに他ならない。  今月は、イスラエルの「自衛権」擁護、日本の「防衛力倍増」の推進という、岸田政治の軌道の 上で、内閣支持率浮上のために空しく走る「岸田外交のヴィーナス」の姿を描いてみた。

(229) 異次元の「八奸」政治ゆるすまじ
「多摩の年輪」402号(2023年10月)

    10月11日に藤井聡太名人・竜王が将棋界初の八冠独占を達成した。同じ日に時事通信が10月世論調査で岸田内閣支持率が3か月連続2割台26・3%となったと発表した。次元は違うが陰陽を分かつ2つの報道を受けて翌12日、岸田首相は藤井八冠に内閣総理大臣顕彰を行なうと発表した。内閣支持率の低迷は、切実な国民の願いには耳を貸さず、財界とアメリカの求めには素早く対応する岸田政治への怒りと怨嗟の表明だが、これを素早い「八冠顕彰」決定で反らそうとの思惑が漂う。思惑の有無はどうあれ私たちは、首相自らが「戦後安全保障政策の大転換」「次元の異なる少子化対策」と標ぼうする常軌を逸した岸田政治から目をそむけるわけにはいかない。いま世界では、ウ国侵略などの戦争と紛争に煽られて核軍拡・経済軍事化競争に傾斜し、各国のくらし・福祉・平和を棚上げして核兵器禁止・戦争回避・気候危機打開の国際的・歴史的な努力に逆行する動きが強まっている。日本でも、物価高騰、年金の連続切り下げ、後期高齢者医療への窓口2割負担導入(昨年10月~)・コロナ感染症の検査・治療への公費負担の縮小(この10月~)、後期高齢者保険料の段階的引き上げ(年1万円ていど来年度~)、介護保険利用者負担2割の対象拡大(計画)等が、国民のいのち・健康・くらし・福祉を空前の危機にさらしている。これら内外の緊迫した情勢に対して岸田政権は、福島原発の放射能汚染水の海洋投棄と原発推進、防衛費倍増・軍需産業支援・武器輸出三原則と専守防衛の放棄、軍拡財源確保のための医療・年金・介護財政の横流し、マイナンバー制度の推進と健康保険証の廃止など「異次元の政策」の推進に余念がない。まさに常軌を逸した無数の奸計(悪だくみ)を強行する岸田政治を、彼らが「顕彰」する藤井名人の「八冠」にからめれば「八奸(たくさんの悪だくみ)政治」と呼びたい。「平和・人権・福祉・自治をうたう日本国憲法」を持つ日本の私たちは、内閣支持率26%まで追い込んできた「八奸政治」をさらに追い詰め、憲法の軌道に戻さなくてはならない。今月はそんな思いを描いてみた。
 

  (228) 処理水と呼び名変えても汚染水
「多摩の年輪」401号(2023年9月)

  岸田首相は、今月5日からASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会議やG20サミットに出席するため、インドネシアとインドを訪問した。岸田首相は、これらの会議に「G7議長国」として、ロシアによる「ウクライナ侵攻」がもたらしている地球規模の食料危機に向けて国際社会の協調を促す立場で臨んだというが、首相の頭の中は、8月24日に強行した「福島第一原発の処理水放出」に対する国際的非難をどう避けるかということでいっぱいだったようだ。海洋投棄を開始した「放射能汚染水(アルプス処理水)」の「安全性」とやらを説明し、理解を求め、帰国直前の記者会見では「国際社会の理解は一層広まった」と鼻をふくらませた。会場で中国の李強首相との短時間の立ち話で日本産の水産物の全面的輸入停止措置を即時撤回するよう求めたとも語った。しかし、海水で薄めた「アルプス処理水」がどう「安全」なのか、それが海洋に放出されても、長い年月の内に生体濃縮や環境汚染・複合汚染をもたらすことはないのかなど、私たち国民にさえ得心の行く説明は行われていない。放射能の拡散を根元で止める対策や、汚染水の保管方法の改善など、他に求められている手だてを打つこともせずに、大急ぎで海洋投棄に踏み切ったのは、原発推進、防衛費倍増、マイナンバーによる暮らしと福祉の抑制などが狙いであることは見え見えだ。11日の朝に帰国し、13日には女性5人、新人11人、派閥均衡などを「目玉」として「内閣改造」を行なったが、つい「汚染水」と言ってしまった農相の首は挿げ替え、原発・マイナ保険証や大軍拡・大増税を推進する態勢は一歩も譲らない。直後の日経新聞が「内閣支持率横ばい、改造効果乏しく 『派閥均衡』評価せず」との世論調査結果を発表した。阪神の岡田監督の「アレ」は18年ぶりの達成をみたが、13年半にわたる事故原発のデブリ汚染水は「安全な処理水だ」と内外に宣伝しても簡単に「アレ」できるもんじゃない。今月は、いかがわしい「水売り」の姿を描いてみた。

(227) 世論こそ「反撃能力」持っている
「多摩の年輪」400号(2023年8月)

   岸田首相が「自由・民主主義・人権・法の支配といった基本的価値を共有する国々との連携の強化」という空疎な決まり文句を連発して、去る5月の「G7サミット」であたかも世界の平和をリードしているかのような印象を振りまいて、低落が続いていた内閣支持率を一時的に上昇させたことを思い出すと、権力が振りまく欺瞞への憤りとともに、欺瞞を見抜く材料が少ないために、権力の思い通りに踊らされる世論への歯がゆさがよみがえる。  しかし世論は騙されっぱなしではいない。続く国会で、①5年間で43兆円もの大軍拡のために年金や医療の積立金まで流用する「軍拡財源法」、②健康保険証廃止など医療・福祉の抑制を狙う「マイナンバー法」、③難民の強制送還を強化する「改悪入管法」、④「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」の名で世論を欺く「原発最大限活用法」などの稀代の悪法を相次いで強行成立させた事実を通して、これらが広島サミットの「核抑止」礼賛、ロシア・中国の「封じ込め」と関連しあっていることに気づき、軍事ブロック強化・防衛費倍増・専守防衛放棄・敵基地攻撃能力保有が「いずれの国家も他国を無視してはならない」と普遍的な「政治道徳の法則」に従うことを「各国の責務」と訴える日本国憲法の前文に違反していることを見抜くことになる。  8月に入って麻生副総裁が台北での「国際フォーラム」(8日)で、有事を未然に防ぐには日本や米国、台湾の「戦う覚悟」が必要だと講演した。まさに岸田内閣は、軍事費倍増に踏み切り、その財源調達と軍事経済をめざして、健康保険証の廃止や、原発の積極活用によって「戦う覚悟」を固めたいのだろうが、いまわれらの世論は、円安・物価高、実質賃金低下など、暮らしと福祉を犠牲にする岸田内閣への支持率を26・2%(7月共同通信)まで低下させ、大軍拡・大増税を阻もうとしている。騙されても、踏みにじられても、世論の持つ「反撃能力」は不滅なのだ。今月は、さあ「どうする、岸田内閣?」と問いかけてみた。
 

  (226) 軍拡にすがって活路を探すとは!
「多摩の年輪」399号(2023年7月)

 6月21日に閉会した国会は、最終盤、悪法が相次いで強行される異常な国会だった。5年間で43兆円もの大軍拡をすすめるために年金や医療の積立金まで流用する軍拡財源法、健康保険証を廃止するマイナンバー法、難民の強制送還を強化する入管法改悪などが、岸田政権と自民・公明・維新・国民の「悪政4党連合」によって次つぎに強行された。そのもとで、この内閣の防衛費倍増がバイデン米大統領の「説得」によるという情報や、平和統一家庭連合のハン・ハクチャ総裁が「岸田を呼びつけて教育を受けさせなさい」と述べたという情報が、この内閣のアメリカや旧統一協会に対する従属性を浮き彫りにし、格差是正や所得再分配をうたった「新しい資本主義」も有名無実、アベノミクスの踏襲による円安・物価高の常態化、実質賃金の14カ月連続マイナス、生活保護の申請件数の増加、マイナンバーカードのトラブル続出などが深刻化している。だから当然のことだが、岸田内閣の支持率が、ふたたび30%割れに向かっている。これに対する岸田首相の対応が振るっている。去る5月に岸田首相は、議長国として「地元」で開いたG7広島サミットにウクライナのゼレンスキー大統領の電撃参加を演出し、長期的な安全保障を約束する共同宣言や、日本が総額76億ドル(約1兆円)超の支援を表明するなどして、世界平和のリーダーであるかのような印象を振りまき、内閣支持率を反転させることに成功したものだから、岸田首相は、マイナンバー制度への国民の不信が高まり、九州北部や東北を襲う記録的な大雨被害を放置して、米欧の軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)の首脳会議と日米同盟の軍事ブロック化をすすめ、タッチ&ゴーで中東、続けてサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールを歴訪。8月下旬にはワシントンで日米韓首脳会談を開き米韓の「核協議グループ」とともに核抑止力を強化するという。これは「大軍拡・大増税にまっしぐら」という他はなく、いわば「軍拡外交」で政権浮揚をめざすものに他ならない。今月はこれを笑ってやりたい。

(225) 戦争を止めてないのに「抑止力」?
「多摩の年輪」398号(2023年6月)

  岸田首相は安全保障問題を語るとき「自由・民主主義・人権・法の支配といった基本的価値を共有する国々との連携の強化」という安倍首相譲りの空疎な決まり文句を連発する。被爆地広島に各国首脳を招いた5月の「G7サミット」でも岸田首相は「基本的価値を共有する国々」とともに「核なき世界」に踏み出したかの印象をバラまき、低落が続いていた内閣支持率を一時的にとはいえ上昇させた。だが、このG7が、ロシアの10倍、日本の15倍もの巨大な軍事費を誇示しても、ロシアのウクライナ侵略を「抑止」できなかったことに頬かむりして、「核兵器は侵略を抑止し、戦争と威圧を防止する」との「核抑止論」を唱え、ウクライナへの軍事支援強化、ロシア・中国の封じ込めを確認した。日本国憲法の前文は「いずれの国家も他国を無視してはならない」として普遍的な「政治道徳の法則」に従うことを「各国の責務」と訴えている。世界の圧倒的多数の国々は「軍事でなく話し合いで平和を築こう」と、「核兵器禁止条約」の批准をはじめとする「国際平和」づくりに邁進している。これに対して、現実を見ない「核抑止論」やアメリカ仕様の「価値観」で世界の国々を敵と味方に選別し、味方すなわちNATOや日米同盟の核と軍事力の増強と「軍事ブロック」の強化をめざすというのは偏狭な世界観と言わねばならない。岸田首相の言う「自由・民主・人権」とは「アメリカの覇権と軍事力の自由」に追従する範囲でのものであり、「法の支配」とは「核兵器禁止条約」をはじめ国連憲章・国際法・憲法を蹂躙するものに他ならない。この道は90年も昔に先人たちが閉ざすことのできなかった「軍事優先」の暗黒の一本道ではないのか? 私たちはこのまま「いつか来た道」を辿っていいのか? こんな思いで今月は、「抑止力」はすでに破綻していることを描いてみた。
 

