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国民に説明もなくヌケヌケと
「多摩の年輪」408号(2024年04月)
一昨年(2022年)、ウクライナ侵略戦争を利用して、防衛費をGDP比2%に倍増し、自衛隊に敵基地攻撃能力を持たせるなど、日本の外交・安保を大転換する「安保3文書」を閣議決定した岸田首相は、軍拡財源確保・原発推進・くらしと福祉のデジタル支配、軍事産業の育成と武器輸出解禁、経済秘密保護法など、「安保大転換・大軍拡」を推進。この4月には、これらの「成果」を携えて国賓待遇でアメリカを訪問した。大統領選をめぐるバトルが続くアメリカだが、この手土産なら「バイデン」にも「もしトラ」にも歓迎されると計算しての訪米だが、実はこれにはもう一つの狙いが込められていた。企業献金による裏金づくり・金権・腐敗への政治不信が高まる中で、国民への説明も抜きで進められる「大軍拡・大増税」は、岸田内閣への支持率を大低落させ、何をやっても政権浮揚ができない。この危機を日米首脳会談で払拭したいとの狙いだ。首脳会談は、自衛隊・米軍の指揮統制の枠組み強化、米英豪の安保枠組み「AUKUS(オーカス)」への軍事協力、日米を軸とするフィリピン・韓国・オーストラリアなど「同志国」のつながりの強化、武器の共同開発・生産の拡大などを声明し、岸田首相は「米国は一人ではない、日本はともにある」と極上の笑顔をつくって胸を張り、バイデン大統領は「同盟発足以来、最も重要なアップグレードだ」と述べた。だがこれらは朝日新聞の社説(12日)が「説明なき一体化の加速」と評したように、いずれも国民と議会に説明されておらず、「国民の了解」抜きで政権浮揚が叶うとは考えられない。「バイデン」VS「もしトラ」の混沌たるバトルを視野に、どちらにも喜ばれるものとして、安倍氏ゆかりのスーパーマリオの縫いぐるみと「日本の安保大転換」を手土産に訪米した岸田さん。今月はその「哀愁」を描いてみた。
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