  (224) 要するに「新自由主義」の焼き直し
「多摩の年輪」397号(2023年5月)

 アメリカの「タイム誌」5月22・29日号が、岸田文雄首相を表紙として「日本の選択」と題する特集記事を掲載した。5月3日に日本の憲法は施行76年を迎えた。世界では日本を巻き込もうとする数々の戦争があったが、戦力不保持・戦争放棄を宣言した憲法9条のもとで、日本は保守も革新も憲法9条と「非核・軍縮・専守防衛」を守り、紆余曲折はあっても平和と民主主義、暮らしと福祉を育ててきた。ところがいま岸田政権が、中国の軍事大国化、北朝鮮のミサイル乱発、ロシアのウクライナ侵略などを「安全保障の危機」として、世論にも国会にもはからず「戦後の安全保障政策の大転換」を閣議で決めて暴走を開始した。現在年6兆円の防衛費を倍増し「敵基地攻撃能力」も保有して侵略と戦争を「抑止」すると言うのだが、軍事費100兆円のアメリカがその10分の1しか軍事費を持たないロシアがウクライナに侵略するのを「抑止」できなかった事実の前では説得力がない。GDPの4%近い1兆円の軍事費を備えていたウクライナは、ロシアの侵略を「抑止」できず、侵略後にこれをGDPの30%近くに増やしたが戦争を「抑止」できていない。岸田政権の防衛費倍増も、軍事的な脅威に軍事的に対抗するという悪循環に陥るばかりか、相互の経済を軍事化し、戦争を利用して軍需を競い合う底なし沼に迷い込むだけだろう。こうした岸田政権の大軍拡は、教育・中小企業・農業・医療・介護・年金の削減、法人税・たばこ税・消費税の大増税など国民の大負担と暮らしと経済の破壊で調達され、「あらたな戦前」を招くものに他ならない。岸田政権は、安全保障・エネルギー・少子高齢化などの危機を克服する「新しい資本主義」を進めるとして、国民に理解を強要するが、これは「新自由主義」政策の繰り返しでしかない。冒頭で見た「タイム誌」は、これらの事実について、ずばり「岸田氏は数十年にわたる平和主義を放棄し、日本を真の軍事大国にすることを望んでいる」と断言した。今月はこれを描かねばなるまい。

(223) 支持率をあげる為ならエンヤコラ
「多摩の年輪」396号(2023年4月)

 岸田首相がウクライナのキーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行なった。5月に広島で開くG7の議長国としての訪問だった言うが、ヒロシマ出身を名乗る岸田首相らしく、戦争終結のための和平を提案したかというとそうではない。NATOと同じ立場でウクライナを支援する、つまり軍事支援をするとの決意を示し、何と「必勝しゃもじ」をプレゼントして大統領を激励したというのだから情けない。それもその筈、岸田政権はいま、昨年末から今年初めにかけて相次いで閣議決定した「安保3文書」と「原発3文書」の具体化に余念がない。ロシア・中国・北朝鮮が「安全保障危機」と「エネルギー危機」を深刻にしていると大宣伝し、フクシマの復興予算、コロナ対策や物価・少子高齢化対策のための予算、医療・年金・介護・社会保障予算を徹底的に削って、エネルギー・軍事産業の育成と軍事費倍増に横流しする。予算を「敵基地攻撃能力保有」や「同志国軍の能力強化」に湯水のように注ぎ込む。その一方で、予算の手当て抜きの舌先三寸で「賃上げ」「異次元の子育て・少子化対策」を歌いあげる。これらに釣られて野党の一部が動揺し、4月の「統一地方選・前半戦」で野党共闘の足並みが揃わず、与党・翼賛勢力を利する場面も生まれていることは軽視できないが、戦後史を「新しい戦前」に後退させる「安保・原発・憲法」政策の大転換をやすやすと受け入れるわけに行かない国民は、一直線とは行かないけれど着実に内閣支持率を長期低迷に追い込んでいる。今月は、軍事対軍事に熱中する「必勝しゃもじ」と国民を欺く「異次元の打ち出の小槌」で奮闘する岸田首相の「雄姿」を描いてみた。
 

  (222) 大見得の二番煎じは効くかしら?
「多摩の年輪」393号(2023年1月)

 3月2日に小西洋之・立民参議院議員が、2015~16年に磯崎氏の働きかけで放送法の政治的公平性をめぐり解釈が変更された経緯そ示す総務省の内部文書を公表した。当時の総務大臣としてこれに関わった高市早苗経済安保担当相がこれを「捏造だ」と言い切った。昨年末から今年初めにかけて、アメリカとの約束を先行させ、国会での審議も国民世論への説明も行なうことなく、戦後安保政策の大転換を宣言する「安保3文書」と、フクシマ以降の原発依存度低減政策を転換する「原発3文書」という「2つの閣議決定」を行なった岸田内閣は、フクシマの復興予算もコロナ・物価・少子高齢化の対策費や医療・年金・社会保障費も、エネルギー・軍事産業の利益と軍事費倍層に流用することへの国民世論の批判の高まりに苦しんでいる。これをかわそうと4人の閣僚の首を切ったが内閣支持率は2割台に落ち込んでいる。そこに襲いかかった放送法解釈をめぐる「検閲疑惑」と、これを「捏造だ」と大見得を切ってあくまでも強情を張り続ける高市経済安保相。問題は、故安倍首相と磯崎陽輔首相補佐官、高市総務相が放送法解釈を変更して民間放送の特定番組に権力介入した事実を検証することなのだが、総務省の記録文書が捏造かどうかという問題に捻じ曲げて、そうでなければ「私は議員を辞める」と脅して担当者に忖度を押し付ける高市氏のやり方は、かつて「モリカケ桜疑惑」を棚上げするために安倍元首相のやり方の二番煎じに他ならない。だが、安倍氏ではなく、旧安倍チルドレンの1人だっただけの高市氏に誰が忖度するだろうか? 困り果てた岸田首相と自民党はどうするのだろう? 今月は、こんな野次馬根性で描いてみた。 

(221) 閣僚の首のようには斬れないぞ!
「多摩の年輪」394号(2023年2月)

  福島第一原発事故発生から12年目の春を迎えたが、強制避難地域だけでもまだ8万2千人余が故郷に戻れず、小・中学校の通学生徒は10分の1に減少している。ところが岸田内閣は2月10日、これまで「可能な限り依存度を低減」としてきた原発政策を「再稼働・新増設」「60年超の運転容認」「積極推進」に転換する「閣議決定」を強行した。23年度の政府予算案は再生可能エネルギー関連予算を261億円に抑え、原発推進には22年度第二次補正予算と合わせて合計1・6兆円、将来は20兆円を投じるという。これは昨年末に国会での審議を避けて「閣議決定」し、今年早々に国民より先に米大統領に報告した「安保3文書」が、憲法九条も「専守防衛」も何のその、敵基地を攻撃できる軍事能力を持つため、軍事費を5年間で43兆円増やして2倍にするというのと一体の「乱暴狼藉」だ。これら「2つの閣議決定」による大軍拡と原発推進は、福島の被災地・被災者にも、コロナ禍・物価高騰・差別・貧困にあえぐ国民全体にも、核汚染と戦争の惨禍を押し付けるもの。今ほんとうに必要とされているコロナ・物価対策、少子・高齢化対策、医療・年金・社会保障対策などの財源は徹底して削られ、足りない分は国債や大増税で国民のふところに押し付けられる。しかし、国民が戦後78年にわたって築き固めてきた「平和と民主主義」、76年にわたって育ててきた「憲法9条」は、決してヤワなものではない。政権・利権を維持するために反社会的団体との癒着、政治と権力の私物化を重ねてきた政権への国民の批判は高まっており、岸田内閣もこれをかわそうとすでに4人の閣僚の首を切ったが、内閣支持率は2割台に落ち込んでいる。戦後、憲法9条を掲げて平和と民主主義を求めてきた歴史はしっかりと根を張っている。これを「2つの閣議決定」によって「大変革」できるわけはない。こういう確信と若干の祈りを込めて今月は描いた。
 

  (220) まだ何も決まってないのにべらべらと!
「多摩の年輪」393号(2023年1月)

 昨年末の12月16日に「戦後の安全保障政策の大転換」を唱える「安全保障3文書」を閣議決定した岸田首相は、年頭早々からこれを世界中に吹聴している。戦後の歴代政権が少なくとも建前として尊重してきた「専守防衛」と「軍事費のGDP1%枠」を投げ捨てて、「敵基地攻撃能力の保有」と空前の軍拡に踏み込もうというのだ。これに関連して岸田内閣は、福島での原発事故後に各政権が掲げざるを得なかった「原発依存の低減、新規の原発建設の抑制、運転期間の原則40年への制限」などの政策も一気に転換し、「原発の最大限活用、再稼働・建設・推進」を宣言した。ウクライナ侵略戦争とエネルギー危機、中国の軍事力拡大の脅威などを利用して国民の不安をあおりながら推進されようとしているこれらの「大転換」は、国民に、コロナ危機・気候危機への無為無策、医療・介護・年金・社会保障の大抑制、大増税をおしつけ、いのちとくらしを踏みにじる「大暴走」だ。  ここで重大なことは、これらの「大転換・大暴走」は、この間の総選挙・参院選で議席の多数を獲得できたのを良いことに、国民への説明も国会での審議も行なわないまま「閣議決定」によって推進されていることだ。これらの危険な転換と暴走をこのまま放っておいていいのか? 保守系の人びとも含む全国民が「いくら何でも許せない」という思いを抱いていると思う。この思いを、各分野・全世代の人びとと共有し、この数年間、妨害され苦戦を強いられてきた「市民と野党の共闘」を建て直す必要性と可能性を、何としてもつかみとりたい。今月は、国民の合意も国会の審議もないままで、閣議決定の中身を欧米諸国に声高に吹聴している岸田首相の「おしゃべり外交」を笑ってやることにした。

(219) おい世論、揺れてる時じゃないだろう!
「多摩の年輪」392号(2022年12月)

 12月10日、臨時国会が閉会した。数十年にわたって強権政治を進めてきた自民党の「新自由主義」が破綻し、コロナの感染拡大にも、デフレにも物価狂乱にも無力であること、しかもこの間の強権政治が実は自民党と旧統一協会=勝共連合の癒着によって推進され岸田首相自らを含む政治家も汚染されていることなどが明らかになる中での国会だった。これらを徹底的に究明し、いのちと暮らし、人権と福祉を抜本的に回復することが世論の流れであり、内閣支持率の大幅低下を背景に3閣僚更迭に追い込まれた岸田政権は息絶え絶えの状態にあった。ところが岸田首相は、旧統一協会に関わる疑惑の解明を「被害者救済法」の審議で棚上げし、ロシア・北朝鮮・中国・台湾の動きを「安全保障の危機」と騒ぎ立てて「軍事費倍増・敵基地攻撃・基地拡充・原発推進・9条改憲」への世論誘導に終始した。誘導は、5月23日のバイデン米大統領との会談で、①日米同盟の抑止力・対処力の強化、②沖縄県辺野古新基地の建設強行、③中国を念頭とする軍事費の「相当な増額」、④原発の輸出促進など「革新原子炉・小型モジュール炉」の開発・世界展開などを誓約した岸田首相による防衛費2%指示(11月30日)、5年間で43兆円の防衛予算指示(12月5日)、年1兆円の防衛増税指示(12月8日)や、経産省審議会の原発新増設・建て替え・再稼働・運転期間60年への延長指針(8日)など、開催中の国会を無視した閣議主導で立て続けに垂れ流された。 ここで重大なことがある。これらの動きをマスメディアも碌に批判しない、野党の足並みも揃わない。その結果、世論にも揺らぎがつくられていることだ。「防衛費増額に『賛成』5割超、中露への対抗姿勢を『評価』74%、防衛力強化に『賛成』70%、『反対』24%」(6月の読売新聞調査)、「防衛費増額に対する賛否、『賛成』55%、『反対』29%」(10月のNHK調査)、「日本が敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つことに『賛成』60.8%、『反対』35.6%」(11月共同通信調査)。 おーい世論、揺れてる場合じゃないだろう! 「撃ちてし止まむ」「進め一億火の玉だ」「欲しがりません勝つまでは」と煽られて「一億玉砕」に追い込まれた暗黒の時代が終わって78年。その反省から憲法9条を掲げ、反戦・平和と民主主義を求めつづけてきた世論が「戦争」を選ぼうというのか? 今月はその世論に問いかける。
 

  (218) 崩れ際、暴走にこそアラートを
「多摩の年輪」391号(2022年11月)

 旧統一教会と複数の接点を「記憶がない」と否定し、指摘されると追認を繰り返した山際大志郎経済再生相について、岸田首相は「本人が説明責任を果たせ」「辞めさせるつもりはない」と庇い続けたが、世論の批判に耐えられなくなって10月24日に更迭した。ところがその4日後には山際氏をコロナ対策本部長に起用したというので批判が高まっている。死刑執行に関する職務を軽視する発言をした葉梨康弘法相をについても懸命に庇ったが、山際更迭の19日後、11月11日に更迭を決めた。引き続き、後援会の収支報告書の記載漏れなど「政治とカネ」を巡る疑惑が深まっている寺田稔総務相、旧統一協会との癒着の疑惑が明らかになっている秋葉賢也復興相、井野俊郎防衛副相、山田賢司外務副相、杉田水脈政務次官などの問題も岸田首相の任命責任を厳しく問うている。こうして11月の世論調査での内閣支持率は36%に落ち込み、この政権の足元は既に崩れている。ここから抜け出そうとして政権は、北朝鮮のミサイル発射に「Jアラート」を乱発し、コロナ危機・エネルギー危機・ウクライナ危機をも利用して、軍事費倍増と大軍拡、原発再稼働と新増設、くらしと福祉の破壊と憲法改悪を国民に押しつける暴走を開始しているが、この暴走を許さないアラートをこそ、いま吹き鳴らしたい。     

(217) 岸田さん「既死だ」と知って眼を覚ませ
「多摩の年輪」390号(2022年10月)

 10年以上にわたって、教育基本法改悪と安保法制の強行による「戦争する国づくり」、くらし・福祉の破壊と「モリ・カケ・桜」などの政治の私物化に明け暮れた「アベ政治」は、コロナ襲来のもとでその弱点を白日の下に晒して破綻した。2020年9月に安倍首相が政権を投げ出すと、その1年後に菅政権も破綻し、岸田政権もその1年後には内閣支持率30%割れという窮地に立っている。岸田首相は、コロナ危機・ウクライナ危機戦争・気候危機に加えて安倍元首相の「非業の死」まで利用して軍事費倍増・原発活用・憲法改悪で窮地脱出をはかったが、これらと背中合わせの医療・介護・年金・社会保障切り捨ての狙い、安倍元首相以来の旧統一協会との深刻な癒着が明るみに出て、どこから見ても「死に体」に追い込まれてしまった。それがなお政権の座を維持しているのは、小選挙区制と政党助成金をめぐる利権がらみの野合を深める「翼賛勢力」が「国会議席上の多数」を握っているからでしかない。コロナ禍のもとで雇用と営業を破壊され、空前の物価高騰のもとで賃上げが追い付かないという事態の真っただ中でアベ礼賛の「国葬」を強行した岸田政権は、10月に入って年金引き下げ、高齢者の医療費負担の2倍化を強行実施し、介護保険の改悪にも着手しているが、もう辞めた方が良い。今月は、いのち・くらし・平和を最優先する日本国憲法9条と国連憲章の立場から、「おまえはもう死んでいる」という「北斗の拳」のケンシロウの名セリフを、岸田(既死だ!)さんに送りたい。
 

  (216) すがりつくイワシの頭の霊験は?
「多摩の年輪」389号(2022年9月)

 長期化するウクライナ戦争のもとで深まる核戦争危機に加えてコロナ危機と気候危機が世界を覆い、これらの打開が世界共通の切迫した歴史的課題となっている。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマでの経験を通して「憲法9条」を守り育ててきた日本は、今こそ世界で、平和外交による紛争の解決、原発・核兵器の廃絶、いのちと暮らし最優先の経済社会づくりにイニシャティブを発揮すべきだ。ところが岸田政権はこれらの危機を利用して、軍事費倍増・「9条改憲」・原発活用、これらの財源を保障する医療・介護・年金・社会保障切り捨てに余念がない。コロナ感染、高物価・重税・低賃金、差別と貧困には「無策」をつらぬき、果ては先々代のアベ首相の「非業の死」をも利用する。旧統一協会をはじめとする利権がらみの諸「翼賛勢力」と癒着して「国会議席上の多数」を握っているのをいいことに、アベ礼賛の「国葬」という「イワシの頭への信心」を「粛々と」国民に押し付けようとしている。それは「九条の会」や「市民と野党の共闘」を妨害する「強大な力」に見えるのだが、その実体を見落とすわけにはいかない。その実体は、小選挙区制や政党助成金制度による「虚構の多数」でしかない。いのち・くらし・平和を最優先する世界史的本流に照らせば「逆流」にすぎない。いま「本流」として輝きを増しているのは日本国憲法9条と国連憲章であり、これを生かすための統一と団結を求める覚悟が私たちに問われており、そこにこそ未来はあるのではないか。今月は、イワシの頭にすがりつく政権を笑ってみた。

(215) 教団を隠したつもりで冠ってる
「多摩の年輪」388号(2022年8月)

 7月8日に安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、その2日後10日の参院選で岸田文雄内閣の与党とその翼賛勢力が議席の多数を握った。即座に安倍政治の礼賛・継承、改憲・大軍拡・原発活用に足を踏み出した岸田内閣は、7月22日には安倍「国葬」を閣議決定する。しかし、これには国民の批判が高まり、某紙が「新型コロナの感染拡大や統一協会問題などで内閣支持率が急落し、政治的行き詰まりが激しくなるなか・・・政権浮揚を図ろうとして」と評したように、岸田内閣は8月10日、第2次改造内閣を発足させて事態の打開を急いだのだが、支持率低下は止まらない。この政権の政治的行き詰まりは、このような小手先の操作で解決できるものではないからだ。1945年のヒロシマ・ナガサキでの原爆被爆、無条件降伏による第2次世界大戦の終結、翌々年にかちとった平和憲法を踏まえて、日本が戦争を「放棄」してから77年が過ぎたのだ。1868年の明治維新から戦争に明け戦争に暮れた日本が敗戦するまでに過ぎた77年と同じ年月が流れた。まさに「戦争の77年」と「平和の77年」を刻んだ明治154年の歴史を太く踏まえて、次の77年をどう歩むかが問われているのが今なのだと思う。一方では、地球規模での新型コロナの蔓延、気候危機、2月24日から続くウクライナ危機が、地球と人類の存続を脅かしている。他方では、5月15日に沖縄返還50年、6月21~23日に核兵器禁止条約第1回締約国会議、8月1~26日に第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議、9月29日に日中国交回復50年など、危機を乗り越える世界史的な契機とこれを生かすチャンスも成熟している。こういう国内外の情勢を全面的にとらえて対処せずに、その場しのぎの「モリカケ桜隠しの国葬」や「教団隠しの内閣改造」などでごまかしても、問題は決して解決しない。今回は、小手先でのごまかしの手法が、まさに悪名高い「霊感商法」となっている「霊感内閣」を笑ってみた。
 

  (214) 暴力はいのちも平和も守らない
「多摩の年輪」387号(2022年7月)

 ウクライナ危機に便乗し、日米同盟の強化や核共有、敵基地中枢部への攻撃能力の保有、軍事費の倍増を声高に叫んでいた安倍晋三元首相が凶弾に襲われ死亡した。憲法違反の「戦争法」を強行し、「力には力」「侵略には反撃」「核には核」「暴力には暴力」という立場での「戦争する国」づくりが憲法違反なら憲法を変えるのだと強権政治に明け暮れた安倍氏が、他ならぬ「暴力」によって命を落としたのは皮肉なことだ。俗には「自業自得」、科学的には「弁証法的必然」なのだろうが、67歳という若さでの非業の死には驚いたし心も痛む。私たちは、彼の長年の悪政を変えようと「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民と野党の共闘」を発展させてきたのだが、昨年の総選挙いらい足並みを乱され、今回の参院選では投票日の2日前に起こった安倍銃殺事件にも影響されて、与党と「翼賛諸党」に3分の2超の議席を与えてしまった。私たちの「共同」が、彼の「軍拡・改憲」路線を首尾よく抑え込んでいたら、彼のいのちを救うことができたかも知れないと考えると、私たちにも責任があると感じてしまう。いのちと平和は「市民と野党の共同」によってこそ実現できるのだという確信を取り戻すことができないと、この微妙な責任が重みを増してくる。

(213) 財源はGDPから搾りだす?
「多摩の年輪」386号(2022年6月)

 5月23日、日本を訪れたバイデン米大統領との首脳会談で、日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費を増額するとともに、いわゆる「反撃能力」を含め、あらゆる選択肢を排除しないと述べ、バイデン大統領から強い支持を得た岸田文雄総理大臣。6月7日に閣議決定した「骨太の方針」、それを踏まえて10日に「アジア安全保障会議」で行なった基調講演などで、「国内総生産(GDP)比2%」を念頭に、「日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」と表明するなど、国民と国会には何の相談もないままに、危ない政策をエスカレートさせている。他方で広島出身の総理として「核兵器のない世界」に向け汗をかくなどと言って見せるが、21日から始まる核兵器禁止条約締約国会議には一言も触れず、従来からの条約を妨害する態度は変わらず、「軍事費倍増」とそれを裏付けるための「憲法改悪」への意欲ばかりが、いやに目立ってきている。「軍事倍増」と「憲法改悪」は、戦後77年、平和憲法施行75年、1度も海外から攻められなかった「専守防衛」の日本を「攻められるかも知れない日本」に変えるものだ。「軍事倍増」には6兆円もの財政が必要で、消費税の大増税、くらし・福祉・賃金・雇用の大破壊、コロナ禍で3年も耐えさせられた国民のいのち・健康の大破壊が伴なうことは明瞭だ。軍事費をGDPの2%に引き上げると言っているように、GDPが搾り上げられる。ところが「軍事倍増」への各党の態度は、公明「避けられない」、国民民主「やむをえない」、維新「推進・見直し」、立憲「議論はすべき」とバラバラで、「反対」を言うのは共産と社民だけ? 政府・財界の「反撃」でバラけさせられた「市民と野党の共闘」だが、昨年の総選挙までに安倍・菅政権を破綻に追い込んだ力を思い出し、必ず立て直さなければ! 歌舞伎・白浪五人男の「賊徒の首領、日本駄右衛門」になぞらえて「軋駄(きしだ)右衛門」像を描いてみた。
 

  (212) 三勇士?所詮開けぬ突撃路
「多摩の年輪」385号(2022年5月)

    コロナ禍とロシアのウクライナ侵略が世界に脅威を与えているが、日本政府とその追随勢力は、これに便乗して、とんでもない政治反動を国民に押し付けようと、不気味な動きを見せている。自民党の安全保障調査会が4月27日に、「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有や軍事費の対国内総生産(GDP)比2%など、大軍拡を求める「提言」を岸田文雄首相に提出したが、この提言は、安倍晋三元首相などの主張に沿って、「敵基地攻撃能力」という言葉を「反撃能力」と言い換えて国民を欺きつつ、「攻撃」の対象範囲を「相手国のミサイル基地に限定せず、相手国の指揮統制機能等も含む」と、攻撃を受けそうになったら相手国の中枢を先制攻撃するという。これは歴代政府が建前としてきた「専守防衛」と矛盾し、憲法9条に全面的に違反する。自民党国防部会関係者の一人が「敵基地攻撃能力保有は、まさしく安保法制の第2弾。国民の危機意識を醸成し、防衛装備の拡大も9条改憲も進めるチャンスだ」と述べたというが、まさしくこれはウクライナ危機に便乗して、安倍政権以来どうしても果たせなかった「大軍拡・核保有・敵基地攻撃・憲法改悪」を一気に果たそうというものではないか。新自由主義とアベノミクスは、医療・介護・年金・社会保障などの「公助」を徹底的に破壊して、大企業のための経済成長に明け暮れた結果、コロナ禍に対する虚弱さを暴き出され、国民に「自粛」を強制して急場をしのごうとした安倍・菅政権はたちまち失速・破綻し崩壊した。そして岸田政権は、これらを反省するかと思いきや、「聞く耳」などのごまかしをくり返しながら、結局は安保法制の第2段である「敵基地攻撃」への意欲を隠さなかった。そこに襲いかかった「核戦争の脅威」をはらむロシアのウクライナ侵略だ。「渡りに船」と見たのだろう、岸田政権は5月11日、「経済安保」法を成立させた。採決で自・公両党のほか、立憲・国民・維新などの野党も賛成したというのだが、「経済安保」は経済や研究分野を政権の統制下に軍事力として組み込むものであり「安保法制の第3弾」に他ならない。一部の野党の中で「市民と野党の共闘」への確信が揺らいでいることは軽視できないが、人間といのち、自然と地球が生き残る大道からみれば、岸田政権が仕組む安保法制の第2弾・第3弾を抱えて突撃する「爆弾三勇士」は、けっして突撃路を開くことはできない。その悲劇を描いてみたのだが・・・

(211) 日本ではシンゾーすでに過去の人  
「多摩の年輪」384号(2022年4月)

 安倍元首相が「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」とプーチン露大統領に語ったのは19年9月のことだが、その1年後に安倍政権は崩壊し、またその1年後に菅政権も崩壊し、さらにその半年後にプーチン大統領は破滅的なウクライナ侵略戦争を開始した。コロナでつまずき、自助の押しつけで挽回しようと謀った菅政権も破綻しては「未来」どころではなかろうに、安倍氏が「歴史戦」や「核共有」を煽っているのも異様だが、無辜の市民と児童を無差別に殺戮するプーチン氏の異様さは予断を許さない。この2人が見た「同じ未来」はいま、「3つの災い」を日本と世界にもたらしている。  第1がコロナの災い。福祉破壊・経済成長優先の新自由主義が破綻し、2つの政権が倒れたのに、「市民と野党」が先の総選挙で勝利を逸したために、無為無策のコロナ対策が継続している。第2はロシアによる戦争の無惨な災い。この開戦が核抑止論の無力を証明し、世界中に即時撤退を求める声が広がっているのに、無辜の市民のいのちが奪われ核戦争の危機が深まっている。第3がこれらの惨事に便乗する災い。破綻した悪政がゾンビのようによみがえり、自粛強制・公助破壊、軍拡・敵基地攻撃・核共有・憲法改悪を強行しようとしている。  これら「3つの災い」は、半年前に良い所まで行った「市民と野党の共闘」が、手段を選ばぬ保守反動勢力の妨害と分断を許し、政治を変えるに至らなかったために生じた。保守反動勢力は勝ち誇って、「共闘」が誤りで「敗北」したかのように「かく乱」しているが、医療のひっ迫、核戦争の危機など一瞬も放置できない。到達点を確信し、「市民と野党の共闘」を堂々と強化・発展させなければならない。そこにこそ、人間といのち、自然と地球が生き残る大道があるのだから。こういう視野を描きたいのだが・・・
 

  (210) ムリでしょう武器で平和は守れない
「多摩の年輪」383号(2022年3月)

   な、何と! プーチン大統領がウクライナへの侵略戦争を始めてしまった。侵略ではなく、国連憲章が認めた集団的自衛権の行使だと主張しているが、ウクライナ東部で「独立」を宣言していた2つの地域を2月に突然「国家」として承認してこれを守るために攻めたのだというが、地球上で最も強大な軍事大国の一つであるロシアが、大軍を出して「武力による威嚇」を繰り返し、ついに病院・保育所まで攻撃し、市民や子どものいのちを奪う行為は決して許されない。当然のことだが、「侵略やめよ!」「国連憲章を守れ」「ロシアはウクライナから即時撤退せよ」の声が世界中に拡がっている。ところが、自民党の安倍元総理大臣が、ウクライナが核共有を実施しているNATO=北大西洋条約機構に加盟していれば、ロシアの侵攻はなかったのではないかと言い、日本も「アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する『核共有(ニュークリア・シェアリング)』について検討すべきだ」と言いだした。日本維新の会がこの尻馬に乗って、「核共有」「軍事を含めた体制整備」「防衛費の増額(当面GDP比2%)」「自衛力の抜本的見直し」などの検討を開始せよとの「緊急提言」を外務省に提出した。 ロシアの態度もさることながら、これを口実に蠢いている議論は「核抑止論」に過ぎないということだ。「核兵器禁止条約」を非現実的と決めつけ、アメリカやロシアをはじめとする「核兵器保有国」のもつ核兵器にこそ、現実的に戦争を抑止する力があるというのが「核抑止力」論だが、この間の新型コロナウイルス対策で全く無力であることを証明されたこの「核抑止力」は、ロシアが「核の使用」をちらつかせてもウクライナを屈服させることはできなかったし、アメリカの超巨大な核兵器があってもロシアの侵略戦争を防ぐことはできなかったという事実によって完全に破綻していることを確認したい。コロナも戦争も、「国連憲章」と「日本国憲法」によってこそ「抑止」できるのだ。今月は、「核抑止」論に縋りつく諸勢力の蠢動に、「コロナも戦争も抑止できない核兵器」「武器ではくらしも平和も守れない」と諭してやろうと描いてみた。

(209) 耳も手もアベノミクスに憑りつかれ  
「多摩の年輪」382号(2022年2月)

 コロナ禍が3年目に入り第6波の感染爆発が続いている。長年猛威を振るった「アベノミクス」は、コロナ禍でその無為・無策・無力ぶりが立証され、アベ・スガ2代の政権が一気に崩壊した。自民党総裁選で「新しい資本主義」と称して行き過ぎた新自由主義を是正すると表明して登場した岸田文雄首相は、「聞く耳」と「リベラル色」を売りに、安倍氏の天敵である林芳正氏を外務大臣に起用し、在庫管理に6億円を浪費する「アベノマスク」の処分や「佐渡の金山」のユネスコ世界文化遺産への登録についての韓国への慎重な配慮など、変化を強調してきた。ところが、総選挙での奇襲作戦が与党の凋落をやや抑えたとみるや、何と安倍晋三元首相が自民党の最大派閥の会長に就任し、幽界からさまよい出た怨霊のようにその怨念を高らかに語り始めた。曰く。①ミサイルを発射する北朝鮮、台湾に軍事的威圧をかける中国に対して「外交安全保障」を強化せよ、②敵基地に限定せず打撃力を持ち、米軍が攻撃を受けた時は相手を殲滅する「敵基地攻撃能力」を持て、③維新・国民民主党とともに「憲法改正」を行なうチャンスだ、④佐渡の金山を「申請しないのは間違っている」「歴史戦を挑まれて避けることはできない」などなど・・・。これに憑りつかれたように岸田首相の態度が一変した。①「新しい資本主義」は「成長と分配の両方が大事」という「アベノミクス」と同じもの、②「あらゆる選択肢を排除せず、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化」、③佐渡金山の世界遺産への「推薦」を閣議了解し、官邸内に「歴史戦チーム」をつくる。岸田首相は次から次に、政治の私物化(モリカケ桜の利権隠し)を擁護し、経済・軍事の安全保障でいのちと暮らしを食い物にし、憲法改悪で批判と人権を抑圧する「アベノミクス」の推進者の本性を現している。「アベノマスクの有効活用」のために「配送料10億円」を負担するなどの支離滅裂な政策を見ると、聞く耳ばかりか全身が「アベノミクスの怨霊」に憑りつかれていると言うほかはない。今月はそれを描いてみた。
 

  (208) 化けたって大きなシッポが見えている
「多摩の年輪」381号(2022年1月)

 首相就任3カ月を迎えた1月4日、岸田首相は記者会見でこう語ったそうだ。「一度物事を決めたとしても、状況が変化したならば、あるいは様々な議論が行われた結果を受けて、柔軟な対応をする。こういったことも躊躇(ちゅうちょ)してはならないと思っている」と。岸田首相は、先々代の安倍首相が7年8か月の長期政権を誇り、先代の菅首相が1年余りそれを継承したが、両首相が「官邸主導」の強引な政権運営で世論の批判を呼び、コロナ対策の多くの局面で後手に回り、急速に求心力を失って、立て続けに崩壊したことを「反面教師」としているのだという。自民党総裁選のときには「金融所得課税の見直し」と「四半期決算開示の見直し」など新自由主義と決別する政策を打ち出していた岸田氏は、首相になるとこれを「新しい資本主義」の名であっさりと投げ捨てた。「聞く力」と「先手」を金看板に掲げ、就任後最初にぶち上げた目玉政策=子育て世帯支援の現金給付問題でも、受験生の受験機会確保の方策でも、オミクロン株の水際対策でも、批判を受ければ「ためらうことなく」あっさりと方針を転じた。内閣官房参与に任命した元自民党幹事長で盟友の石原伸晃の雇用調整助成金受領問題が批判されると、わずか1週間でクビを切り、高額な保管費用が批判された「アベノマスク」は自ら記者会見で年度内に廃棄を発表した。野党の言い分を時には丸のみする岸田内閣の「朝令暮改」「融通無碍(むげ)」は、世論調査での内閣支持率を向上させているのだが、実は肝心なところで「アベ・スガノミクス」を頑なに継承していることを見落とすわけに行かない。オミクロン株への水際対策では「米軍由来」の感染という大穴が明らかになったが、これを許している「日米地位協定の見直し」に着手しようとしない。「アベ・スガノミクス」が固執し続けた政治の私物化(モリカケ桜の利権隠し)には決してメスを入れず、国民のいのちと暮らしを食い物にする経済・軍事の安全保障、国民の批判を強権的に押し付ける憲法改悪を積極的に推進する。これはつまるところ、新型コロナウイルスがオミクロン株に変異して生き延びようとしていることと同じで、「新自由型アベ・スガウイルス」の変異株すなわち「キシダクロン株」となって国民に襲いかかっているということではないか。今月はここを描きたい。

(207) コロナより軍事費増に走り出し  
「多摩の年輪」380号(2021年12月)

   岸田内閣は11月26日、軍事費が過去最大を更新している21年度当初予算の5兆3422億円と合計して6兆1千億円を超える補正予算案を閣議決定した。沖縄辺野古の米軍新基地建設費801億円など、米軍再編関係経費も盛り込んだ軍事費は、初めて6兆円を突破し、GDP比も歴代内閣が目安としてきた1%枠を超えて約1・09%となった。   くどいようだが、7年8か月続いた安倍政権は一昨年8月に政権を投げ出し、その13か月後に菅政権も政権を投げ出した。これは、医療・介護・社会保障の抑制と、大企業・富裕層優遇の「新自由主義」政策、これを推進する大軍拡と改憲、政治とカネの私物化などの腐敗と強権を振り回してきたアベ・スガ政治がコロナ禍でその矛盾を露呈して破綻したものに他ならない。この破綻を克服する道は、いのち・くらし・人権を最優先する経済・社会への転換以外にはなく、先の総選挙での「市民と野党の共闘」は、道半ばに終わったとは言え、その転換を実現するものだった。  奇襲と反共宣伝で野党共闘に競り勝った岸田政権は、先代の破綻を克服するものとして「新しい資本主義」という看板を掲げてゴマカシてきたが、はしなくも軍事費突出の補正予算は、この政権が「アベ・スガ政治の枠内での転換しかなしえない政権であることを天下に示してしまった。補正予算を閣議決定した翌日の27日に岸田首相は、陸上自衛隊朝霞駐屯地での観閲式に出席し、駐屯地内で「10式戦車」に軍装で搭乗し、満面の笑みを披露したが・・・
 

  (206) 岸田さん、地盤沈下が見えますか?
「多摩の年輪」379号(2021年11月)

  総裁選のメディア・ジャックに続く奇襲ともいうべき解散総選挙。まさに短期決戦を強いられた第49回総選挙に、立憲・国民・共産・れいわ・社民の野党5党は野党共闘で臨んだ。小選挙区の7割以上=213選挙区で候補を一本化し、62選挙区で勝利した。加えて53選挙区で惜敗率80%以上という接戦・激戦を繰り広げた。比例区も含む5党の議席は公示前議席対比で差し引き11減となったが、自民・公明の差し引き13議席減を考慮すれば、野党5党が「政権交代」に肉薄したことは間違いない。4年前の議席数対比でみれば自民は23議席減でその「地盤沈下」は急激に進んでおり、立憲の41議席増を軸に野党共闘は、「政権交代」には届かなかったがめざましい前進を積み重ねている。  ところで、日本維新の会の「大躍進」が騒がれているが、これは7年前に41議席あったものが、4年前に希望の党に喰われて11議席になり、希望の党が消滅した今回41議席に戻ったものであって騒ぐほどのことではない。維新は今回、与党と野党共闘を批判する「与・野党斬り」という便宜的な手法で「政権交代」に流れる票を堰き止めて議席を増やしたが、もともと自民と癒着して改憲をめざす維新と自・公の議席合計が議席の3分の2を超えるという、憲法にとっては「緊急事態」が生まれてしまった。補償抜きで自助・自粛を押し付ける「コロナ対策」、いのちと暮らしを犠牲にする金権・腐敗・政治とカネがもたらす被害への国民の怒りは待ったなしだから、自・公・維の癒着が国民をとらえ続ける普遍性はないと思うが、国会議席の多数を良いことに強行採決を繰り返す安倍・菅・岸田政権とその癒着勢力は、早く議席数を減らしておかないと何をするかわからない危険な勢力だ。いのちと暮らしの破壊、改憲・軍拡を許さない国民的な運動を飛躍させること、来年7月に行なわれる参院選では、衆院が強行採決してもこれを抑止できるようにすること、などが緊急に求められる。  7年8か月続いた安倍政権をコロナ禍のたたかいで倒し、その1年後に菅政権を潰し、さらにいま岸田政権を奇襲解散に追い込み、そのうえで第二次岸田内閣を迎えているという流れの中でとらえれば、野党共闘の歩みはとどまるものではない。いまこそブレずに九条を守り、「政権交代」を迫る運動を広げたいものだ。

(205) 「新しい」と言って再びウソ・改ざん  
「多摩の年輪」378号(2021年10月)

  政府は「新型コロナ対策」そっちのけで、菅首相の政権投げ出し、自民党内の権力闘争である総裁選、その結果総裁となった岸田文雄前政調会長の国会での「首班指名」に明け暮れた。従来は非アベ派と目されていた岸田首相は、総裁選でのアベ・スガ政治への忖度・すり寄り合戦を通してすっかりカドがとれ、「モリカケ桜の再調査はしない」「当面は原発再稼働」に変わり、総裁選で語っていた「予約不要の無料PCR検査所の拡大」は8日の所信表明で「予約不要の無料検査の拡大」へとトーンダウンし、11日の代表質問への答弁にいたっては「新自由主義からの転換」や「成長と分配」「金融所得課税の強化」もあっさりと引っこめ、かつて二階幹事長に「説明責任」を直談判していた河井事件の1億5000万円問題も「必要なら説明する」に後退した。「声を聞くのが特技だ」「新しい資本主義をめざす」などと、これまでの自・公の腐敗と悪政を隠蔽・改ざんするだけの、抽象的な大風呂敷を広げるばかりだ。そのうえこの内閣は、20人の閣僚の内17人が「靖国」派の改憲・右翼団体と一体の二つの議員連盟のいずれかに加盟してきた人びとだというから、この内閣は、押しも押されもせぬアベ・スガ直系の歴史修正主義・改憲・右翼政治推進をめざす攻撃的な内閣だ。ようやく開かれた国会で、コロナ対策を審議するどころか、驚くべき短期間で「解散総選挙」に逃げ込み、国会と国民世論の批判が定まらぬ内に自・公政権の退勢を挽回しようとの野心を露わにしている。10月31日の総選挙で、「これは何とかしなければ」という当たり前の国民の声を「市民と野党の共同」に束ねて、姑息かつ無展望なあがきに、しっかりとどめを刺してあげる他あるまい。
 

  (204) 変異株?「コップの中」でバカ騒ぎ
「多摩の年輪」377号(2021年09月)

 菅義偉首相(自民党総裁)が9月3日、臨時役員会で自身の任期満了に伴う総裁選(17日告示、29日投開票)に立候補しないと表明した。記者会見などではいつも「出馬は時期が来れば当然のことだ」と述べ、再選をめざし、二階俊博幹事長や下村博文政調会長など党幹部人事の一新について、この日の会議で一任を取り付けると言っていた菅首相だが、これらの思惑は片っ端から崩れた。補償は小出しの自助・自粛押し付け、コロナ対策よりGoToキャンペーン・オリパラ開催・経済対策優先、緊急事態宣言の延長・追加を繰り返したが。頼みのワクチン供給も後手後手で弾切れを多発し、ついにコロナ感染を爆発局面にいたらせてしまった。首相の説明不足や発信力不足も手伝って、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が8月21、22両日に実施した合同世論調査での内閣支持率は32・1%となり、今年1月以降の最低を更新した。不支持率は61・3%で、4カ月連続で50%を超えた。このままでは10月21日に任期満了を迎える衆院選で自民党に勝ち目はない。そこで、彼の好きな「私自身」の退陣も含めた人心一新が必要と判断せざるを得なかったのだろう。総裁選不出馬の理由は「新型コロナウイルス対策に専念するため」と説明したが、国会を開かずに有効な対策を打てるわけもない。結局スガ氏がやったことは、バイデン大統領に招かれて、軍事協力の大きな土産をもって「卒業旅行」を準備する程度のようだ。首相の総裁選不出馬を受け、自民党は総裁選で選出した総裁を臨時国会で首相指名し、衆院選に臨むことになる。総裁選には、早速名乗りを上げた下村博文政調会長はスガ氏に叱られて断念、石破茂元幹事長も時間をかけて断念した。結局、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎ワクチン担当相が「コップの中の権力闘争」えお演じているが、ももとアベ氏直系の高市氏のサナエノミクスには大笑いだが、岸田・河野などの非アベ派と目された面々が、「モリカケ桜の再調査はしない」とか、「原発再稼働も結構」などを表明。忖度・すり寄り合戦の様相だ。自民党が代表を選ぶ内輪の権力闘争だから、どうでもいいことだが、こういう面々の誰が総裁になっても、次の時代の総理大臣をまかせるわけにはいかない。今月はとりとめないがこんな気持ちで描いてみた。

(203) ワクチンにスガる他には打つ手なし  
「多摩の年輪」376号(2021年08月)

  新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。スガ政権は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用を規模や期間を変えるだけで、人流抑制への十分な補償、感染者の発見・保護のための検査、免疫獲得のためのワクチン接種などの「コロナ対策」よりも、オリンピック・パラリンピックの開催による国際的な利権の確保や景気対策、原発再稼働・改憲・軍拡など不要不急なことにばかり力を入れるから、感染は野放し状態だ。
 西村康稔経済再生担当相が7月8日、飲食店の酒類提供に金融機関を使って「圧力」をかけ、世論の批判を招いた。これは頓挫したとはいえ、スガ首相が「ワクチン接種などに懸命に対応している自衛隊を違憲とする声がいまだに根強くある」「緊急事態への備えに対する関心が高まっている」ので憲法に自衛隊条項や緊急事態条項を明記する必要があると語った(6月10日)ことと通じ合う、スガ政権の本音を現したものだ。
 首相は7月30日、「ワクチンが・・・効果を発揮するまで、1人ひとりが警戒感をもって感染対策を徹底するようお願いする」と「ワクチン頼み」の姿勢を露わにしたが、相変わらず本気の「コロナ対策」には手を付けようとしていない。河野太郎ワクチン担当相が供給減の事実を隠蔽したり、15日の全国知事会との意見交換や国会でワクチン供給減による個別接種のキャンセル続出について陳謝したり、ワクチンの供給体制も頼りない。オリンピックが終わって総選挙が次の政治日程となっているが、内閣支持率は30%を割り、スガ政権の行方は見えてこない。この期に及んで「ワクチンが効いてくる」ことにスガっているスガさんの姿を描いてみた。
 

  (202) 先手だと言ってまたまた後手を打つ
「多摩の年輪」375号(2021年07月)

  菅首相は7月8日夜、首相官邸で記者会見し、新型コロナウイルス対策として東京に4度目の「緊急事態宣言」を発令することについて「先手先手で予防的措置を講ずる」と述べ、ワクチンを1回接種した国民の割合が月内に4割に達する見通しとして、ワクチン接種が進み、病床の改善がみられる場合には「前倒しで解除することも判断する」と語った。同時に「緊急事態宣言の下で異例の開催となった」オリ・パラについては「新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを、東京から発信したい」と述べた。9月に自民党総裁の任期、10月に衆院議員の任期を控えて、この夏、コロナの感染拡大を抑え込んで、安心・安全な五輪を実現して衆院解散・総選挙に打って出て勝利したかったのだろうが、東京での感染「第5波」を防げず、「東京の有観客」も断念に追い込まれ、先の東京都議選も首相の予測を大きく下回る「大惨敗」に終わった。ワクチン接種も首相が掲げた「1日100万回」を達成したというが、供給が追いつかない「弾切れ」が起きている。感染を本当に予防するには、オリンピックを中止し、これまで「後手・後手・小出し」に徹してきた「コロナ対策」を、徹底的な検査拡充による感染状況の把握、自らが破壊してきた医療・福祉への支援・立て直し、「自助・自粛」を押し付けてきた国民のくらしと生業への手厚い補償に切り換えるのでなければならない。この局面で、供給体制も効力も不確かなワクチン接種とオリンピック開催による国際利権の獲得に縋りついて、「先手先手の予防措置」などと国民を騙るとは! この首相の感覚には舌を巻かざるをえない。

(201) ヤブへびの「五輪ありき」の二枚舌
「多摩の年輪」374号(2021年06月)

  菅義偉首相は6月7日の参院決算委員会で、立憲民主党の水岡俊一氏が「首相は東京大会を開催する▽中止する▽延期する――の三つの選択肢を持っているのか」と尋ねると、「私自身は主催者ではない。私自身は我が国の国民の安心、安全を守る。そうした使命があると考えている」と答えた。
 その菅首相は6月11日の先進7か国首脳会議では、今夏の東京五輪・パラリンピック開催の決意を表明し、各国首脳に選手団の派遣を要請した。「世界が新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したい」と述べ、大会の意義を強調。「安全安心な大会の開催に向けて、万全な感染対策を講じて準備を進める。強力な選手団を派遣してほしい」と、まるで主催者であるかのように呼びかけたという。
 国民の五輪中止の願いには「私は主催者じゃないから」と答えず、海外では「五輪で団結しよう」と主催者のように呼びかける! 何と無責任で、何と平然たる二枚舌だろうと驚いているところに、G7の同行記者団との懇談で首相が、二階俊廣自民党幹事長の手腕を評価し「しっかり指導力を発揮し、安定した党運営をしてもらい感謝している」「私自身は党の問題に対して神経を使わずに国政に専念できている。ありがたい」と語ったというニュースが入り、先月末に飼い主宅の二階(!)の屋根裏で捕獲された大蛇の舌が2股に分かれていたことを思い出した。今月の漫画のテーマはこうして決まった。
 

  (200) 「ボロット」のボケで悪法押し通す
「多摩の年輪」373号(2021年05月)

  新型コロナの感染拡大は変異株の増殖を伴って世界を覆っている。これを迎え撃つ菅政権の「コロナ対策」は、無為無策、後手後手小出しに加えて、まるで方向違いというしかない。「まん延防止等重点措置」「緊急事態宣言」を行ない、暮らしと営業に従来以上に高圧的に「自粛」を求めて5月の連休を迎えたのだが、連休明けに始まった国会では唖然としてしまった。「老人医療の窓口負担2倍化法」、公立・公的病院の再編・統合の具体化、フクシマ汚染水の海洋投棄など、「コロナ対策」とは真逆の政策を押し付け、憲法に自衛隊条項や緊急事態条項を明記する「憲法改悪」への「呼び水」と称する「国民投票法改正案」や個人情報を危機にさらす「デジタル改革関連法案」などをろくな審議もしないまま採決する。野党が、感染拡大が続く中でオリンピック・パラリンピックを開催できるのかと何度も質したが、菅首相は「国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を尽くすこと、これは私の責務」「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにする。それと同時に国民の命と健康を守っていく」という原稿を繰り返し読み上げるだけの「連続ボケ」をかまし続けた。その姿は「コロナ対策」への意思も能力もない、出来の悪いロボットだ(ボロボロの答弁で「ボケ」をかますから「ボロット」か?)。今月は、次つぎと悪法を強行する「ボロット」の姿を描いてみた。

(199) 感染も汚染も海に流したい?
「多摩の年輪」372号(2021年04月)

 4月9日、菅総理は「緊急宣言にいたらないように、罰則の適用もできる措置」と称して「まん延防止重点措置」を発動した。コロナ禍が1年以上続き、初の「緊急事態宣言」から1年経っているのに、大規模検査の実施、陽性判明後に生活や仕事に支障が出る不安を払拭させる十分な生活・営業・人員補償、コロナ専用病院の設置、医療機関への減収補償、病床確保のために回復期の患者を転院させるなどの病院間の連携強化等、政府がやるべきことは何ひとつ実現していないというのに、「国民の気の緩み」「自粛疲れ」などに責任を押し付け、「罰則と見回り」という監視強化でしのごうというわけだ。同日政府は、東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水を海へ放出処分する方針を固めた。事故から10年、原発再稼働・推進に固執して放射性汚染水を垂れ流しのままで海に流そうというわけだ。コロナ対策は後手後手小出し、右往左往で感染拡大。GoToトラベル・病院潰し・医療窓口2倍負担による景気対策。デジタル庁・こども庁で縦割り行政打破と言いつつ政権への権力集中。加えて汚染水の海洋投棄は原発推進・オリンピックごり押し・国威発揚を狙うもの。菅政権は、国民のいのちと暮らしを守ることでは無責任・無為無策のまま、軍事拡大・原発推進・憲法改悪に突き進んでいるが、これは自らの政権の終末を予感しているからに違いない。菅総理に「恐れてたら何もできない」とハッパをかける二階自民幹事長などは、自分が何を言っているのか分からなくなっているとしか思えない。汚染水の海洋投棄などを言い出したのは、失政の何もかもを「水に流したい」という心理が表面に出てきたものなのだろう。  翌10日に、白血病から復帰した池江璃花子さんが競泳日本選手権大会・女子50メートル自由形決勝で優勝し大会4冠を果たした。「自分がつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなって思いました」と語った青年の思いは、ウソとごまかしに怒り、隠蔽と改竄に飽き、コロナ禍で必死に生きている私たちの胸に熱く響いた。
 

  (198) コロナなど上の空なり大接待
「多摩の年輪」371号(2021年03月)

 安倍政権の7年8か月は、森友学園との交渉に関する決裁文書の改竄、1年間存在が伏せられていた自衛隊イラク派遣時の日報、加計学園をめぐる「首相案件」というメモ、桜を見る会の領収書などの疑惑もみ消し、河井選挙買収、黒川検事長、国民置き去りで後手後手のコロナ対策など、政治の「私物化」と退廃のオンパレードだった。省庁の人事権を内閣人事局に集めて「官邸主導の強権政治」のもとで、官僚による官邸への「忖度」が常態化し官僚機構の権威も地に落とされた。これを継承した菅政権は、深刻化する「コロナ対策」には上の空で、総務省・外務省・農林水産省の幹部らが国家公務員倫理法に違反する利害関係者からの接待を繰り返し受けている事実のもみ消しに追われている。農水省は贈収賄事件で在宅起訴された吉川貴盛元農水相と鶏卵生産会社「アキタフーズ」の前代表の会食に同席していた事務次官ら6人を処分。元総務相だった菅首相の強い影響力のある総務省は13人の幹部が5年も前から菅首相の長男が勤める衛星放送関連会社「東北新社」幹部らと延べ39回も会食(内21回は首相長男が同席)し、飲食代、手土産、タクシー券を受け取っていたとして、「断らない女」を名乗る山田真貴子内閣広報官を辞職させ、菅IT戦略の懐刀=「ミスター携帯」と異名をとる谷脇康彦総務審議官ら11人を処分した。菅首相は「長男とは別人格」とシラを切ったが、その後、谷脇総務審議官が巻口英司国際戦略局長や外務省の金杉憲治審議官らとともにNTTの澤田純社長とも会食を繰り返していたことが判明し、これらの接待が、菅首相の目玉政策=IT戦略・放送通信改革の推進にからむ官僚たちの「忖度」を利用した贈収賄だったことがごまかせなくなった。わが身と政権を守るためには、長男だろうと懐(ふところ)刀だろうと切り捨てざるを得ない。累々たる使い捨ての山の向こうに、やがて「アベ・スガノミクス」の残骸も横たわるのだろうが・・・。描いているうちに、「ただ酒」を呑んだ揚句に使い捨てられた官僚たちの悲哀を感じてしまう今月であった。

(197) わきまえぬこの人たちに明日はない
「多摩の年輪」370号(2021年02月)

   東京オリ・パラ組織委員会の森喜朗会長が2月12日、女性蔑視の発言への内外の批判に追い込まれて会長を辞任した。「#わきまえない女たち」の抗議行動、ボランティアや聖火リレーのランナーたちの抗議の辞退。オリンピックのスポンサー会社の製品不買運動、スポンサー会社70社の中で36社が「森会長の発言は容認できない」とアンケートに答え、朝日新聞、毎日新聞も社説で批判した。一旦は不問に付す発言をしたIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長も、世界の流れを見て「完全に不適切」と断罪した。完全に追いつめられた辞任なのに森氏は、次の会長を自分で選ぼうとしたり、組織委の臨時会合で「不適切な発言が原因で混乱をきたし、申し訳ない」と謝罪したのに、女性蔑視について「解釈の仕方でそういう意図じゃない」「多少意図的な報道があった」「誰かが老害と言ったが、老人が悪いと表現されるのは極めて不愉快」などと語ったりした。菅首相も森会長発言は「不適切」としつつ辞任を求めず、二階自民党幹事長もボランティア辞任の動きには「また募集すればよい」、世の中の批判も「瞬間的なもの」と言って森氏をかばった。これらによって彼らは、批判された女性差別を自覚も反省もしない、まったくわきまえていない自らの姿を天下に知らせた。今月は彼らの黄昏への予感を描いてみた。
 

  (196) ガースーと媚びても消せぬゴーツー罪
「多摩の年輪」369号(2021年01月)

 2021年は新型コロナウイルスの感染拡大「第3波」の中で明けた。コロナ禍で身に着けた「自粛はしても萎縮はしない」の合言葉を当分のあいだ手放さず、したたかに歩むとしよう。昨年7月に安倍首相が開始した観光支援事業「GoToトラベル」は、コロナ禍で全戸に配布したアベノマスクと1人10万円の定額給付金を取り戻そうと、感染対策を度外視して「経済を回すことを最優先する景気対策」だった。9月の総裁選で「政策に反対する官僚は異動してもらう」とまで言ってアベノミクスの継承を掲げた菅首相は、この「ゴーツー」を、秋以降の「第3波」到来後も推進し続けた。感染の広がりは国民の責任だと言わんばかりに「5人以上の会食を控えよう」と国民に呼びかけたかと思うと、その数日後には8人での「ステーキパーティ」に興じる。のらりくらりと「ゴーツー」の時間を稼ぎ、崩壊に瀕している医療とケアを放置し、いのちと暮らしを見殺しにしてきたうえで、ついに2回目の「緊急事態宣言」を発せざるをえない事態を招いた。その「宣言」もまた、自ら破壊してきた医療とケア、いのちと暮らしを補償するものではなく、罰則付きの「飲み会禁止令」でしかない。12月11日に出演したインターネット番組で「こんにちはガースーです」と緊張感のないあいさつで若者に媚びたが、今も景気対策優先に固執する「ゴーツー罪」はどんなに媚びても消えるものではない。都議選と総選挙が必ず行われる年を迎えて「菅政権の罪を許さない」との思いを描いてみた。

(195) そこそこの期待にスガる独裁者
「多摩の年輪」368号(2020年12月)

 菅首相が「国民の政権への期待もそこそこにある」と述べた10月29日の衆院本会議答弁について、「国民の政権への期待もそこにある」と議事録を訂正した。無表情・無感情で原稿を朗読するのがこの首相の答弁の特徴だが、それが内容も考えずに読んでいるのであることが明らかになってしまった。7年8か月の安倍長期政権の官房長官として、「批判には当たりません」「承知していません」「まったく問題ありません」などの決まり文句を繰り返して「モリカケ桜」の疑惑を反らし、アベ゛悪政を推進してきた菅さんの本心がこの「読み違い」にこぼれ出たのではないのか? いよいよ権力の頂点に成り上がった菅さんは、就任早々から辺野古新基地建設、日本学術会議への人事介入など、アベ政権を凌ぐ強権的な独裁政治への野心をむき出しにしている。「私がめざす国の基本は、自助・共助・公助、そして絆」と称してコロナ対策・社会保障を犠牲にするGoToトラベル・経済対策に走り、「世界のCO2ゼロを主導する」と称して原発再稼働を推進し、「核保有国との懸け橋になる」と称して核兵器禁止条約を妨害し、「敵基地攻撃能力」保持と称して改憲・軍拡を準備するこの政権には、国民の口をしっかりとマスクで覆って静かにさせたい、国民に「政権へのそこそこの期待」を持たせたいとの「すがる思い」があるに違いない。うまく行くかどうかは西村経済再生大臣の言うように「神のみぞ知る」ところだが・・・
 

  (194) 「鬼滅」とは逆方向に「全集中」
「多摩の年輪」367号(2020年11月)

  「自助」の強調、コロナ対策より経済対策、「敵基地攻撃能力」保持や改憲案の検討開始、辺野古新基地建設ごり押し、日本学術会議への人事介入など、アベ政権を凌ぐ極悪・非道の動きを見せていた菅義偉政権は10月26日から始まった臨時国会でその姿を国民の前に現した。11月2日の衆院予算委員会の開幕早々に首相は大ヒット中の劇場版アニメ「鬼滅の刃」の決めゼリフに便乗して「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と受けを狙い、議場を一瞬シーンとさせたが、この「全集中」が「鬼滅」とは逆方向を向いていることがやがて明らかになった。衆参の予算委員会は11月6日、計4日間の日程を終えたのだが、野党が菅義偉首相との初の本格的な国会論戦に「日本学術会議」の任命拒否問題を主要テーマに据えて挑んだのに対し、首相は質問が核心に迫ると「人事に関することなのでお答えは差し控える」を連発。後ろに控えた官僚が手渡す答弁メモを繰り返し読み上げるだけの答弁は白々しく矛盾だらけで「支離滅裂」。首相の「受け狙い」に応えて「官僚の答弁ばっかり読まずに、全集中の呼吸で答えてくださいね」と訴えて質問に立った立憲民主の辻元清美副代表に対しても同様の態度の繰り返し。辻元氏は「鬼滅の刃」の黒幕の「全ての決定権は私にあり、私の言うことは絶対である」というセリフを持ち出し「こうならないようにくれぐれもご注意いただきたい」と皮肉を込めて質問を終えた。野党の質問責めにしばしば「答弁不能」「茫然自失」に追い込まれた首相の姿は閣僚席にまで苦笑いを拡げた。この窮状を救おうと自民党の伊吹文明元衆院議長が「『学問の自由』と言えば水戸黄門の印籠の下にひれ伏さなくてはいけないのか」(5日、派閥の会合で)と「学問の自由」攻撃を仕掛けたが、この発言そのものが菅首相を「印籠を突き付けられた悪代官」と認めていて面白い。今月はここを描いてみた。

(193) 仕事師のおじさん早くも馬脚見せ
「多摩の年輪」366号(2020年10月)

    9月16日に菅義偉(よしひで)新政権が発足した。「農家出身」「工場勤務からアルバイト学生を経て政治の道へ」「たたき上げの仕事師」などの菅キャラクターの売り込みが効を奏したのだろう、安倍政権が30%まで引き下げた内閣支持率を一瞬75%(読売)まで上昇させた。しかし菅氏は、モリ・カケ・桜・河合夫妻疑惑を安倍首相と一緒にごまかし、改憲・軍拡・社会保障破壊の暴走政治を先頭に立って進めてきた人物。いわば破綻したアベ政治の共犯者(実は主犯だとみることもできる)0が、その破綻を棚上げして、破綻したアベノミクスの全面的な継承・発展を宣言しているのだから、菅政権は、いわばアベ隠し・アベ共犯の政権に過ぎない。「国民のために働く政権」と大宣伝しているが、政権が国民のために働くのは憲法に定められている当たり前のことに過ぎない。首相になる前日に、自分が首相になったら「政府の方針に反対する官僚は異動してもらう」とテレビで官僚を恫喝した菅氏の政権が、いつまでも国民をだませるわけはないと思っていたが、何と国会もまだ開かず、施政方針演説も行なっていない内に、「自助」の強調と「GoToトラベル」の推進によるコロナ対策から撤退、「敵基地攻撃能力」の保持や改憲案の検討開始、沖縄辺野古の新基地建設のごり押し、日本学術会議への人事介入・言論抑圧など、アベ政権を凌ぐ極悪・非道の馬脚を見せ、内閣支持率も下落を始めた。今月はそこに目を付けて描いてみた。
 

  (192) 効くのかね?スカの心臓(晋三)マッサージ
「多摩の年輪」365号(2020年09月)

 コロナ禍に国民が重大な不安と困難に遭遇しているのに、通常国会閉会後2か月にわたって国民の前から姿を隠していた安倍首相が、8月28日、突然姿を現して「病気のため辞任」を宣言。アベノマスクと小中高校の臨時休校、補償抜きの自粛要請以外にはこれといったコロナ対策もなく、大軍拡のために憲法と社会保障を破壊し、2度にわたる消費税増税で日本経済を足元から停滞さた安倍首相は、7年8か月の長期記録を果たしたとたんに政権を投げ出したのだ。「いのちと経済」を天秤にかける新自由主義的な「GoToトラベル」で、コロナ危機をいっそう深刻化させている与党は、マスコミを巻き込んで「ポスト安倍」のお祭り騒ぎに興じている。派閥の力学で後継者は決めているのに総裁選を演じて、安倍政治が数知れぬ問題点を抱えて破綻したことを棚に上げるというゴマカシの祭りだ。ゴマカシに乗じて辞任した本人が次の政権に向かって「敵基地攻撃能力の保有、軍拡・改憲」を指示する「談話」まで出している。破綻し、本人さえやる気をなくした「アベノミクス」を「心臓(晋三)マッサージ」で蘇生させても、破綻したものは所詮破綻したものでしかない。何ができるというのだろうか?

(191) 改憲の執念だけで何処へ行く?
「多摩の年輪」364号(2020年08月)

   安倍首相が新型コロナウイルスの感染対策としてバラまいたのが「アベノマスク」。韓国が国防費を削ってコロナ対策に充てたのに比べ、あまりにもマト外れで貧弱で、安倍首相自身さえ8月にはそれを捨ててしまったほど不評だった。改憲・大軍拡のための福祉破壊というアベ・新自由主義政治が、コロナに対していかに無力であるか、防疫・防災には日ごろからの備えがいかに大切であるかが誰の目にも明らかになっている。相次ぐ豪雨災害での被災者の救援と復旧、猛暑とコロナ感染の再拡大への対策などが緊急の課題となっている。だから河野太郎防衛大臣の秋田・山口両県への弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備断念には、軍事費を削ってコロナ対策に回す政策転換を期待したが、それは小野寺五典元防衛相らが8月に安倍晋三首相と菅義偉官房長官に「敵基地攻撃能力」の保有を提言するための「引き金」でしかなかった。安倍首相は、マスクのバラマキで「コロナ対策」を終えたことにして、国会の閉会中審査にも出席せず、正式な記者会見も開かず、国会と国民への説明責任を逃げ回りながら、改憲の意思を執拗に発信し、観光需要喚起策「GoToトラベル」の推進、核兵器禁止条約の批准拒否、「敵基地攻撃能力」の保有計画など、まさしく不要不急の改憲・大軍拡と福祉蹂躙に立ち戻ろうとしている。これらは結局、コロナ軍団に味方することになっているのではないか。
 

  (190) このふたり所詮は令和枯れすすき
「多摩の年輪」363号(2020年07月)

 アベノマスクの配布にいち早く踏み切った安倍首相、レインボーブリッジを赤く染めて「東京アラート」を強調した小池都知事、いずれも国民と都民に新型コロナ感染対策を「やっている」という感じを与えてお茶を濁そうとしたが、そんなことで国民・都民のいのちの危険はとうてい収まらなかった。吹き上がる要求に恐怖を覚えた安倍首相は国会の会期を、小池都知事は都知事選を、それぞれ口実にして、感染対策を投げ出した。この「やっている」感は国民・都民をあざむく効果を発揮し、地に落ちていた安倍内閣支持率を少しだけ回復させ、都知事選では366万人の都民が小池都知事に続投を許したが、アベノミクス、ユリノミクスが推進してきたウソと誤魔化し、市場原理と原発・軍拡神話を最優先して憲法蹂躙、医療・介護・ケア部門を含む社会のあらゆる分野で暮らしと福祉を踏みにじってきた新自由主義は、完全に破綻したことがコロナ禍で誰の目にも明らかになっている。国民・都民はやがて本当のことを理解する。それを知っている2人は「令和枯れすすき」をうたう他あるまい。

(189) コロナ期をどう生きるのか君たちは
「多摩の年輪」362号(2020年06月)

  検察官の定年延長に特例を設ける検察庁法改正案は、野党やネット世論の猛批判、元検事総長ら検察OBの意見書などに包まれて、この国会で成立断念に追い込まれた。検察OBの意見書は安倍首相の姿勢を「17世紀フランスのルイ14世が語ったとされる『朕は国家である』を彷彿とさせる」と指摘して痛烈な警鐘を鳴らした。今月は、ルイ14世よりも俗物的に「朕は国庫なり」とモリ・カケ・桜の疑惑を交わし続ける権力者と、これを取り巻いて破綻に直面している人びとに、いのちと暮らしを本当に大切にしなければならないコロナ期をどう生きるつもりかい、と問いかけることにした。
 

  (188) 自粛して「うちで踊ろう」今月も
「多摩の年輪」361号(2020年05月)

  深刻化するコロナ危機に対応できない新自由主義・アベノミクスの無力さが誰の目にも見えてきました。食料・エネルギー、医療・介護・社会保障の自給力と供給体制を、市場原理によって破壊し続けてきたことの結果です。安全・安心・防災対策や地球温暖化対策を棚上げし、経済成長と企業利益拡大を偏重してきた政治・経済の結果ともいえます。いま私たちは、コロナ危機から命と暮らしをまもるために、これらの結果を直視し、医療供給体制の抜本的強化、私たち自身の暮らしと労働、政治・経済・社会活動のあり方の洗い直しを迫られています。小中高校の臨時休校、不要不急の外出・事業の自粛など、感染防止に必要なことに暮らし・労働・経済・社会の総力を傾けてとりくまなければなりません。 安倍首相はコロナ対策として、国民に「自粛」を求めて「緊急事態宣言」を発令。「自粛」に耐えて生きようとネットでのコラボをよびかけたミュージシャン、星野源の「うちで踊ろう」に便乗して「外出自粛」を訴え「35万の『いいね!』をいただいた」とご満悦(菅義偉官房長官談)ですが、先の「一家にマスク2枚」と並んで大ひんしゅくを浴びています。そもそも安倍首相は、「自粛」を「補償」するなどとんでもない、憲法に「緊急事態条項」を設けて「強制」すれば良いと考えているわけで、この立場を「自粛」する気など毛頭持っていません。しかし、すでに無力と破綻が証明されている安倍政治の延命と不要不急の軍拡・憲法改悪を、コロナ危機に便乗して「火事場泥棒」のように押し通そうとしても、それは元来通用するものではないでしょう。

(187) 盗品は不要不急なモノばかり
「多摩の年輪」360号(2020年04月)

 安倍首相は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を発令した。必要と判断すれば、住民への不要不急の外出の自粛要請や、施設の使用停止、イベントの開催制限の要請・指示などの措置をとることができるという宣言であり、それは住民に納得づくで行なわれる限りでは必要なものにちがいない。ところが、驚いたことに「宣言」を発令したその日の内に政府は、それが国民への強制力を持たない「限界」を不満として、衆院議院運営委員会で、憲法を改正して「緊急事態条項」を創設する構想を示した。国民には外出や営業・イベントの「自粛」を求めるが、それがもたらす損失への「補償」は拒否し続けている。「108兆円の緊急経済対策」を大宣伝するが、それは従来型の暮らしと社会保障破壊の経済政策を推進するものであって、個人や中小業者への給付金は6兆円、医療供給体制の整備には8千億円だけ。消費税の連続増税、暮らしと医療・社会保障の連続破壊で、大企業の利益の確保、大軍拡への武器バク買いを強行してきた従来型のアベノミクス・経済政策が、近年激発する自然災害やいまが盛りのコロナ禍に対してまったく無力であり、ことごとく「不要不急」のものであることが明らかになっている。安倍政権は、緊急事態を国難として喧伝し、これを打開するためには政府権限の絶対化と「憲法改悪」が必要と言うのだが、これは「不要不急」が証明された諸政策を、もりかけ・桜・カジノ疑惑ぐるみで、一気にごまかそうという、いわば「火事場泥棒」の論理。笑い飛ばす程度では済まされない。